【議事録】法務委員会質問(法曹養成制度等一般質疑)

平成26年05月22日 法務委員会

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
今日は、法曹養成制度等の一般質疑ということでお時間をいただいております。私は、まず法曹人口について伺いたいと思います。
平成十四年の三月の関係閣僚の閣議決定で、司法制度改革推進計画というのが示されました。それに基づいての法曹人口の拡大といったことがなされてきたわけでありますけれども、十年間で一・六倍に増えるという、法曹人口が拡大したわけであります。
これについて様々な意見、批判的な意見といったことも含めて様々な意見がなされていますけれども、まず大臣に伺いたいと思います。法曹人口が拡大して良かった点、そしてまた問題点について御所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 毎年三千人の合格者を出すという目標でやりまして、まず良かった点を申し上げますと、例えば弁護士が一人もいない地域というのはなくなりました。それで、そういう意味で、かなり過疎地であっても司法サービスに国民がアクセスしやすくなったということはございます。それから、国、自治体、企業、それから海外展開等々において広く活動していく足掛かりになったということだろうと思います。もちろん法務省にも短期任用で弁護士の方が来ていただいて民事局などで仕事をされているということも、各官庁そういう方が出てきましたし、それから自治体でも、やはり顧問弁護士というよりもそこの公務員として内部に入ってもらった弁護士がいると、いろんなことでなかなか法律家は使えるという評価もいただく等々、そういうことが起きてまいりまして、いろんな法的ニーズが多様化している中で、法曹に対する社会的な要請に応えるための基盤の整備という点では大きく前進した面があろうかと思います。
他方、近年、民事訴訟の事件数あるいは法律相談件数、全体としては、過払い訴訟というのは確かにございますが、それを除きますと減少傾向にあると。そこで、法曹の法廷以外の新たな分野の進出ということも、現時点では限定的といいますか、なかなかそう思うようにいっていないということがございます。それから、ここ数年、司法修習終了者の終了直後の弁護士未登録者数、これが増加する傾向にあると。法律事務所への就職が困難な状況が生じているということだろうと思います。
いずれにせよ、三千人は現在においてはやや、何というんでしょうか、無理な目的であったということになっておりますが、今のようなことも踏まえまして、どういうニーズが、量的に見てどの程度のニーズがあるのかと、これはきちっと分析して考えていかなければいけないと思います。

○行田邦子君 法曹人口が増えて確かに弁護士ゼロの地域はなくなったというところは評価されているかと思いますし、また、組織内、自治体とか行政機関、それから企業の中での法曹有資格者という人材の供給にもなったといったことは言えるのかなとは思いますが、ただ、やはり法曹人口が拡大したことによっての現在抱えているその問題点というのが明らかに大きいのではないかというふうに私自身は認識をしております。
そこで、そもそも、平成十三年の審議会の意見から始まって平成十四年の三月のその閣議決定、司法制度改革推進計画において、先ほど大臣もおっしゃられました、平成二十二年頃には司法試験の合格者数を年間三千人程度とすることを目指すといったこの数値目標なんですが、ここにそもそも設定に無理があって、また将来予測の見通しが残念ながら非常に甘かったんだろうというふうに思っております。
そこで、政府参考人に伺いたいと思いますが、この推進計画が立てられた時点で、年間三千人という目標を設定した根拠が何なのか、そして三千人という数字を打ち出すに至るどのような調査を行ったのか、教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(小川秀樹君) お答えいたします。
委員御指摘の点につきましては、経済、金融の国際化の進展ですとか、人権、環境問題などの地球的課題や国際犯罪などへの対処、知的財産権、医療過誤、労働関係などの専門的知見を要する法的紛争の増加、またいわゆる法の支配をあまねく実現する前提となる弁護士人口の地域的偏在の是正の必要性など、こういった点を勘案した上で、諸外国の法曹人口の推移ですとか、法曹一人当たりの人口の国際比較などの調査を経まして、国民人口当たりの弁護士人口としてフランス並みのものとするのが適当であるとして提案されたものと承知しております。

