【議事録】法務委員会質問(取り調べの可視化について)

平成26年04月24日 法務委員会

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
今日は、まず初めに、取調べの可視化について質問したいと思います。
三月二十七日に袴田事件の再審開始の決定が静岡地裁で言い渡されました。そして、私の住んでおります埼玉県におきましては、狭山事件で石川一雄さんが無実の罪を訴えて法廷闘争中であります。両事件とも、一九六六年、また一九六三年に起きたものでありまして、五十年間、事件が起きてから約半世紀たってもまだこのような冤罪であるという主張が両氏からなされているわけであります。この事件につきましては、取調べによる供述が任意性があったのか、信用性があるのかといったことも一つ問題となっていると認識をしております。
今日は、そのような視点で、冤罪をなくすという視点で、取調べの可視化について質問したいと思っております。
まず初めに、政府参考人に伺いたいんですけれども、取調べの録音、録画というのは試行的に今既に行われています。そこで、お聞きしたいんですけれども、どのような事件が対象となって録音、録画が行われているのか、そして実施件数、また公判請求された事件に占める実施件数の割合、そして録音、録画は、これ全過程が録音、録画されてはいないと承知していますけれども、それではどのような場面が録音、録画されているのか、お答えいただけますでしょうか。○政府参考人(林眞琴君) 現在、検察当局におきまして行っております取調べの録音、録画の実施状況等について御説明いたします。

まず、検察当局におきましては、録音、録画の対象事件という観点から御説明いたしますと、現在、被疑者の身柄を拘束中の事件でかつ裁判員裁判対象事件、それから、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に係る事件、さらに、精神の障害等により責任能力の減退、喪失が疑われる被疑者に係る事件、さらに、いわゆる独自捜査事件であって検察官が被疑者を逮捕した事件、こういった事件を対象といたしまして、公判請求が見込まれない場合であるなどの一定の事情がある場合を除きまして、被疑者が取調べ室に入室する時点から検察官が被疑者に対し録音、録画を終了する旨を告知する時点、又は被疑者が取調べ室を退室するまでといった取調べの全過程を含め、できる限り広範囲な録音、録画を行うなど、積極的な取組をしているものと承知しております。
録音、録画の実施件数でございますけれども、昨年、平成二十五年四月から十二月までの九か月間で見ますと、その実施件数は約五千九百件、これに対して、実施しなかった件数は百十件であるものと承知しております。
平成二十五年四月から十二月までのこのように取調べの録音、録画を実施した件数は約五千九百件でございますが、この間の、この同じ期間で、検察統計によりますと公判請求された事件数というのが約七万件でございますので、公判請求された事件数中、取調べの録音、録画を実施した事件の割合を計算いたしますと、約八%であるものと承知しております。

○行田邦子君 公判請求された事件数の数に対して、今、取調べの録音、録画というのは約八%ということでありました。そして、答弁いただいた中で、録音、録画の対象となる場面ができる限り広範囲にというふうにおっしゃっていますけれども、そこをもう少し具体的に教えていただきたいんです。
私が承知している中では、全過程の録音、録画というのは基本的に余りなされていなくて、被疑者の弁解録取の部分と、それから供述調書の読み聞かせの部分、ここを中心に録音、録画がなされているというふうに承知していますが、そこら辺、いかがでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) 先ほど四類型、対象事件に分けて申し上げましたが、例えば、昨年の平成二十五年四月から十二月までの九か月間で見ますと、まず裁判員裁判対象事件に関する録音、録画で見ますと、検察官の取調べで全過程の録音、録画が実施されたのは、全体の七六%で全過程の録音、録画がなされております。また、知的障害によりコミュニケーション能力に問題がある被疑者等に係る事件、これに対するものを見ますと、やはり全過程の録音、録画が実施されたのは約六三・七%。さらに、独自捜査で見ますと、やはり同期間でいきますと、独自捜査につきまして全ての取調べ全過程が実施されたのは約七七・八%などとなっております。

