【議事録】法務委員会質問(会社法について)

平成26年06月12日 法務委員会

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
会社法の審議も大分進んできているわけでありますけれども、今日は副大臣、政務官にも後ほどお聞きしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
まずは支配株主の異動を伴う第三者割当て増資について大臣に伺いたいと思います。
この度の改正法案の中には、大規模な第三者割当て増資について株主総会の決議を必要とする制度を設けていますけれども、これまで第三者割当て増資については様々な問題点が指摘されてきました。いろんな投資家が損害を受けるといったケースも指摘されてきたわけでありますけれども、まずは大臣に伺いたいと思いますのは、この制度を設けるに至った問題意識を伺いたいと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 現行法では、公開会社は払込金額が引受人にとって有利な金額である場合、いわゆる有利発行、このいわゆる有利発行でない限りは、定款に定められた発行可能株式総数の枠内で取締役会決議によりましてこの発行を決定することができるという仕組みになっております。それから、発行する株式の割当てにつきましても株主総会決議を必要とはしていない、取締役がこれを決定することができるという仕組みになっているわけですね。
そこで、支配株主の異動は、これは当然のことながら株式会社の経営にとっては極めて大きな意味を持ちます。会社の在り方にとっては重大な影響を持つものでございますから、新たな支配株主が現れることとなるような株式の割当てについては既存の株主に情報開示がないといけないんじゃないか、情報開示を充実させるとともに株主の意思を問うための手続が必要ではないかという議論が従前からございました。
そこで、今度の改正法案では、株式割当てによりまして株式引受人となった者が株式の発行の結果として公開会社の総株主の議決権の過半数を有することとなる場合には、株主に対してその引受人に関する情報を事前に開示しなさいと。それから、総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から反対の通知があった場合には、その引受人に対する株式の割当てについて株主総会の決議による承認を要すると、こういうことにいたしまして、従前の指摘されていた問題点を、何というんでしょうか、克服しようということでございます。

○行田邦子君 大臣が御答弁されたように、支配株主の異動を伴う、議決権の過半数を有する株主が異動する、変わるということは、これは株式会社にとっては大変に大きな影響を及ぼすことだと思います。にもかかわらず、これまでの会社法の規定によりますと、既存株主の意見を聞く機会もなく、また反対といって異を唱える機会もなかったということであります。
そこを問題を解決しようということでありますけれども、確かにそれはそのとおりだと思いますが、それだけではなくて、既存株主の持っている株の希薄化という問題も指摘をされているところであります。
例えば、東京証券取引所におきましては、もう既に二〇〇九年からの規程によりまして、発行済株式に係る議決権の総数の二五%以上を発行するような増資を行う場合については株主総会を経るか、あるいは第三者の意見を聞くというような規程になっています。また、欧米などでは、実質的には、増資を行うときには株主総会の決議が必要であったりとか、あるいは一定以上の希薄化がなされる場合には、やはりこれも株主総会の決議が必要であるというような運用になっているわけでありますけれども。
そこで局長に伺いたいと思うんですけれども、今回のこの新しい制度におきましては、支配株主が異動するような、そのような大規模な第三者割当て増資を行う場合には規定が設けられていますけれども、一方で、いわゆる希薄化、発行済株式総数の一定割合以上の発行を基準とするような、そのような規定を設けなかった理由は何なんでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 今委員から御紹介があったとおり、東証のルール、規制では、既に二〇%以上の、二五%ですか、量の募集株式の発行をするときには株主総会の決議あるいは第三者の意見の入手というのが必要とされているところです。
ただ、今回のこの制度は、先ほど法務大臣から御答弁があったとおり、募集株式の発行のうち支配株主の異動があるもの、これが類型的に公開会社の経営の在り方に極めて重大な影響を及ぼすと、これまでの制度ではその場合でも別に株主総会決議は不要でしたけれども、この場合について、株主に対する情報開示の充実と、一定の場合の既存株主の意思を問うという制度を設けたものでございます。
つまり、規律の対象となる支配株主の異動を伴う株式の発行の範囲というものをどう定めるかという議論になりまして、客観的、形式的な基準によって定めるべきであるということから、単に発行済株式総数の一定割合以上の株式が発行されたというだけでは、支配株主の異動が生ずる場合もあれば生じない場合もございますので、その委員が御指摘のような発行済株式総数の何十%という基準を取らずに、支配株主の異動を伴う場合に限定をする趣旨で引受人の議決権の保有割合が総株主の議決権の二分の一を超えることとなる株式の発行について対象を限定したと、こういうことでございます。