○行田邦子君 今の御答弁を伺っても、しっかりとした何か将来予測、見通しを行って、調査を行ったということでもなかったのではないかなと、非常に希望的、楽観的というか、主観的のような予測の下に三千人という数値目標がなされたのではないかなというふうに私は感じております。
そして、実際に平成二十二年になって、年間の司法試験の合格者数三千人というところには届いていないということもありまして、またこの数値目標ということ自体が具体性に欠けるという理由から、昨年の七月の法曹養成制度関係閣僚会議決定としてこの三千人という目標を撤回するということに至りました。
そこで、三千人は撤回したんですけれども、ただ、その上で、あるべき法曹人口について示すということにもなっているわけでありますが、そのスケジュールが昨年の七月の決定から二年をめどにということになっていまして、私は非常に、これが何で二年も掛かるのかなと。今抱えている問題、この現状の認識からするととても悠長な感じがするわけでありますが、そこで大臣に伺いたいと思うんですが、あるべき法曹人口についてどのような手法で、またいつ頃その調査を公表するんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 三千人目標を事実上撤回した後、あるべき法曹人口は何人かと、これは様々な分析をしながら、事情を勘案しながら適切に検討を行わなきゃならないわけですが、今、内閣官房法曹養成制度改革推進室で多角的な視点から、確かに、さっきおっしゃったように、以前のときはフランス程度、フランス並みという以上の深い分析が必ずしもなかったという反省に基づきまして、法曹人口に関する必要な調査を行って、その結果を二年以内に公表しようと。これは遅いと今もお叱りを受けましたが、今作業を進めておりまして、今まで、三月までで調査デザインをいろいろ検討を終えまして、四月からデータ収集、既存データの分析というところに入っております。具体的には、一般の方々やあるいは企業等に対する需要調査を始めているところでございます。
それで、それを九月ぐらいまでやりまして、十月から総合データの分析ということに入るというカレンダーを作っておりますが、そこで具体的な数値を示せるかどうかというのはその作業結果を見て検討しなければならないと、現在はそういう段階でございます。

○行田邦子君 今スケジュール感をお示しいただきましたけれども、やはり、確かにあるべき法曹人口というものを政府として示すにはしっかりとした調査が、過去の反省も踏まえてですけれども、しっかりとした調査が必要かとは思いますけれども、それにしても少し時間が掛かり過ぎではないかなというふうな印象を拭えないです。
続けて質問を大臣にさせていただきたいんですけれども、そのような中でなんですが、与党から、午前中も少し質疑ありましたけれども、緊急提言のようなものなどがなされています、法曹人口についての提言がなされています。そこで、自民党さんは、平成二十八年までに千五百人程度を目指すべきというようなこと、それから公明党さんは、まずは千八百人程度を目指し、その後、千五百人程度を想定する必要もあるのではないかといった、具体的な年間の司法試験合格者数の数値目標的なものが示されています。
この数値目標について、大臣はどのような御所見でしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 政府の立場としては、先ほど申し上げましたように、今調査をして、それを踏まえて数値をどうするかということになりますので、直接、与党ではございますが、自民党ないし公明党の見解、お答えをできる段階にはございません。
ただ、これはやや担当閣僚としての私的な感じでございますが、法務大臣になりまして議論をもう一回お聞きしていると、相当それぞれの立場に差がありまして、数値だけではなくていろんな考え方にですね、なかなかまとめるのは困難だなと実は当初思ったわけでございます。しかし、困難だ困難だで済むわけではございませんので、いろんな問題もそろそろ粗ごなしに入っていかなきゃいけない。
そういう意味では、例えば自民党でいえば、まずはという言葉を使っておられるのにいろいろ意味があると思うんですが、まずは千五百人と。あるいは、千八百人程度としつつ、千五百人だ、これは公明党の御見解でございますが、粗ごなしとしての役割を果たしていただいているのかなというような感じを持っております。

