2018年11月20日 国土交通委員会

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
先ほどから議論がなされていますけれども、この夏は実に多くの自然災害が日本列島を見舞いました。自然災害は今後も起こり得るものという前提に立たなければいけないと改めて認識をしているところです。災害からの復旧また復興を迅速に行うための事前対策として、地籍調査を行っておくということが非常に重要かと思っております。
まず、大臣に伺いたいと思います。事前防災対策としての地籍調査に対する大臣の御所見と、そしてまた国交省としてのお取組を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 地籍調査の実施によりまして土地の境界を明確にしておくことは、災害後の迅速な復旧復興、社会資本の整備、土地取引の円滑化などに資するため、大変重要と認識をしております。
例えば、東日本大震災で被災した東北地方では、平成二十二年度末当時の地籍調査の進捗率が、例えば岩手県では九〇%、宮城県では八八%に達しておりまして、全国平均四九%に比べて大変高い状況にございました。このため、東日本大震災からの復旧復興に際しましては、地籍調査の成果を活用することによりまして、用地取得が円滑に進み、迅速な事業の実施につながった例もありました。
震災を契機といたしまして、災害への備えとしての地籍調査の重要性が再認識をされ、調査に取り組む市町村も増加をしているところであります。
国土交通省といたしましては、防災対策に資する地籍調査に取り組む市町村を重点的に支援してまいりますとともに、地籍調査の円滑化に向けた制度の見直しにつきましても検討してまいりたいと存じます。
○行田邦子君 大臣がおっしゃられたように、東日本大震災からの復旧復興を目の当たりにしまして、全国の市町村では早く地籍調査を完了させたい、実施したいという希望が増えてきているという状況と聞いています。
一方でなんですけれども、配付資料一、お配りをしているとおりなんですけれども、地籍調査の予算なんですけれども、横ばいと言っていいと思います。横ばいです。三・一一東日本大震災の翌年はちょっと増えています。当初予算でも増えていますけど、それ以降は当初予算は横ばいと。補正で増えてはいますけれども、ただ、もっと増えてもよいのではないか、増やさなければいけないのではないかと思っております。
といいますのは、私がおります埼玉県の例なんですけれども、埼玉県が地籍調査をやりたいという市町村の要望を取りまとめて、大体このぐらいは国の補助もいただいてできるだろうと思っていた額なんですけれども、実際蓋を開けてみたらば、それが二割ぐらいできなかったということもあります。
結局、そうなると、市町村としては諦めざるを得ない、またあるいは翌年以降に延ばさざるを得ない、どうしてもやらなければいけないのであるとすると、市町村の負担が増えてしまうという状況です。これ、埼玉県だけではなくて、全国的にもこのようなことが起きていると思っております。これだけの予算規模ですと、なかなか市町村の要望に応え切れていないというふうに思います。
市町村でも重要性を認識して、また都道府県も何とかこれ後押しをしたいと思っていて、そしてまた、大臣が先ほどの御答弁にあったように、地籍調査は自然災害からの復旧復興の事前対策として非常に重要であるということを国も認識しているわけでありますので、是非とも地籍調査の予算を増やすように頑張っていただきたいというふうに思っております。
一方でなんですけれども、ただ無尽蔵に幾らでも予算が増えるということでもないかと思っておりますので、ここで伺いたいと思うんですけれども、限られた予算の中でいかに効率的に地籍調査を実施する工夫も必要だというふうに思っておりますけれども、その取組について伺いたいと思います。
○政府参考人(野村正史君) 答弁申し上げます。
国土交通省としましては、これまでも地籍調査を効率的に進めるため、例えば人工衛星を活用した効率的な測量手法の導入などの措置を講じてきたところでございます。
これらの措置に加えて、地籍調査の更なる効率化を図るため、本年十月より国土審議会の国土調査のあり方に関する検討小委員会を設置いたしまして、二〇二〇年度から始まる次期十箇年計画策定に向けた検討を開始したところでございます。具体的には、所有者が不明な場合を含めた立会いの手続の合理化や、あるいは新技術による測量の更なる効率化など、地籍調査を更に円滑かつ迅速に進めるための措置について今後検討してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 地籍調査も、いいかげんであってはもちろんいけませんのでしっかりと精度が落ちないようにやっていただきたいと思いますけれども、かつ、人がやる部分の効率化と、あと新しい技術の導入など取り組んでいただきたいと思います。
そして、地籍調査なんですけれども、今全国平均で五二%という進捗率です。全国の市町村の四分の一がまだ未着手という状況であります。なぜ市町村が地籍調査の重要性を認識しながらもなかなか進まないのかという、その要因の一つが市町村における地籍調査を担当する職員の不足、またあるいは地籍調査を担当できる職員がいないといった職員の問題であります。