○行田邦子君 今局長が、単に発行済株式総数の一定割合以上の増資を行うというだけではというような御答弁されましたけど、それ自体も私は、一定割合以上の増資ということであれば、これは既存株主にとっては影響があるというふうに思っておりますので、今回の改正法案の中には支配株主の異動を伴う場合に限っての制度でありますけれども、今後も一定割合以上の希薄化率の場合についての規定というのを検討すべきであることを申し上げておきたいと思います。
そして、この新しい第三者割当て増資に関する規制なんですけれども、例外規定が設けられています。二百六条二の四なんですけれども、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときはこの限りではないというふうになっています。会社の存立を維持するため緊急の必要があるときは例外というふうになされているわけでありますけれども、具体的にどのようなケースが想定されるのか、またその緊急性を証明するためにはどのような資料を示す必要があるのか、お答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) まず、前者の方の具体的にどういう場合のことを言っているのかということですけれども、総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から反対の通知があったときは総会の決議による承認を得るというのが原則とされているわけですけれども、当然のことながら、株主総会を開催するためにはある程度の期間が必要になります。総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から反対の通知があったので総会の決議を常に要するということにしますと、公開会社が経済的に窮境にある場合、必要な資金調達が間に合わずに倒産をしてしまうと。倒産してしまいますと、かえって株主の利益を害するということになるおそれがございます。そこで、委員が指摘された二百六条の二の第四項ただし書では、当該公開会社の財産の状況が著しく悪化している場合において、当該公開会社の事業の継続のため緊急の必要があるときに反対通知があっても総会決議による承認を要しないという例外を設けたものでございます。
こういった趣旨ですので、具体例としては、資金不足によって倒産の危機が迫っていると、こういう状況にある場合が典型例でございます。
また、この緊急の必要性というのは一体どうやって立証するのかというお尋ねでした。これは、判断するのは公開会社の取締役が判断をすることになりますけれども、この証明の必要が生ずるのは株式発行の差止め請求がされた場合です。つまり、総株主の議決権の十分の一以上の議決権を有する株主から反対通知があったにもかかわらず公開会社が株主総会の決議を経ないで株式の発行をしようとするときには、それによって不利益を受ける株主は差止めの請求をすることができます。
この差止めをめぐる裁判、これは保全処分、仮処分になることも多いと思いますが、の裁判手続の中で公開会社の側は緊急の必要性があったから総会決議は飛ばしたんですということを裁判所に対して主張を立証していくと。その際の証拠として考えられるものは、例えば、その財務に関する資料ということになりますので、貸借対照表、損益計算書あるいは資金繰り表といったようなものになると思われます。

○行田邦子君 私は、例外規定を設けたことは理にかなっているとは思うんですけれども、ただ、例外規定の解釈が曖昧であったりとか、また拡大解釈をされることによっての運用がなされると、この制度自体の意味がなくなってしまうのではないかなということを危惧しております。実際に、第三者割当て増資で過去問題になったケースとしては、資金繰りが厳しいからということで大規模な第三者割当て増資をして、そのことによって、結果的に既存株主が損害を被るといったケースも問題になったわけでありますので、この例外規定の運用をしっかりと行っていただきたいと思います。
それでは、次の質問なんですが、平口政務官に伺いたいと思います。組織再編等の差止め請求制度についてでございます。
組織再編等の差止め請求なんですけれども、これまでは、会社法では略式組織再編については株主の差止め請求権が規定されていました。会社法上に規定されていました。けれども、通常の組織再編については株主の差止め請求権が規定されていなかった。それを今回規定しようとしているわけですけれども、なぜこれまで通常の組織再編においては規定してこなかったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。