○行田邦子君 ありがとうございます。
確かに慎重な検討が必要ではあろうかと思いますし、必ずしもその数値目標が独り歩きしてもいけないというふうには思っておりますけれども、やはり三千人は明らかにこれは無理があったと、今は大体二千人ぐらいと。それでは、今後どのぐらいであるべきかといったことは、やはりできるだけ早く政府としても示すべきではないかなというふうに思っております。
次に、法曹養成制度について何点か伺いたいと思います。
まず、大臣に伺いたいと思います。
今、法科大学院の志願者数が非常に低迷をしている状況であります。ピーク時の四万五千人ぐらいから、今は一万一千四百五十人ぐらいと、四分の一にまで志願者数が減ってしまっています。この法科大学院の志願者数が低迷している理由について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、昨年六月の法曹養成制度検討会議の取りまとめで分析をしていただいておりまして、私もその分析が当を得たものではないかと思っているんですが、そこでは、司法試験の合格状況で、法科大学院間のばらつきが大きくと、こう書いてあるわけです。それから、全体としての司法試験合格率も高くなっていない。それから、司法修習終了後の就職状況にも厳しさがあると。それから、法科大学院に通うということは一定の時間的、経済的負担があると。そういうことから、法律家を志願して法科大学院に入るということにはかなりのリスクがあると、こういうふうに見られているという分析で、私もそのとおりだと思います。
したがいまして、こういった懸念といいますか、をどう払拭していくかということを今議論し、差し当たって手掛けられるものから手掛けていこうと、こういうことでございます。

○行田邦子君 法科大学院で学ぶための経済的負担というのは、これもいろんな議論がなされていますけれども、かなり負担があると。
一方で、じゃその終了した後の就職ですけれども、これも、弁護士資格を持って法曹有資格者になったとしてもなかなか就職口が決まらない、そのことによって弁護士の未登録者数というのも非常に増えているというような状況で、法科大学院に通っても将来見通しというのが非常に不安定だといったような、今残念ながらそういう状況にもなってしまっているのかなというふうに思います。
そこで、質問を続けたいというふうに思うんですが、法科大学院修了者の司法試験合格率なんですけれども、これが平成十四年時の司法制度改革推進計画で想定されていた例えば約七割から八割といった数値よりもかなり現状低い状況となっています。例えば平成二十五年度は、法科大学院の修了者は受験者が七千四百八十六人に対して合格者が千九百二十九人と、二五・八%でした。このような状況、どんどんどんどん合格率が低くなってしまっているという状況で、累積合格率で見ても、平成二十年度の修了者は四七・二%と、せっかく法科大学院修了しても半分の人しか司法試験が受からないという状況です。
そこで、大臣に伺いたいと思うんですけれども、司法試験の合格率、法科大学院修了者の司法試験の合格率が低い状況となっている原因について、所見を伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 司法制度改革審議会の意見書では、ロースクールを出た場合、おおむねその七、八割ぐらいの合格率ということを想定していたわけでございますが、現状はとてもそうなっていないと。
そこで、なぜかというと幾つか理由が考えられるわけですが、法科大学院をつくるときに、当時は、今までの司法試験が余りにも人為的に狭い枠にとどめて参入障壁をつくっていたじゃないかという規制緩和論者からの御意見が強くありまして、ロースクールの定員を人為的に制限すべきではないというような御意見が当時は強かったように記憶しております。
そういうこともありまして、基準を一応満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとされまして、その結果、七十四校の法科大学院がつくられたと。それで、ピーク時には入学定員が六千人近くと。これが、ややというか過大な規模であったということが一つの要因だろうと思います。それから、特に法学未修者の司法試験合格率が低迷しておりますので、法学未修者の教育の在り方についても十分でなかったところがあるのであろうと、課題があったと思います。
それで、このようなことから、現在、文部科学省におかれては、法科大学院の定員削減や統廃合といった組織見直しを促進する施策をいろいろ努力していただいております。それから、法曹養成制度改革推進会議でも、法科大学院の組織見直しを促す観点から、教員派遣、実務家を教員として派遣する見直し方策についても決定をしたところでございまして、こういう努力を通じて教育資源の集中を図って質の向上につなげていきたいということでございます。それから、文部科学省におかれては、法学未修者がより基本的な法律科目、基本法と申しますか、そういうものを重点的に学ぶことのできる仕組みの検討などを進めていただいているというところでございます。