○行田邦子君 そうすると、裁判員裁判対象事件については、今七六%が全過程において録音、録画がされているということでよろしいわけですね。確認をさせていただきました。
そこで、次の質問に移らせていただきたいと思います。
そもそも、この取調べの可視化、録音、録画についてなんですけれども、試行的に警察また検察で行われるようになったのは、これは裁判員制度の導入に合わせてというふうに承知をしております。これが一つの流れとしてあるわけでありますけれども、もう一つの流れとして、この取調べの録音、録画についてなんですけれども、冤罪をなくすという視点があろうかと思います。
二〇一〇年の九月に厚生労働省元局長の村木厚子さんの無罪が確定しました。いわゆる郵便不正事件ですけれども、このことが契機となりまして、当時の法務大臣、柳田法務大臣が、大臣の私的諮問会議として検察の在り方検討会議を立ち上げて様々な議論がなされて、そこでは、もっと録音、録画の範囲を拡充すべきであるというような意見がかなり出されたと承知しています。その後、江田法務大臣に引き継がれて、この検討会議におきましては、また新たな場でしっかりと取調べの録音、録画については議論をするべきである、検討すべきであるといったことになりました。そこで、当時の江田法務大臣は、法制審に二〇一一年の五月に諮問をすると、このような経緯があるわけです。そこで、法制審の中では、新時代の刑事司法制度特別部会というのが設けられまして、そこで様々な議論がなされているわけでありますけれども、昨年の一月の下旬に、ここで基本構想というものが取りまとめられています。
そこで大臣に伺いたいんですけれども、この基本構想の中で、取調べの録音、録画について二つの制度案が示されています。一つは、一定の例外事由を設けた上で、原則、全過程の録音、録画の義務化ということ、もう一つは、これは取調べ官の任意、裁量での録音、録画といった二つの案なんですけれども、ただ、いずれにしても、ここに書かれているのが、対象事件については、裁判員制度対象事件の身柄事件を念頭に置いて制度の枠組みに関する具体的な検討を行いというふうに、裁判員制度対象事件の身柄拘束事件を念頭に置いてという注釈が付いています。
私は、冤罪をなくすという視点から取調べの録音、録画ということを見たときに、その目的にこれではかなっていないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 行田委員が今おっしゃったような経緯を踏まえて、法制審に新時代の刑事司法制度特別部会ができたわけですね。
それで、去年の一月、私が法務大臣に就任して直後でございましたが、いわゆる基本構想というのがその中でまとめられまして、今おっしゃったように、取調べの録音、録画制度、いわゆる可視化の在り方に関しては二つ大きな、二つの柱といいますか案がありまして、そのうちの一つは、一定の例外事由を定めながら原則として被疑者取調べの全過程についての録音、録画を義務付ける制度案と、こういうふうになっているわけですね。
それで、今この案につきましては、それまでの部会での議論を踏まえまして、まずは裁判員制度対象事件の身柄事件を念頭に置いて制度の枠組みに関する具体的な検討を行うと、これは今、行田委員がおっしゃったとおりでございます。
しかし、ここに書いてあることはそれだけではございませんで、要するに、その上、その結果を踏まえて更に対象事件の範囲の在り方について検討を加えると。決してここでの書き方は裁判員対象事件の身柄事件だけに絞れと言っているのではなくて、まず典型的にはそういった事例、事案でいろいろ制度設計の議論をして、更に対象をどう拡大していくかということを議論しようと、こういうことになっております。それで、この録音、録画事件の対象事件の範囲につきましては、今年の二月それから三月に行われました部会においても議論が行われているところでございまして、更に引き続いて議論をされることになっております。
それで、私の立場は、今、諮問をお願いいたしましてその結論を待っている段階ですが、ややちょっと蛇足になるかもしれませんが、私、十一年前に国家公安委員長をやらせていただいておりました。その当時この可視化の議論が出てきまして、そのときの警察の反応は、そんなことをやったらもう日本の治安はめちゃくちゃになると言わんばかりの反応でございました。それから検察においてもかなり似たような反応であったと思います。それから十年たちまして、今度法務大臣にならせていただいたら、かなり雰囲気は変わってきたと私は思っております。
要するに、検察におきましても、昔は、こういうことをやったら十分な取調べができなくなってしまって結局犯罪者を野放しにしてしまうと言わんばかりの議論でございましたが、やっぱりきちっと取調べをして可視化をしていくことには、それは取調べの観点から見てもいろいろメリットがあるというような認識も大分進んでまいりまして、私は、この可視化に関しては、全体の議論の中でかなり理解が深まってきたというか議論が深まってきたなという印象を持っておりますが、今の立場はその法制審議会の御議論を見守っているということでございます。