民間に任せられることはもう大いに民間に任せていただくべきだと思っています。土地家屋調査士とかあるいは測量士に任せられるところはどんどん任せていただきたいと思いますけれども、ただ、やはり市町村の職員が自らやらなければいけない業務、例えば住民への事前説明会をやったりとかあるいは境界を確定するときの立会いも、やはり市町村の職員がいる方がこれは効率よく結果的に進むと思っていますし、また、先ほどの御答弁にもありましたとおり、所有者不明の土地があった場合のその所有者の探索、これはやっぱり市町村の職員がやらなければいけないと。それから、そもそも外部に発注するとしても、その発注能力といいますか、何も知識がなかったら発注もできませんので、どうしてもやはり市町村の職員がやらなければいけない業務があるかと思います。
こうした地籍調査を担当する職員不足という現状に対して、国交省としてはどのような取組がなされていますでしょうか。
○政府参考人(野村正史君) 委員御指摘のとおり、担当職員が不足するなど地籍調査の実施体制が十分でない市町村があることも地籍調査の推進を妨げる要因の一つであろうかと認識しております。
このため、国土交通省におきましては、地籍調査の実施体制の強化を図るため、計画準備や工程管理も含めた包括的な民間委託の制度を平成二十二年度より導入したところでございまして、この制度は現在百を超える市町村で活用されております。また、地籍調査の進捗が遅れている地域においては、国の基本調査として官民境界の測量データなど市町村の地籍調査に必要となる基礎的な情報を国が先行して整備していると、そういった取組を行っているところでもございます。
こうした取組を通じて、地籍調査を実施する市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。
○行田邦子君 埼玉県でも一部やっていただいていると思いますけれども、国が先行して整備をするといったこと、これも是非必要なところ、優先順位を付けながらでしょうけれども、やっていただきたいと思っております。
次のテーマなんですけれども、宅配便増加への対応について幾つか伺いたいと思います。
ネット通販の拡大、普及によりまして宅配便の取扱個数が急増しております。配付資料二、お手元にお配りしておるとおりなんですけれども、二〇一七年度は前年度比五・八%増の四十二億五千百三十三万個と過去最高ということです。十年前に比べますと宅配便の配達個数が一・三倍ということで、これ急増していると言ってよいかと思います。
そして、一方でといいますか、再配達、問題になっています再配達率ですけれども、これ、国土交通省の定期調査で、平成三十年四月期ですと若干減って一五%と、確かに減っているので、いろんな取組をされているかと思いますけれども、依然高いという状況で、社会問題と私は言ってよいかと思います。これによって、トラック運転手の人手不足に拍車を掛けたり、また労働環境の悪化を招いているという指摘もあります。
そして、宅配便の大手は様々な努力をしていて、例えばネット通販会社との契約を見直したりとか料金そのものを上げたりとか、あるいはヤマト運輸なんかは総量規制をしたりと様々なサービス維持のための対応をしていると聞いていますけれども、他方で、軽貨物運送業による下請がネット通販の宅配の受皿となっているという見方もされております。
この点につきまして、国交省としてどのような実態を把握していますでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
トラック運送業におきましては、ネット通販の拡大などによりまして宅配便取扱個数が増加している一方、宅配便に限らず人手不足が課題となっている状況にございます。御指摘の貨物軽自動車運送事業者への下請の状況につきましては、ネット通販などの配送を行っている一部の運送事業者から聞き取った範囲では、貨物軽自動車運送事業者を下請とすることが以前に比べて増えているというところもあると承知をいたしております。
平成二十八年度の宅配便取扱個数は、平成二十八年十月より集計に含めたゆうパケットを除きますと、前年度と比較して四・四%増加し、平成二十九年度の宅配便取扱個数は、前年度と条件をそろえて比較した場合、一・一%増加をいたしております。また、事業者数と車両数で見ますと、一般貨物自動車運送事業の事業者数及び車両数は最近おおむね横ばいで推移をいたしております。
一方、全国の貨物軽自動車運送事業者数につきましては、平成二十四年度から平成二十七年度につきましてはおおむね横ばいで推移をいたしておりましたけれども、平成二十八年度及び平成二十九年度はそれぞれ前年度に比較して約二から三%増加をいたしまして、平成二十九年度末には約十六万三千事業者となっているところでございます。
また、貨物軽自動車運送事業の車両数についても、平成二十四年度から二十七年度については平均増加率が約一%であったところ、平成二十八年度及び平成二十九年度はそれぞれ前年度に比較して約三から四%増加をいたしまして、平成二十九年度末には約二十七万五百台となっているところでございます。
