所沢市での「防音校舎にエアコン設置」住民投票 

 <所沢市での「防音校舎にエアコン設置」住民投票>

 昨日2月15日、埼玉県所沢市で、航空自衛隊入間基地に近い小中学校28校へのエアコン設置に関する住民投票が行われました。報道でご存知の方も多いと思います。

 自衛隊基地に近い市内の小中学校校舎には、自衛隊機の騒音対策として特殊サッシが設けられており、窓の開閉がしにくい状態となっているため、所沢市は2006年、防音校舎に冷房設備を整備する方針を決めました。その後、1校への設置が完了しましが、2011年10月に就任した藤本正人市長は、東日本大震災と原発事故の経験を踏まえた自然との調和への路線転換と、市の厳しい財政状況を理由にエアコン設置の中止を決めました。これに対し、エアコン設置を求める市民達が8,430人の署名を集め、防音校舎のエアコン設置に関する住民投票条例の制定を直接請求し、議会で可決され、今回の住民投票となったわけです。(条例制定の直接請求は、地方自治法第74条の規定に基づき、住民が有権者の50分の1の署名をもってできる制度です。)

 結果は、賛成56,921票、反対30,047票と賛成が上回りましたが、投票率が31.54%と低く、条例で「その結果の重みを斟酌しなければならない」とされる有権者数の3分の1以上には達しませんでした。

 今回の住民投票で私が関心を抱いた点は、防音校舎へのエアコン設置の是非よりも、市民の力とそれに対する市長の真摯な姿勢でした。「市民生活(子供の学習環境)に大きな影響を与える案件について、直接、市民の意思を反映させたい」という思いが8,000名を超える署名となり住民投票に結び付いたわけですが、ともすれば東京には目が向くが地域のことには関心が薄い「埼玉都民」とも言われる所沢市民が、この度発揮したパワーには正直、驚きました。また、相対する市長は、真剣勝負。私も出席した所沢市の新年会でも、市長はご挨拶の中で、なぜご自身がエアコン設置計画を撤回したのか、78億円の費用がかかり、うち30億円を市が負担しなければならないことや、同額のお金があればもっと他の事に使うべきであること、エコタウン構想を掲げる市として、環境面に配慮し持続可能な社会を実現するために知恵と工夫で乗り越えたいとの思いなど、熱く語られていました。市民も市長も、どちらも必死となって主張を訴えていました。

 選挙で市長や議員を選んだけれども、すべての市政運営を白紙委任したわけではない。このような思いを抱く市民の最後の砦が住民投票であり、間接民主主義の欠点を補完する術と言えます。今回の住民投票は、多数意見を知るために行われる「諮問的住民投票」という位置づけとのことですが、4,000万円の費用をかけて行われた投票結果を市長も重く受け止めることは当然ではないでしょうか。所沢市の判断に注目したいと思います。

タイトルとURLをコピーしました