○行田邦子君 今大臣から、取調べの可視化についての警察、検察でのその捉え方の変遷というものも御答弁をいただきました。
私が先ほど質問した基本構想の中で書かれているその書かれ方なんですけれども、これは読み方の、その捉え方の違いかもしれませんけれども、裁判員制度対象事件の身柄事件を念頭に置いて制度の枠組みに関する具体的な検討を行いと書いていると、そうすると、やはりこれは裁判員裁判制度対象事件に限定されるんだというふうにもやはりミスリードされてしまうというふうに思うんですね。この後作業分科会で制度設計に関するたたき台も作っていますけれども、ここにおいても、やはり裁判員制度対象事件に対象を限定しているような、そのような流れになってしまっているわけです。ですから、私は、ここで、基本構想でこのようなことがあえて注釈として書かれているというのは、これは冤罪をなくすという視点から見るとおかしいのではないかなということをまず申し上げておきたいと思います。
次の質問なんですけれども、この基本構想の中での取調べの録音、録画制度で二方向示された第二案目についてなんですけれども、これは取調べ官の一定の裁量に委ねるという案なんです。私は、これだと、当時、二〇一一年に当時の江田大臣が法制審に諮問したその問題意識を理解していないのではないかなというふうに思わざるを得ません。
当時、江田大臣がどのように諮問をしたかというと、その内容なんですけれども、「近年の刑事手続をめぐる諸事情に鑑み、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、取調べ及び供述調書に過度に依存した捜査・公判の在り方の見直しや、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の導入など、刑事の実体法及び手続法の整備の在り方について、御意見を承りたい。」ということでありました。
この取調べ官の一定の裁量に委ねるという案が、なぜこの基本構想の中で出てきたのか。大臣、当時諮問した大臣の趣旨を理解していないではないかという質問ですけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) 先ほど来出ております平成二十五年一月に取りまとめた基本構想におきまして、今言われたように、取調べ、それまでの部会での議論を踏まえまして、一つには、一定の例外事由を定めつつ、原則として被疑者取調べの全過程について録音、録画を義務付ける、これを第一案と言われておりますが、もう一つが、録音、録画の対象とする範囲を取調べ官の一定の裁量に委ねるとするもの、これがいわゆる第二案と言われておりますが、この二つの案がこの制度の枠組みに関する案、いわゆる対象事件の範囲というのは別にして、制度の枠組みという点においてはこの二つの案が出てきたわけでございます。
その後、この二つの制度案を念頭に置いて具体的な検討を行うこととされまして、部会におきましては、この方針に沿って、この二つの制度案についてそれぞれ議論が進められてきております。そして、その第二案というものについては、取調べの一定場面について録音、録画を義務付ける案としてこれまで具体化されてきたわけでございます。
そして、そもそもこの基本構想でございますが、これをもって何らかの制度の採否や内容を確定するというものではございませんで、部会におけるそれまでの議論をその時点で中間的に取りまとめるとともに、その後の制度設計に向けたその後の検討の指針とするために、この時点で部会の総意によって策定されたものと理解しております。そして、これまでの部会における審議の経過等を踏まえますと、第二案についても、それまでの部会における真摯な議論を踏まえて検討の対象とされてきたものでございます。
いずれにいたしましても、今後でございますが、部会におきましては、こうしたこれまで進めてきた議論を踏まえまして、改めて事務当局が今後作成する試案を基にいたしまして、最終的な取りまとめに向けた議論、検討が進められることとなっております。法務当局としては、この部会において最終的な取りまとめに向けまして充実した審議が円滑に行われるよう努めてまいりたいと考えております。