○行田邦子君 御丁寧な答弁をいただきましたが、今大臣の答弁でもありましたけれども、司法試験の合格率を全体を引き下げてしまっている一つの原因というのが法学未修者の司法試験の合格率が非常に低いということで、これは数字として出ているわけであります。例えば、平成二十五年度は、法学未修者に限って言うと受験者が四千三百三十四人、合格者がそのうち七百二十二人と、一六・六%という低い合格率になっております。
そこで、関連して大臣に質問させていただきたいんですけれども、平成十三年の審議会の議論や、また十四年の閣議決定のときにも明記されていたと思いますけれども、法曹界においての多様な人材の確保が必要であると、それは法学部以外の学部の出身者であったりとか、また社会人経験がある方であったり、こういった多様な人材を確保する必要が求められているといったことが言われていたかと思います。
そこで、その流れで、法学未修者についても、しっかりと法科大学院に受け入れて、そして法曹として育てていこうといった流れがあったかと思うんですけれども、そこで大臣に伺いたいと思うんですけれども、法曹においてなぜ多様な人材というのが求められるんでしょうか。大臣御自身の御意見を伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) やはり、法律家に求められる、何というんでしょうか、識見が非常に多様化、複雑化しているというよりか、法律問題、法律が裁かなければならない問題自身が極めて多様化、複雑化しているのではないかと思います。
例えば、訴訟におきましても、極めて基本的な、何というんでしょうか、基本法で裁けるというよりか、かなり行政的あるいは政治的な判断、司法部でございますから政治的な判断と言ってはいけませんが、本来なら政治過程で解決すべき問題が司法に持ち込まれるというようなことも多々あるように思います。それから、経済とか金融等々は国内の秩序、国内の在り方だけでは判断ができませんで、やっぱり国際的な経済動向、金融動向というものにある程度通じていないと法律家としても処理ができないということがあろうかと思います。
さらに、人権とか環境問題、それから、そういうのは地球的規模の問題でございますが、同時に、犯罪等も国内の対応だけではうまく裁けない場合が、国際犯罪とかテロとかいうようなものをどう裁いていくかということになりますと、なかなか国内的な知見だけでは不十分である。もう挙げれば切りがございませんが、知的財産権であっても、医療過誤であっても、労働関係等々、これは国際化だけじゃなしに、非常に物事が複雑化してきて多様化してきている、こういうふうに思うわけですね。
ですから、それを法律問題として処理をしていくには、やはり多様な人材がなければいけない。そういう、何というか、理想がロースクールをつくったときに強くあったと思いますし、現在、もういろいろな問題はこの司法試験改革で出てきているわけでありますが、そういう需要があること自体は少しも変わらないので、我が国の法曹養成制度がどういうふうにしてそういうのに対応できる人材をリクルートし、養成するかというのは、引き続き喫緊の課題ではないかと思っております。

○行田邦子君 司法に持ち込まれる案件が非常に複雑化、多様化、また専門化していると、国際化しているということも言えるかと思います。そうした中で、引き続きやはり法曹界に多様な人材を育てて、また送り込むといったことが求められているというふうに、今の大臣の御答弁を聞いて私も同感いたしました。
そこで、最後の質問、文科省に伺いたいと思うんですけれども、多様な人材を育てるために必要と思われる法学未修者なんですけれども、司法試験の合格率が非常に低くなっています。このことに対する方針と対策をお聞かせいただけますでしょうか。

○政府参考人(中岡司君) お答えいたします。
多様なバックグラウンドを有する人材を多数法曹に受け入れていく観点から、多くの法学未修者が安心して法科大学院で学べる環境を整えるために法学未修者教育を充実することは極めて重要であると認識しております。
これまでも文部科学省といたしましては、法学未修者の一年次における法律基本科目の単位数の増加のための省令改正、あるいは厳格な成績評価、修了認定の徹底の促進など、法科大学院教育の質の向上に取り組んできたところでございます。
加えまして、昨年公表いたしました公的支援の見直しの更なる強化策におきましても、法学系以外の課程出身者又は社会人の直近の入学者数や割合が評価される指標を設けるなど工夫しているところでございます。
さらに、本年三月には、中教審の法科大学院特別委員会において取りまとめられました基本的方向性に基づきまして、法学未修者に対する法律基本科目の単位数の増加やその配当年次の在り方の見直しなどに速やかに取り組むこととしておりまして、文科省といたしましては、引き続きまして法学未修者教育の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。

○行田邦子君 質問が残っておりますけれども、時間ですので終わります。

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