【議事録】法務委員会質問(民法(家族法)について)

平成26年03月13日 法務委員会

○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  二〇一一年三月十一日、東日本大震災が起きてから、一昨日、三周年ということでありました。私自身も岩手県の生まれという、被災地に多くの親戚を残しているという立場からも、一日も早く復興を果たせるように、私もこの国会で、特に法務委員会で臨んでいきたいと思っております。  それでは、質問をさせていただきます。  先日、谷垣大臣から所信をお聞かせいただきました。非常に幅広い分野における法務行政について、大変丁寧に所信をお聞かせいただきました。けれども、今日私が取り上げたいテーマというのは先日の大臣の所信の中には触れていなかったことでございまして、何かといいますと、民法の家族法、特に婚姻、離婚規定についてでございます。  まず初めに、民法の家族法、特に婚姻、離婚規定についてどのような作業がなされてきたのかを振り返ってみたいというふうに思っております。具体的には、民法でいいますと七百三十一条、七百三十三条、そして七百五十条ということに当たります。  まず、法制審議会におきまして、民法の婚姻、離婚規定の見直し作業というのが着手されたのが今から二十三年前、一九九一年というふうに認識をしております。このときに法制審議会で見直し作業に着手されたその経緯とまた背景をお聞かせいただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) お尋ねの件につきましては、長い経緯がございますので少し遡って説明をさせていただきます。  民法のうち家族法に関わる部分は現行憲法の制定に伴って昭和二十二年に全面改正されましたけれども、改正作業の時間が十分でなかったことから、憲法に抵触しない規定については明治民法の規定がそのまま残されており、改正法案が成立した際に衆議院において、「本法は、可及的速かに、将来において更に改正する必要があることを認める。」という附帯決議がされました。  こういった背景事情もございまして、昭和二十九年に法務大臣からその諮問機関である法制審議会に対しまして、民法に改正を加える必要があるとすればその要綱を示されたいと、こういう包括的な諮問がされました。法制審議会の民法部会に設置された小委員会というものにおきまして、家族法の全面的な改正のための調査審議がその時点から開始されました。そして、その結果を受けて、昭和三十七年及び昭和五十五年の相続法の改正、昭和六十二年の養子制度の改正などが順次行われたところでございます。  もっとも、御指摘の婚姻、離婚に関する法制につきましては、昭和二十二年の改正以降、根本的な部分の見直しがされないままであったところ、戦後約半世紀が経過し、この間に我が国の社会情勢や国民の生活が大きく変化をし、家族の構成員である個人の人生観や価値観も多様化してきたこと、また諸外国の法制の動向なども踏まえまして、平成三年から婚姻、離婚等に関する規定の見直しの作業が開始されたものでございます。

○行田邦子君 ありがとうございます。  そして、こうして法制審議会におきまして一九九一年から民法の婚姻、離婚規定の見直し作業が続いていたわけですけれども、その五年後、一九九六年に法制審議会による最終答申がなされました。また、その法案要綱といったものも答申をされました。  それを受けて、法務省の中では法案提出の準備が一旦なされたわけでありますけれども、にもかかわらず、民法の婚姻、離婚規定に関する法案の改正案が閣法として国会提出に至らなかった、その理由をお聞かせいただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、法制審議会は平成八年、一九九六年二月に選択的夫婦別氏制度の導入を含む民法の一部を改正する法律案要綱を法務大臣に答申いたしました。  法務省としては、この法律案要綱に基づいて、平成八年の通常国会に民法及び戸籍法の一部を改正する法律案を提出すべく関係方面と折衝を行ってまいりましたが、与党を始め各方面に様々な御意見、御議論があったことから、国民の意識に配慮しつつ、更に慎重な検討を行う必要があると考え、法案の提出を見送ったものでございます。