○行田邦子君 この基本構想が中間的取りまとめだということで御答弁されましたけれども、実はこの基本構想を取りまとめる段階におきましても、少なくない何人かの委員から、これまで述べてきた意見が全く反映されていないのではないか、なぜこのような取りまとめになるかといったかなり強い意見がありました。議事録を見るとそのような記録になっております。そうはいっても、ここで基本構想が取りまとめられて、そして、専門家による作業分科会においても、この二つの方向性を基に制度設計のたたき台というものは作られるわけです。
そして、今、特別部会でたたき台について議論がなされているわけでありますけれども、そこで、第一案目を基にしたたたき台について伺いたいと思います。
第一案目の方は義務付けなんですけれども、一定の例外事由を定めつつ、原則として録音、録画を義務付ける制度ですが、この一定の例外事由というのをどのようにするのか、どのような範囲にするのかということが今議論がなされているわけでありますが、二月十四日にたたき台として出されたものを見ているんですけれども、これを見ますと、一定の例外事由というのがかなり幅広く取られています。一つは、記録に必要な機器の故障その他のやむを得ない事情によると。そしてもう一つは、被疑者が記録を拒んだ、またその他の事情によると。そしてもう一つは、被疑者が十分な供述をすることができないと認めるときと。犯罪の性質、関係者の言動、被疑者がその構成員である団体の性格その他の事情に照らし、被疑者の供述及びその状況が明らかにされた場合には、被疑者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる、若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあることによると。このようなことが書かれていまして、これだと例外事由というのはかなり広く任意に解釈をされてしまうというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) この基本構想に基づきまして、今御指摘のありましたように作業分科会でこれまでも議論がされてまいりまして、御指摘のとおり本年二月に行われました、第二十三回となりますが、その部会におきまして作業分科会における検討結果がたたき台として報告されまして、これを基に更に三回これまで議論がなされておりました。
今お尋ねの部分のこの第一案における例外事由に関する点についても、当然この議論がなされております。その際の議論の状況を若干御説明いたしますと、例えば、その例外事由の在り方については、一方で次のような意見が部会で出ております。
加害等のおそれによる例外、被疑者の拒否等による例外について、被疑者が録音、録画の実施を求めた場合にはこれを例外とすべきではないという意見でありますとか、被疑者の拒否等による例外について、被疑者が十分な供述をすることができないと認めるときという要件についてはこれを要件とすべきではないなどの意見がございました。また、その一方で、いずれもこのたたき台の例外というのが必要かつ相当であるという意見もございました。
それ以外に、さらにこの例外という観点でいきますと、性犯罪を始めとする被害者のプライバシー保護等の観点からはこのたたき台の例外の範囲は必ずしも十分ではないという意見、あるいは組織的な犯罪については端的にその組織的犯罪であることを例外事由とすべきであると、こういった意見など、幾つかの様々な方向からの意見がこれまでなされ、議論がなされております。

○行田邦子君 そして、今取りまとめに向かっているところというふうに承知をしておりますけれども、私の考えですけれども、これは取調べの録音、録画の範囲を拡充することがプライバシーの保護に抵触するというような意見もありますけれども、それはむしろ、問題というのは、取調べの録音、録画を行うことそのものではなくて、その録音、録画されたものを公判でどのように使うのか、また使わないのかといった基準、線引きであり、また、証拠として情報開示、証拠開示をどのように行うのかといった、そのような線引きが重要なんだというふうに私は考えております。
それで、大臣に質問なんですけれども、実はこの特別部会の委員というのは、これは法務省としては異例の人選だというふうに言われていますけれども、専門家とそれから専門家ではない方と、委員と幹事合わせて四十人から成るんですけれども、そのうちいわゆる非専門家、法曹界でない方が七人というふうになっています。その中には村木厚子さんも含まれています。こうした専門家ではない方から、例えば去年の一月の基本構想の取りまとめのときに、非常に自分たちの意見が、一般市民としての自分たちの意見が反映されていないという強い意見も出ていました。けれども、基本構想は取りまとめられました。
そして、今回、この制度設計に関するたたき台でいろんな意見を非専門家が言っているんですけれども、なかなかそれを取り入れてもらえないというような背景で、お手元の資料にお配りしています資料一ですけれども、三月七日の特別部会におきまして、五人の委員から取りまとめに向けての意見というのが出されています。これをお読みいただくとお分かりになると思いますけれども、非常に文章は冷静で、また丁寧ではありますけれども、自分たちの意見がなかなか反映をされていないという非常にもどかしい思いやまた焦りといったことも読み取れるわけであります。
そこで、大臣に伺いたいんですけれども、この法制審特別部会のこの議事進行に私は少なからず問題がある、またあったのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今資料としてお配りいただいた五人の方の意見書、私も読ませてこれはいただいております。
それで、今、何かこの法制審議会の審議の在り方、議事進行の在り方に問題があったのではないかという行田委員の問題意識でございますが、これを、私もこの五人の一般有識者の委員の方々とこの問題で直接お話ししたことはございませんので、このペーパーを読んだということしかないのでございますが、ここに書いてございますのは、議事進行の話というよりも、もちろんお立場は全面可視化ということで書いてあるわけですね。しかし、その全面可視化が実務的に直ちにできないのであればこういう手法もあるというようなことを書いていただいておりまして、私はこの全体の議論の中で建設的な問題提起もしていただいているペーパーだなというふうに読みました。
したがいまして、取りまとめに向けての一つのお考えを建設的に出していただいたのではないかと思っておりまして、こういったことも含んで幅広い観点からの充実した議論をしていただいて、良い結論を出していただきたいと私は思っております。

