【議事録】厚生労働委員会質問(午前)

平成27年7月14日 厚生労働委員会(午前)

○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。
まず、私は、初めに生活困窮者自立支援制度について伺います。
四月からこの制度が始まっていますけれども、必須事業に加えまして、自治体が任意で行うことができる四事業も始まっています。そこで、厚生労働省では、この度、九百一の対象となる福祉事務所設置自治体に対して、どの程度この任意事業が行われているのか調査をされたということでした。その結果を教えていただいたんですけれども、九百一自治体のうち四百八の自治体、約四五%が任意の四事業の一つも実施していないということが分かったということです。
これについて、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 生活困窮者自立支援法、この四月から施行になったわけでございますけれども、今御指摘のいわゆる任意事業、これにつきまして、新たに生活困窮者自立支援法に位置付けられた、恒久制度化された制度によりまして、この任意事業については、実施をする自治体数は大変増えているというふうに思っております。また、御指摘のとおり、自治体数で見ると、確かに、任意事業を一つも実施をしていない、四事業をどれもやっていないという割合は四五%でございますけれども、大都市の実施率は高いわけでございまして、いわゆる人口ベースで見た場合の数字を見てみますと、実施している自治体で七七%の人口をカバーをしているところでございます。
任意事業を更に積極的に検討をいただくことが重要であるので、私ども厚労省としては、今お話があった四事業をどれもやっていないというところについて、今年度、全国六か所でブロック会議を開催をいたしまして、任意事業の取組促進を重点課題とするとともに、担当室から自治体に定期的にニュースレターを発行いたしまして、取組事例を情報提供して御参考にしていただくということの取組を行ってまいったところでございまして、今年度は事業に係る補助金の追加協議を行うこととしておりまして、更に自治体の積極的な取組を呼びかけることとしておるわけでございまして、何とかこの四事業を一つもやっていないというところが減っていくように、今からもう一回補助金を申請していただくように御検討いただくというふうに我々も努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○行田邦子君 四事業を全ての自治体で一律にやればいいということでもないかとは思います。例えば、一時生活支援事業などは、これは都市部で必要性が高いものでありますし、それを無理に町や村でやる必要もないのかもしれませんけれども。
ただ、事前に厚生労働省の方から説明を受けたときに、きちんと小さな町や村に対してもこの事業の必要性ということを説明すると、なるほど、そうなのかと理解をしてくださるということですので、これからも厚生労働省におきましては、小さな市町村に対してもこの事業の必要性ということをしっかりと説明をしていただきたいというふうに思っております。
それでは、ここから先は母子世帯の子の養育費について伺いたいと思います。
四月の質問のときに、母子世帯、シングルマザーへの就労支援ということで質問させていただきました。子供の貧困が、一人親世帯においてはOECD三十四か国中日本は最下位であるという非常にみっともない残念な状況を私は何とか変えていきたいというふうに思っているんですが、そのために、シングルマザーへの就労支援、また職業能力開発支援といったこと、必要だと思っております。
また一方で、一人親世帯の子供の貧困対策という視点で考えると、やはり子供の養育費の確保ということ、これは国としてもしっかりと取り組んでいくべきだというふうに考えております。
そこで、まず大臣に伺いたいと思いますが、平成二十三年度の全国母子世帯等調査によりますと、現在も養育費を受け取っていると答えた母子世帯というのは、何と一九・七%と極めて低い数字になっています。このことについての大臣の御所見、問題意識を伺いたいと思います。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今、一人親家庭のたしか八割強が離婚に基づくものであって、そこに子供の貧困に代表されるような極めて厳しい生活状況が集中しているというところについては、その問題意識を我々もしっかり持ち、特に子供にそのしわ寄せが行かないようにするためにも、その子供の対策というものをしっかりやるように総理からも今指示を受けているわけであります。
今のそういった世帯に対する支援の一つの柱が子の養育費の問題であって、今の平成二十三年度の全国母子世帯等調査の一九・七%というのは、本当にこれ低いなというふうに私自身も思うところでありまして、離婚した一人親家庭の生活の安定と子供の健全な成長のためには、やはり子の養育費の確保というものが極めて大事であって、それに向けた取組を私どもとしてもしっかりと進めなければならないというふうに思っております。
そのためには、養育費の重要性に関する当事者、男性に特に意識を高めてもらう、当事者間で養育費の取決めをしっかりと結べるように促すことがやはり重要だというふうに考えておりまして、今後とも、関係省庁と十分連携を図りながら、これは厚生労働省だけでできることではないので、養育費の確保に向けた取組を厚労省としてしっかりと進めてまいりたいというふうに思います。