○行田邦子君 こうして法案の提出を見送ったということですけれども、その後、民主党政権になりまして、二〇一〇年の一月に民法及び戸籍法の一部を改正する法律案が政府からの提出法案として予定をされていましたけれども、ここでも閣議決定がされずに国会への提出が見送りといったこともございました。こうして、一九九一年に法制審議会で初めて民法の婚姻、離婚規定に関する見直しが行われて、二十数年間たってもなおいまだに国会に閣法として法案が提出されていないという状況であります。  そこで、確認なんですけれども、法務省所管の法律におきまして、政府案ができ上がっていながら長期にわたって国会に提出されていなかった例というのはあるんでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 法制審議会による法律案要綱の答申がされたものの、いまだ法案を提出したことがないという例は、民事法に関するものとしてはほかにございません。もっとも、民事法以外の分野では、昭和四十九年五月に答申をされた改正刑法草案、これは刑法の全面改正に関するものですが、これがそのようなものでございます。

○行田邦子君 法制審の答申がなされていながら閣法として国会に提出されなかったものというのは極めてまれなのかなというふうに認識をいたしました。  ここで少し視点を変えまして、それでは、国連などの人権機関からどのようなことが今の日本の家族法について言われているのかといったことをなぞってみたいというふうに思います。  国連人権機関から日本政府に対してなされた民法の差別的規定改正の勧告がありますけれども、これは何度かなされていると思いますけれども、具体的には、民法の差別的規定というのは、婚外子の相続差別、それから選択的夫婦別姓を取っていないという夫婦同氏ということ、それから婚姻最低年齢、それから再婚禁止期間と、この四つかと思うんですけれども、これらについての国連人権機関からの勧告の内容、その概略を簡潔にお答えいただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 我が国は、国際人権諸条約に基づいて国連に設置された委員会から、御指摘の民法の規定について、差別的な規定を廃止し又は条約に適合するように民法の規定を改正するよう繰り返し勧告を受けているのは事実でございます。  例えば一例を挙げますと、女子差別撤廃委員会は、平成二十一年八月、我が国に対し、男女共に婚姻適齢を十八歳に設定すること、女性のみに課されている六か月の再婚禁止期間を廃止すること、及び選択的夫婦別氏制度を採用することを内容とする民法改正のために早急な対策を講じるよう要請すると。さらに、嫡出でない子とその母親に対する民法及び戸籍法の差別的規定を撤廃するよう要請するといった勧告を受けております。

○行田邦子君 このような国連人権機関、主に女子差別撤廃委員会からだと思いますけれども、何度かにわたりまして勧告がなされ続けているという状況であります。  そこで、今日は内閣府の男女共同参画局長にお越しいただいていますので、ここで質問したいと思います。  このような何度かにわたる国連人権機関からの勧告を日本政府が受けているということに対して、男女共同参画の立場からどのように受け止めていらっしゃるのか、そしてまた、こうした勧告を受けた立場として、それに対してどのような対策を取ったのか、教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(佐村知子君) 御指摘の民法改正の問題につきましては、直近、平成二十一年、二〇〇九年ですが、女子差別撤廃委員会の最終見解におきましても早急な対策を講じるようにという要請がなされておりますが、その一方で、婚姻制度や家族の在り方と関連して、これまでも様々な議論が行われてきたと承知をしております。  平成二十二年の十二月に閣議決定をされた第三次男女共同参画基本計画におきましては、この女子差別撤廃委員会の最終見解における指摘事項も点検をしつつ策定いたしておりまして、計画の中では、「女子差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、婚姻適齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正について、引き続き検討を進める。」といたしております。  この課題につきましては、第三次男女共同参画基本計画に基づき、国民意識の動向や法務省における今後の対応も見ながら、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

○行田邦子君 今、こうした国連人権機関、具体的には女子差別撤廃委員会の勧告を受けて、第三次男女共同参画基本計画の中ではそれを受けてのコメントというかが盛り込まれたということでありますけれども、ここでちょっともう少し具体的に教えていただきたいんですけれども、先ほど局長がおっしゃられました引き続き検討を進めるというところなんですけれども、それでは、具体的にどういう検討を今進めているのか教えていただきたいんです。

○政府参考人(佐村知子君) 例えば、私どもの男女共同参画会議の中では監視専門調査会というのがございますけれども、そちらで取組状況に関して検討を行い意見を取りまとめるなど、そういうことを進めております。