○行田邦子君 今大臣がおっしゃられたように、この取りまとめに向けての意見というのは実に建設的な提言だと私も思っております。このような意見が無視されないように、特別部会においての議事進行も、是非これ、法制審は法務大臣の任命によって委員が選ばれるわけですから、この法制審の特別部会でどのような議事進行が行われているのか、大臣としてもしっかり見ていただきたいというふうに思います。
そして、次の質問に移りたいと思います。
国連の拷問禁止委員会からの勧告についてであります。
昨年の五月に国連の拷問禁止委員会から我が国が、日本政府が勧告を受けております。これは、日本が一九九八年に拷問禁止条約を批准しているわけでありますけれども、この昨年の審査というのは二回目に当たるわけです。そこでどのような勧告がなされているか。取調べ及び自白についての勧告がなされているわけでありますけれども、その中で、有罪判決が自白のみに基づいて下されることはないという日本側の発言や、取調べガイドラインがあるということには留意しつつも、けれども、やはり取調べの全過程を電子的に記録するなどの保護措置を実行し、その記録を裁判で使用できるよう保証するべきであるということが書かれております。
この勧告について、大臣はどのような御見解を捉えていますでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 拷問禁止委員会の見解を示した文書で、全過程の可視化と電磁的な記録ということが盛り込まれている、もうこれは委員の御指摘のとおりでございます。
それで、それに対応、対応してと言ってはちょっと違うのかもしれませんが、先ほど来御議論の法制審の新時代の刑事司法制度特別部会、これは今更言うまでもございませんが、過度に取調べや供述調書に依存した捜査、公判の在り方を見直していこうという問題意識で設けられたものでございます。そこで被疑者取調べの録音、録画、いわゆる可視化と、時代に即した新たな刑事司法制度の構築について今議論が行われているわけでございますので、それで、いわゆる可視化、これは捜査に与える影響や国民の安全、安心を求める期待ももちろんありますので、その辺は考えなきゃいけませんが、全体として、先ほど申し上げたような目的の中でバランスの取れた検討を行っていただかなきゃなりません。私はそれを強く期待しているわけでございます。