○行田邦子君 父親も含めた当事者の意識ということを啓発することも必要かとは思いますけれども、私は、この低い数字を見ていますと、いろいろと難しい問題はありますけれども、やはり行政が何らかの関与をしていくべきではないかというふうに思っております。
そこで、質問を続けたいと思うんですけれども、厚生労働省に伺いたいと思いますが、養育費を確保するには離婚時に養育費の分担について取決めを行うということが重要であるというふうに考えています。先ほど申し上げた平成二十三年度全国母子世帯等調査によりますと、母子世帯の母で養育費の取決めをしていると回答した方は三七・七%と、これまた非常に低い数字となっています。
この数字ってどんなものなのかと、諸外国ではどうなのかなということを少し考えて資料を見てみたんですけれども、養育費相談支援センターがまとめました養育費確保の推進に関する制度的諸問題という報告書がありました。ここでは、養育費の取決めなしで有子離婚、子供のいる夫婦の離婚を認める国はまずないと、こういった記述もありました。
そこで伺いたいんですが、養育費の取決め率を上げるための厚生労働省としての取組についてお答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) お答え申し上げます。
養育費の支払を確保するためには、その取決め率を上げるということは大変大事な課題でございます。
そこで、このため、厚生労働省といたしましては、都道府県等を単位として設置されております母子家庭等就業・自立支援センターにおきまして、平成十九年度から専門の相談員を配置いたしまして、取決めの方法などについて離婚当事者からの相談に応じられるように支援をしているところでございます。
また、同じく平成十九年度より、養育費取決めの促進や取り決めた後の養育費確保のための自治体の取組をサポートするために養育費相談支援センターを設置いたしまして、自治体で対応が困難な事例についての助言や研修会などによる人材育成の支援、また、センターにおける直接の相談対応も行うほか、リーフレットなどによる取決めの重要性に関する普及啓発などを行っているところでございます。
さらに、各自治体が地域の実情に応じて養育費に関する独自の取組を実施していただくということも大事でございますので、全国児童福祉主管課長会議などにおきまして好事例の周知を図っているところでございます。
○行田邦子君 今御答弁の中にあった養育費相談支援センター、非常に頑張っていらっしゃると思いますけれども、そこでも、やはり養育費相談支援センターでできることというのは今ある制度についての説明をするにすぎない、やはり支援の限界があるということも報告書の中に述べられているような状況です。
そこで、この問題、養育費の確保の問題というのは厚生労働省だけでは解決できるものではないと思っているんですが、そこで、今日は法務省に来ていただきましたので伺いたいと思います。
民法等の一部改正が平成二十四年に施行されていますけれども、ここでは七百六十六条が改正されています。協議離婚で定めるべき子の監護についての事項として、親子の面会交流と子の監護に要する費用の分担、つまり養育費の取決めということですけれども、が明記されて、子の利益を最も優先して考慮しなければならないということも記されています。
法務省に伺いたいと思いますけれども、この法改正趣旨を踏まえての法務省での取組についてお答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 平成二十三年の通常国会で成立いたしました民法等の一部を改正する法律におきましては、今委員御指摘のような改正がされました。これを受けまして、法務省におきましては、面会交流及び養育費の分担の意義及び重要性を周知する観点から次のとおりの取組を行ってきたところでございます。
まず、父母の離婚の際に面会交流や養育費の分担について適切な取決めをし、これを履行することが子の利益の観点から重要であることを分かりやすく説明したリーフレットを平成二十四年三月に作成しました。これを市町村等を始めとする関係機関に配付しております。
また、面会交流や養育費の分担の取決めを促進するため、二十四年の四月から離婚届の様式を改正しまして、面会交流及び養育費の分担等の取決めの有無をチェックする欄を設けております。その上で、その結果につきましては、各地方法務局において実際にチェックされた数を集計することをしておるところでございます。
○行田邦子君 今御答弁にありました、離婚届の右下に平成二十四年から新たにチェック欄が設けられました、お手元に資料をお配りしているとおりですけれども。赤で囲っておりますけれども、未成年の子がいる場合は面会交流、そしてまた養育費の分担をしているかしていないか、取決めをしているかしていないかということにチェックをさせるということが始まっているわけであります。