○行田邦子君 ということですけれども、それでは大臣に伺いたいと思います。  先ほども男女共同参画局長から答弁がありましたけれども、二〇〇九年第六回女子差別撤廃委員会におきまして日本政府は勧告を受けました。その内容というのは、具体的には、男女の婚姻年齢を共に十八歳にすること、それから、女性のみに課せられている六か月の再婚禁止期間を廃止すること、また、選択的夫婦別氏制度を採用することを内容とする民法改正のために早急な対策を講じるよう締約国に要請するということ。そしてまたさらになんですけれども、本条約の批准による締約国の義務は、世論調査の結果のみに依存するのではなく、本条約は締約国の国内法体制の一部であることから、本条約の規定に沿うように国内法を整備するという義務に基づくべきであることを指摘する。このような勧告がなされているわけであります。それに対しての大臣の所見を伺いたいと思います。  そしてまたさらになんですけれども、二〇〇九年に女子差別撤廃委員会からの勧告を受けて、そして何度か日本政府としてもコメントを出しています。そういったやり取りがあったわけですけれども、二〇一四年、今年七月までに、八回目に当たるかと思いますけれども、八回目あるいは九回目の報告書を提出することになっています。この報告書の作成状況、またどういった方向性で議論がなされているのか、政府内の議論等教えていただければと思います。

○国務大臣(谷垣禎一君) 二〇〇九年に国連女子差別撤廃委員会最終見解という中で、今、行田委員がおっしゃったような指摘を受けていることは私も承知しております。  それで、世論調査によるのではなくというような記述がございますが、私は、例えば選択的夫婦別氏制度、こういったものの導入は、導入をするということになりますと、やはり家族に対する考え方に大きな影響を与え得るものだと思っておりまして、こういう制度は国民の理解を得て行わないと、なかなか、不要な摩擦が起こったり、定着しづらいということがあろうと思います。したがいまして、世論調査等々によって国民意識の動向を把握するということは不必要とは言えないというふうに考えております。  それから、御指摘の勧告の中の記述として、我が国が選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正を行わないことが条約に違反していることを前提にしているように、前提としていると読めなくもない部分があるわけでございますが、我が国としては、民法改正を行わないことは条約に違反するものではないというふうに認識をしております。  それで、今後とも、女子差別撤廃委員会の勧告に対しては我が国の状況について説明をきちっとしていきたいと思っておりますが、お尋ねの報告書、これは今内閣府で取りまとめ作業が行われているものというふうに承知をいたしておりますが、法務省におきましても、最高裁判所の違憲決定を受けまして、昨年十二月に行った嫡出でない子の相続分の同等化に関する民法改正の内容、それから選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正をめぐる我が国の状況等を説明することを検討をしております。  今後、関係の省庁と内容を調整した上で報告書が取りまとめられることになると考えております。