○行田邦子君 国連のこの勧告は、法的拘束力はないとはいっても、条約を批准している国でありますので、この勧告をしっかりと重く受け止めるというこれは責任はあるというふうに思っております。
そしてまた、二百二十二の地方議会におきまして、警察や検察による取調べの録音、録画、可視化を制度化するよう意見書が可決されています。二百二十二の地方議会で、昨年末時点でこれだけの地方議会で可決されているというわけであります。これもやはり法的な拘束力はない、地方議会の意見書というのはないわけではありますけれども、ただ、それぞれの地域の代表者の集まっている地方議会におきまして、その住民の声を代弁するという意味で二百二十二の地方議会でこういった意見書が可決されたということは、やはり政府としても重く受け止めていただきたいというふうに思います。
そして、ちょっと済みません、時間がなくなってきたんですけれども、次に個人保証の第三者保証について伺いたいと思います。
ちょっと質問、済みません、飛ばさせていただきまして、まず政府参考人に伺いたいと思います。
第三者保証について、思ったよりかその債務が重くて、そしてまた保証人の方にその債務が来てしまって生活が破綻するといった、そのような悲惨なケースというのが絶えないというふうに言われています。
そこで伺いたいんですけれども、自己破産の件数と、そしてそのうち第三者保証の債務が原因の自己破産の件数を教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 破産申立ての件数につきましては、最高裁判所が行っている司法統計を通じて把握しております。
直近の統計によりますと、平成二十四年で自然人の自己破産の申立て件数は八万二千九百一人、八万三千人弱というところでございます。ただ、この司法統計では破産に至った原因ごとの統計数値が把握されておりませんので、そういう意味では全国的な数値を法務省として把握はしておりません。
もっとも、日本弁護士連合会が平成二十三年に破産事件における破産理由等の調査を行って、その結果を公表しておられます。それによりますと、調査をした破産事件、これは全国のサンプル調査でございますけれども、のうち、主な破産理由が保証債務であるものの割合は一九%程度であるというふうになっております。仮にこれを二十四年度の直近の破産申立て件数に掛け合わせますと、一万五千六百人ほどになるということになります。

○行田邦子君 一万五千六百人の方が第三者保証の債務が原因で自己破産に追い込まれているという数字であります。また、これによって、連帯保証債務による自殺者というのが、平成二十五年だと二十人、平成二十四年だと三十三人、また平成二十三年は四十三人という警察庁による自殺統計にもなっています。
そこで、ちょっと最後の質問になりますけれども、今日は金融庁にお越しいただいていますので、質問したいと思います。
金融庁は平成二十三年七月に監督指針を改正しまして、そこでは経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行を確立するというふうになっています。ここに至った経緯と理由、そしてまた今その監督状況としてどの程度第三者保証人を求めている件数があるのか、お教えいただけますでしょうか。

○政府参考人(小野尚君) お答え申し上げます。
経営者以外の第三者の個人連帯保証につきましては、直接的な経営責任がない第三者に対し債務者と同等の保証債務を負わせることが適当なのかという御指摘等が従来より行われてきたところでございます。金融庁といたしましては、このような御指摘等も踏まえまして、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立を図るため、平成二十三年七月に金融庁の金融機関に対する監督指針を改正いたしまして、原則として経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない旨明記したところでございます。
私どもといたしましては、この監督指針に基づきまして、第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする方針というものにつきまして、金融機関の取組姿勢や取組状況を確認しているところでございます。
この監督指針におきましては、ただ、一方で、一律に個人連帯保証を禁止するということは中小企業における円滑な資金調達の支障となるおそれがあることから、必要な最小限度の例外も認めてございます。具体的には、実質的な経営権を有している方、事業に従事する配偶者の方、事業承継を予定している方、また自ら連帯保証の申出を行った方等、経営者に準ずる方に限定しているところでございます。
金融庁では、全ての金融機関における第三者の保証人を求めている件数を把握してございませんが、複数の金融機関に対しまして、例外としてどのようなケースにおいて第三者保証人を求めているのかヒアリングしましたところ、経営に従事している配偶者の方、代表取締役を退きましたが実質的に経営に関与している元社長やオーナーといったケースのほか、経営に実質的に関与してはおりませんが、身内の創業を支援する、あるいは取引先の代表者が独立間もない元従業員を支援するといった理由で自ら連帯保証の申出を行い、例外的に第三者の保証が付与されているケースもございました。
いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、原則として経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めない旨の監督指針を踏まえまして、引き続き適切な対応を図るよう金融機関に促してまいりたいと存じます。

○委員長(荒木清寛君) 行田さん、おまとめください。

○行田邦子君 はい。
今、実務レベルでは既に経営者本人以外の第三者保証というのは求めないということで運用されているわけであります。ここはしっかりと、今議論が法制審でもなされていますけれども、民法におきましてもこの実務で行われていることを反映されるような法改正が必要だということを申し上げまして、私の質問を終わります。

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