事前に伺ったところでは、夫婦の有子離婚の離婚届出件数というのは年間十二万四千四百二十件、平成二十六年度の数字です。そのうち、養育費の分担の取決めのいずれかにチェックが付いているものが八二%、そして、取決めをしているとチェックをしたものが全体のうちの六二%ということでした。六二%の方が養育費の取決めをしていると離婚届にチェックをしているということなんですが、そこで、厚生労働省に伺いたいんですけれども、先ほどの全国母子世帯等調査によると、取決めをしていると答えているお母さんは三八%だったわけですが、この数字の乖離をどのように分析されていますでしょうか。
○政府参考人(安藤よし子君) 御指摘の離婚届の様式における養育費の取決めのチェック率につきましては、平成二十六年の四月から平成二十七年の三月までの間に新たに届出をされた未成年の子がいる夫婦の離婚届から算出された割合と承知しております。一方、平成二十三年度全国母子世帯等調査による取決め率は、平成二十三年十一月一日時点で母子世帯を抽出して対象とした調査結果でございますので、その調査対象、方法、時点、異なりますので、瞬間風速とストックの数字の違いという形だと思います。単純に比較するのは難しいかなと思います。
ただ、足下の数字として六二%という数字が出ているということは、近年、養育費の取決めの必要性に関する理解などが進んできたのではないかというふうに考える次第でございます。
○行田邦子君 確かに、時期が違う、二年半違うわけですので。ただ、二年半の間に三八%が六二%に飛躍的に伸びるというのは余り考えにくいのではないかなとは思うんですけれども。恐らく、これは私の勝手な推測ではありますけれども、離婚届を出す方というのは、早く離婚を成立させたいという意識が働いていて、そして、ついついというか、養育費の分担の取決めをしているとチェックをしてしまっているという方も結構多いのではないかなと、このように推測をしているわけでありますが。
そこで、さらに法務省に伺いたいと思うんですけれども、この離婚届の右下にチェック欄を設けるということ、これは私は、養育費の取決めを子供のためにしっかりとしなければいけないという意識を向けさせる効果は確かにあるとは思っています。ただ、これをより実効性のある養育費取決めへの促しにするためには、例えばこの離婚届の右下のチェックボックスなんですけれども、ここに括弧書きで説明が書いてありますけれども、ここに例えば民法七百六十六条ではこのようになっていますというふうに文言を頭に付けるとか、あるいは養育費の分担についてのチェックについて、公正証書などの文書による取決めをしているかどうかといった文言に変えるとか、より実効性のあるチェック欄にしてはどうでしょうか。いかがでしょうか。
○政府参考人(金子修君) 委員のただいまの御指摘は、離婚の際にできるだけ養育費の分担についての取決めがされ、また、取決めどおりに養育費が支払われない場合に速やかにその履行を確保する手段を講ずるべきではないかと、このような問題意識に基づくものであると理解しております。
養育費の支払を確保することは、子の心身の健全な成長のために不可欠であります。現在でも、その支払がされないためにお子さんが貧困に苦しんでいるという場合があることは承知しておりまして、そのための対策を講ずるということは子の利益の観点から極めて重要であるというように考えております。
現在、政府におきまして、ひとり親・多子世帯等の自立支援に関する関係府省会議が開催されております。その中で、法務省は養育費の確保の充実策を検討しているところでございます。養育費の取決めを促進し、また、その履行を確保するための方策については様々なものが考えられますけれども、法務省としてどのような施策を講ずることができるのか、検討してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 今、ちょうど関係府省会議で検討されているということでありますけれども、是非、実効性のある養育費の取決めを促すための方策ということを前向きに検討していただきたいと思います。
更に質問を続けたいと思うんですけれども、この養育費の取決めなんですが、母子世帯調査によりますと、三八%の方が行っているということでありますが、そのうち書面による取決めを行っているのは七割、七〇・七%にすぎないわけです。
事前に法務省にいろいろと説明をお聞かせいただきました。どういう取決めが効力を持つのか、また強制執行力を持つのかといったことを説明を受けたんですけれども、養育費の取決め、幾つか種類があります。まずはいわゆる口約束、口頭によるもの、そして当事者間の念書などのもの、そして公証役場による作成の公正証書、そしてさらには家庭裁判所の調停調書や審判書や判決書と、こういったものがあるわけでありますけれども、今言ったうち、当事者間では解決できなくなったときの強制執行力を持つものというのは、公正証書、調停調書、審判書、判決書といったものだけなわけです。
そこで、私は、強制執行力を持つ文書による養育費の取決めの仕組みを何か検討すべきではないかというふうに考えております。
私と同じような問題意識を持っている事務手続の現場がありまして、例えばなんですが、明石市では、こどもの養育に関する合意書という参考書式を独自に作成をしていて、この参考書式を離婚届に同封して配付をしたり、また、ホームページからダウンロードできるようにしています。お手元にそれをお配りをしております。