○行田邦子君 今大臣から、特に選択的夫婦別氏制度などのようなものは家族に対する考え方に非常に大きな影響を与えるという、それゆえ、世論の動向というか、世論がどのように考えているのか、国民がどのように捉えているのかを知る必要があるという御答弁もありました。私も確かにそれは一理あると思っております。  そこで、世論調査、内閣府で行っている世論調査についてお聞きしたいと思います。  内閣府におきましては、定期的に家族の法制に関する世論調査というものを行っています。私が今持っているデータでは、昭和五十一年ぐらいからずっと継続的に行っているものなんですけれども、その中で、選択的夫婦別氏制度についてどう思いますかという質問を、これをずっと定期的に質問をし続けているんですが、今皆様のお手元にお配りしている資料を御覧いただけたらと思うんですけれども、これは今、最近、直近で行われました平成二十四年度の家族の法制に関する世論調査、内閣府が行ったものです。これの選択的夫婦別氏制度についてのアンケートの結果、調査の結果でございます。一番上が三千四十一人のサンプル数での結果でありますけれども、現在の法律を改める必要はないという反対が三六・四%、そして、法律を改めても構わないが三五・五%と。この結果ですと、この数字を見ると、改める必要はないという方の方が僅差で上回っているという状況です。  これを受けまして、この内閣府の世論調査が発表されたときに各メディアが、今回の調査においては選択的夫婦別氏制度については反対が上回った、賛成より反対が上回ったといった報道もなされたことを私自身も記憶しているところであります。  それで、この結果、調査結果を見ますと、まず興味深いことというのが、全体の三千四十一の結果は、僅差で改める必要はないということなんですけれども、これを年代別にどう答えているのかというのを見ますと、高齢者の方、七十歳以上の方が、五八・三%が改める必要はない、反対ということになっています。一方で、二十代の方は、二一・九%が改める必要はない、反対、そして、改めても構わないが四七・一%と。この件というのは世代によって考え方が非常に分かれる、大きく異なるという結果が見て取れます。  そして、そこでもう少しよく見てみますと、この平成二十四年度に行われた調査の該当者数というところ、括弧で書いてある人数なんですけれども、ここを見ると、おやと思うんですが、年齢のところの、年齢が書いてある右横の括弧の人数を見ていただきたいんですけれども、二十代が二百四十二人、三十代が三百六十九人、四十代が五百六人、五十代が四百七十九人、六十代が六百九十九人、七十歳以上が七百四十六人というサンプルの割り付けになっています、有効回答人数ですね、割り付けになっています。これは人口分布に合っていないんじゃないかと、余りにも七十歳以上の方の割合が多過ぎるんではないかなという疑問を感じました。  そこで、今日は内閣府大臣官房政府広報室長に来ていただいていますので、この調査を担当されているということですので、なぜこのような結果になったのか、そして、更に伺いたいのは、この三千四十一の該当者、サンプル数を、これを人口分布にウエートし直した場合、どのような結果に変わるのか、教えていただきたいんです。

○政府参考人(武川恵子君) お答えいたします。  まず、内閣府の世論調査でございますけれども、サンプル数は人口構成に従ってサンプルを取るんですけれども、近年の調査環境が悪化しておりまして、若年層を中心に調査に協力を得られないとか在宅しておられないという方が増加しております。その結果、人口構成と比較しまして回収数で見ますと若年層の割合が低くなってしまうということでございます。  それを、この性・年齢別の回答結果に総務省人口推計による性・年齢別の人口構成比率を掛けて補正いたしますと、まず選択肢の一番目でございますが、夫婦が婚姻前の名字を名のることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字を名のることができるように法律を改めて構わないとする回答は、公表数値は三五・五%でございますが、三六・六%に増加いたします。選択肢の二番目、婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字を名のるべきであり、現在の法律を改める必要はないとする回答は、公表数値は三六・四%でございますが、三四・六%に減少いたします。三番目の選択肢、夫婦が婚姻前の名字を名のることを希望していても夫婦は必ず同じ名字を名のるべきだが、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては構わないとする回答は、公表数値が二四・〇%でございますが、二五・〇%に増加いたします。  なお、内閣府におきましては、適切な政策判断に資するという観点で、世論調査の公表に際しましては必ず性・年齢別などにブレークダウンしたデータを併せて公表しているところでございます。

○行田邦子君 選択的夫婦別氏制度のように、世代によって大きく意見が分かれる、このような案件については、やはり内閣府としても制度設計をきちんと行っていただきたいと、調査の制度設計をきちんと行っていただきたいと思います。そして、正しく適切に世論が反映できるような、そのような調査を行っていただきたいというふうに思っております。  最後の質問になります。  政府参考人に伺います。諸外国での夫婦の氏の選択制度、夫婦同氏制を日本のように採用している国がほかにどこにあるのか、また、婚姻最低年齢が男女で異なる国はどこなのか、教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(深山卓也君) 現在、法務省で把握している限りではございますが、まず最初の氏の問題ですが、日本と同様に、婚姻後は夫婦のいずれかの氏を称するといういわゆる夫婦同氏制を採用している国は承知しておりません。  それから、婚姻最低年齢についてですけれども、婚姻最低年齢に男女の差を設けている国は、日本のほかには中国、インドがあるものと承知しております。

○行田邦子君 日本には日本の家族に対する考え方があるという意見もありますけれども、さはさりながら、諸外国はどうなっているのかということも踏まえて、この民法の家族法について、婚姻、離婚規定について、法務省についても更なる検討をしていただきたいことをお願いを申し上げて、質問を終わります。

 

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