○大臣政務官(平口洋君) お答えをいたします。
総株主の議決権の十分の九以上を有する株主との間の組織再編をこれを通常、略式組織再編と、このように言っておりますが、委員御指摘のとおり、現行法では略式組織再編については差止め請求を認めており、それ以外の通常の組織再編についてはこのような規定はないと、こういうことでございます。
これはなぜかというと、略式組織再編におきましては被支配会社の株主総会の決議を要しないことから、被支配会社の少数株主にとって、株主総会決議の取消しの訴えを提起することによって組織再編の効力を争うということができないという、これに対しまして、通常の組織再編の方では株主総会決議が必要とされていることから、株主総会決議の取消しの訴えを提起することによって再編の効力を争うことができると、こういうことからでございました。
しかしながら、通常の組織再編においても、それが法令、定款に違反する場合に株主に大きな不利益を与えるおそれがあることは略式組織再編と同様でございまして、決議の取消しの訴えによる事後的な救済方法では一旦は株主に不利益が生ずるような事態は避けられないということでございます。そしてまた、事後的に組織再編の効力が否定されるということは法律関係を不安定にすると、こういうふうなおそれもある、こういうことでございまして、改正法案では、法令、定款違反の組織再編によって株主が受ける不利益を事前に回避する手段としてこのような組織再編の差止めを株主が請求することができるというふうに明文の規定を設ける、こういうことにしたものでございます。
以上でございます。

○行田邦子君 ありがとうございます。
略式組織再編については株主が株主総会において意見を述べる機会がないから、それで会社法においてこのような差止め請求権を認めているということで、一方で通常の組織再編については株主総会で株主は意見を述べることができるので会社法上規定してこなかったと。けれども、例えば法令違反やまた定款違反がある場合等、分かっているにもかかわらず差止め請求ができないというのは、これは理にかなっていないということでの今回の改正法案というふうに理解をいたしました。
それでは、ちょっと時間も残り僅かですので、次の質問、一問飛ばさせていただきたいと思います。
社外取締役の選任の義務付けについて伺いたいと思います。参議院の法案提出者に伺いたいと思います。
この義務付けなんですけれども、これについて様々な意見があるわけでありますけれども、会社法で規定するのではなくて証券取引所の上場規程で義務付けることで十分でないかと、それが筋ではないかといった意見をなされる方もいます。それについてどのようにお考えでしょうか。

○前川清成君 ありがとうございます。
まずは、会社の機関設定という会社の最も重要な事項ですから、法律で定めることは当然だろうと思います。
それと、おとついの出入国管理法に関する質疑でも申し上げたんですけれども、日本の会社もアメリカやそれぞれの国に進出する、海外の国も日本に進出してくるわけです。そんな場合に、日本の会社に関するルールが会社に関するルールを定めてあるであろう会社法を見ても分からないと。場合によっては法務省の通達を見ないといけない、場合によっては判例を調べなければいけない、場合によっては上場規則を調べなければならないとなりますと、それはやっぱり日本の市場というのは閉ざされた市場だというふうな評価を受けてしまって、私は、海外からの投資を呼ぶことはできない、やっぱりグローバルな社会にあっては世界の国々に対して日本の会社に関するルールは会社法でお示しする必要があると、そんなふうに考えております。

○行田邦子君 日本の会社を規定するのは、それはしっかりと誰が見ても分かるように法律で規定すべきだという法案提出者のお考え、よく分かりました。
それでは、もう一問質問させていただきたいと思います。
社外取締役の義務付けについて否定的あるいは消極的な方からよく意見がなされるんですが、人材の確保が難しいと、だからこれは義務付けというのは難しいという意見がなされますが、それについて法案提出者はどのようなお考えでしょうか。

○前川清成君 この点は五月十三日の当委員会における参考人質疑で東京証券取引所の静さんがおっしゃっていたんですけれども、全国に上場会社が三千四百ある、つまりは三千四百人の社長さんがいて、この三千四百人の社長さんもいつかは退任をされると。ですから、人材としては十分だし、それに対するマッチング、これをやれば供給源が足りないということはないということをおっしゃっておられました。
それともう一つ、私は今から二十五年前に弁護士になったんですが、その当時弁護士は一万三千八百人でした。現在三万三千六百人おります。公認会計士さんも平成二年当時一万一千四百人でしたが、現在三万三千人いらっしゃいます、ごめんなさい、これは公認会計士さんと会計士補さんの人口であります。
弁護士や公認会計士に会社のもうかる仕組みが分かるのかというふうな御意見もあろうかと思いますが、社外取締役の議論が何で出てきたかというと、例えばオリンパスであったり、あるいはエリエールであったり、あるいは西武であったり、これ枚挙にいとまがないんですが、粉飾決算が行われている。日本の上場会社の会計、公開されているのと中身がえらい違うやないかと。その結果として、海外の投資家から信頼をなくしてしまった。
この趣旨から考えますと、例えば弁護士であれば、その会社にしがみつかなくても食べていける、つまりは不正をただすことができる。逆に、その会社にしがみついて不正を隠蔽してしまうと、弁護士の資格を失ってしまう。それこそ元のもくあみもなくて食べていけなくなる。ですから、私は、弁護士や公認会計士というのは社外取締役の供給源として極めて重要ではないかと、こんなふうに考えております。