既にこういった取組を始めているんですけれども、離婚届にこれを添付しなければ離婚届を受理しないということではないんですけれども、こういった取組を独自にしています。そして、明石市では更にこれを進めて、このこどもの養育に関する合意書を作成した夫婦については、これを何とか調停調書や公正証書といった執行力、強制執行力を持つ文書の作成へと促す仕組みを検討しているということです。
それからまた、日本弁護士会は、ちょっとこれ古いんですが、二〇〇四年三月なんですけれども、離婚届出用紙に養育費に関する合意書というものを加えて、この合意書を提出した場合には強制力のある支払命令制度を利用できる仕組みというものを提案をしています。具体的な書式といったものも提案をしています。
このように、養育費の取決めについて執行力、強制執行力のあるものにすべきだという問題意識を持っている方たちというのは私以外にもいるわけでありますけれども、私は、日本における離婚というのは九割が協議離婚という現状を考えますと、養育費の取決めを離婚成立の要件とするのは、これはなじまないのではないかなというふうに思ってはいるんですけれども、ただ、何らかの強制力のある取決め文書を作成する仕組みというものを構築するべきではないかと思いますが、法務省の所見を伺いたいと思います。
○政府参考人(金子修君) 先ほど、委員からちょっと諸外国のデータの話もありまして、諸外国は養育費の取決めを離婚の要件としているというような国が多くて、そういう国は離婚した場合は養育費の取決めがあると、こういう前提に立っているわけです。今委員の御指摘は、そういうものではなく、養育費の取決めを離婚の要件とはしないという現行の我が国の枠組みを前提に、養育費取決めの仕組みについて工夫ができないかというような御質問かと思います。
兵庫県明石市の取組、それから日本弁護士連合会の提言、今御紹介いただいたことにつきましては私どもも承知しております。これらも、いずれも養育費について強制執行することができるような方法で取決めがされるべきであると、こういう問題意識に基づくものというように理解しております。
先ほども答弁させていただきましたが、現在、政府において、ひとり親・多子世帯等の自立支援に関する関係府省庁会議が開催されており、法務省についても、養育費の確保の充実策を検討しているところです。養育費の支払は子の生活を維持するために必要なものであります。取決めを促進することのほか、履行の確保を図るということが重要で、その意味では、委員御指摘のとおり、強制執行をすることができるような方法で養育費の取決めがされるということは一つの方策として重要であるというふうに考えております。そのような観点からも、どのような施策を講ずることができるのか検討してまいりたいというふうに考えております。
○行田邦子君 今、関係府省庁会議で検討中ということでありますので、是非前向きに検討していただきたいと思っております。とにかく、一人親世帯の子供の貧困がOECD諸国で一番悪い、この状況を何とか早期に解決していきたいという私の思いを是非受け止めていただきたいと思います。
それでは、最後の質問を副大臣に伺いたいと思います。
平成二十三年度全国母子世帯等調査によりますと、母子世帯の母が養育費の主な相談相手と回答したのは、親族が四四%と圧倒的に高いです。そして、次が家庭裁判所で二四%、その次が弁護士で一二%と。それに対しまして、県、市町村窓口、母子自立支援員が六%と、非常に低い数字となっています。
私は、やはり養育費の問題についても、また家族の問題についても、行政でワンストップで相談ができるような、そのような窓口というのが必要だというふうに考えていますけれども、副大臣の御所見を伺いたいと思います。
○副大臣(山本香苗君) 支援につながりにくい一人親家庭をどう着実に支援につなげていくかということは極めて重要なことだと思っております。
そういう中で、まずやっておりますのは、当事者の方々に支援策を知っていただくということが大事だということで、平成二十六年に、母子寡婦福祉法の改正におきまして都道府県が講じる支援措置の周知に関する努力義務を設けまして、地域の特性を踏まえた広報啓発活動に要する費用を予算化させていただいております。
もう一つは、併せてやらなくちゃいけないのは、今おっしゃっていただいたように、養育費の確保に関する支援だとか生活面での支援や就業面での支援など様々な支援メニュー、こういった一人親家庭の課題やニーズに応じて組み合わせて効率的、効果的に支援を行うことを目的といたしまして、母子・父子自立支援員に加えて就業支援専門員を配置することによりまして、今、相談窓口の強化というものの取組を進めております。
こういうことをやっておりますけれども、今おっしゃっていただきましたとおり、まずしっかり気軽に相談してもらえるようなところじゃなくちゃいけないということでございますので、御指摘も踏まえまして、なるべく一か所のところで、来ていただいたら着実に支援のところまでつなげていく、たらい回しにするようなことがないような仕組みを考えてまいりたいと思います。
○行田邦子君 シングルマザーの皆さんからは、どこに相談に行ったらいいのか分からない、行政の相談窓口がないというような認識すらされていますので、是非、行政においてもこの母子家庭の支援、また養育費の確保といったことを積極的に取り組んでいただきますことをお願い申し上げて、質問を終わります。

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