○行田邦子君 ありがとうございます。
実は、つい先日なんですけれども、私のもう昔からの知り合いが、今度一部上場企業の社外取締役になるということでした、銀行の頭取をなされていた方なんですけれども。確かに、こういう、私よりもう大先輩なんですが、人材というのは社外取締役に適任だなということを実感いたしました。御本人もそのことに気付いていなかったようなんですけれども、まだまだ社外取締役としてしっかりと働ける方というのが、人材が日本にはいるというふうに私も確信をしております。
そこで、最後の質問なんですが、副大臣に伺いたいと思います。副大臣の企業経営の御経験からも伺いたいと思いますけれども、この度の議員立法では社外取締役選任の義務付け、そして閣法におきましては、これは義務付けにはなっていませんけれども、大きな流れとしては日本企業において社外取締役を置いていくという方向になっていくかと思います。そうすると、日本の企業の取締役会の在り方というものも変わってくるかと思っております。
これまでは内部の、社内の人間が業務に精通していて、そこから取締役に上がっていくと。取締役会の機能というのは主に細かな業務執行の意思決定機関であったと思います。ところが、外部の目線、外部の視点といったものを重視される社外取締役を置くと、そこに求められていることというのはやはり執行側をしっかりと監督するという機能ではないかなというふうに思っているんですけれども、副大臣はどのようにお考えでしょうか。

○副大臣(奥野信亮君) 私の経験も含めて申し上げさせていただきますと、今、行田委員がおっしゃったこと、まさにそのとおりだろうと私は思っております。
従来の取締役会というのはどういう役割を持っていたかといえば、業務執行機能を果たすということが一つ、それからもう一つは、代表取締役の、何というんですか、判断をきっちりチェックするという機能を持っていたはずです。しかし、取締役に上げてもらったのは代表取締役に好かれてというか認められて上げてもらったわけですから、取締役は代表取締役に対して物が言えないというのが日本の企業の中の一つの流行といいましょうか、そんなことでありました。
しかし、それではやっぱり駄目なんだということでだんだん世の中が変わってきて、取締役と業務執行を分けようよと、こういうことになってきたわけでありまして、業務執行と取締役を分けて、業務執行は業務執行の方がやりなさいと、取締役は業務執行を監査、監査と言ったら悪いかもしれませんが、要するに業務執行の妥当性をチェックしてくださいと、こういう機能分担になりつつある過程だろうと思います。
ですから、取締役会の機能というのは業務執行の妥当性をチェックする、そしてコーポレートガバナンスをしっかりと根付かせるんだと、こういう役割を持っているんだろうと思います。ですから、理想的にいうと、私は取締役というのは社外取締役がいいと思います。最近も株主総会通知がたくさん来ていますけれども、それを見ますと、やはり今おっしゃったように銀行の代表取締役経験者が社外取締役に入っているというケースもたくさんあります。ただし、今、前川さんが言われたように、弁護士だ公認会計士だというところについては、ただ肩書を持っているからそれを入れるのがいいんだというふうにはならないと思います。
そういったことを含めて考えながら、時間を掛けながら、この日本の草食人種にふさわしいやり方というのをこれから進めていくには、一気に社外取締役を入れるんじゃなくて、徐々にそういう雰囲気をつくり、そういう制度をつくり上げていくという方が妥当ではないかなと、私はそう思っております。

○行田邦子君 この度の会社法の改正が是非、日本株、日本市場への信頼、投資家からの信頼を更に得る、そしてそのことが日本経済を更に元気にしていくことにつながるよう期待をいたしまして、私の質問を終わります。

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