宅配便取扱個数の増加と貨物軽自動車運送事業の事業者数や車両数との増加との因果関係は必ずしも定かではございませんが、貨物軽自動車運送事業者がネット通販商品の配送増を担っている可能性もあるのではないかと考えているところでございます。
○行田邦子君 平成二十八年、二十九年と貨物軽自動車運送業者の届出が少し増えているということでありました。因果関係はきちんと調べていただきたいと思いますけれども、といいますのは、今からちょっと申し上げますけれども、私が今、宅配便の軽貨物ドライバーによる下請でどのようなことが起きているのか聞き取った一例を配付資料三でお配りをさせていただいております。
これ関東の例ですけれども、このような事例があるということです。下請軽貨物ドライバーの業務請負の例です。まず、ネット通販業者から、ネット通販会社からトラック運送会社が宅配便の委託を受けて、それを更にいわゆる個人事業主の軽貨物ドライバーに業務委託をするという形を取っているのが増えているということで、私が一例を挙げさせていただいています。
どういうことかといいますと、まず、その下請の軽貨物ドライバーは朝六時半にその中間運送会社の事業所に行って一日の荷物の確認をすると。で、配達を始めて、大体その配達が終わるのは夜九時、二十一時と。そして、事業所に戻って事務作業をすると、仕事が完全に終わるのは二十三時ということだそうです。
これ、中間会社から言われているのは、一日の配達のノルマは九十個ですよと、そして請負金額は一日一万八千円と。ただ、個人事業主で業務委託契約ですので、ガソリンなどの諸経費は自分持ち、それから車を持っていないのでリースを中間会社から、あるいは中間会社を経由して車をリースしているという方もいらっしゃるようでして、そんなこんなを差し引くと一日一万円から一万二千円になるということで、これはあくまでも個人事業主としての軽貨物ドライバーが中間運送会社と業務委託契約を結んでいるということの一例なわけでありますけれども、どうなんでしょうか、これ。今私が御説明したものなんですけれども、まず、これ労働者というふうに見ることができるのかどうか、伺いたいと思います。
○政府参考人(田中誠二君) お答えいたします。
個別の事業所に関わることにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、一般論として、労働基準法における労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいうということになっております。
この判断なんですが、労働基準法上の労働者に該当するか否かは契約形態にかかわらず実質で見るということになっておりまして、例えば、仕事の依頼や業務指示などに対する諾否の自由があるかどうか、業務を遂行する上で指揮監督を受けているかどうかなどの実態を勘案して、総合的に判断をいたします。
契約において請負あるいは委任といった形式であっても、労働者としての実態があれば労働基準法上の保護を受けるものでございまして、労働基準監督署におきましては、個別具体に労働者としての実態があるかを判断しまして、結果として法違反が認められる場合には、是正に向けた指導を行うなど、対応をしているところでございます。
○行田邦子君 今私が御説明した、あくまでも一例ですけれども、これだけだと、これが労働者性があるのかどうかというのは認められないと思いますけれども、あくまでも個々のケースによると思いますけれども。
それでは、続いて伺いたいと思うんですけれども、それでは、これまでになんですけれども、業務委託契約の形態を取っているんだけれども、自分自身がこれは被雇用者、労働者ではないかといったような相談が軽貨物運送業者から労働基準監督署に寄せられるケースがあったかどうか、また、労基署による指導やまた是正勧告がなされたケースはあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(田中誠二君) 御指摘のような事例として、実際に労働基準監督署に御相談があり、それを基に調査をして是正勧告を行った事例はございます。
例えば、業務委託契約により荷物の配送業務を請け負っていた方から賃金が支払われていないとの申告が監督署にあり、監督署において調査を行ったところ、労働日、勤務時間、勤務場所、業務の内容などについて具体的に指示を受けておりまして、仕事の依頼について諾否の自由が認められないという状態、さらに、働いた時間数に応じた賃金が支払われていたというような実態が認められたために、この方は労働基準法上の労働者に当たるとして、賃金の支払を指導する是正勧告を行った事例がございます。
○行田邦子君 民民同士の業務委託契約ということであれば、これは受託している方も納得の上で契約しているわけですので、そこに口を挟むということはすべきではないとは思いますけれども、ただ、これが労働者性が認められるのであれば、それはしっかりと労基署の方でも指導監督、また是正をしていただきたいと思います。
それで、局長に伺いたいと思うんですけれども、私が今配付資料三でお配りした、これは例ですけれども、これが業界において特別な例でないとすればなんですけれども、残念ながら健全な業界とは言い難いというふうに思っております。
運送業においても、今、業界も積極的に働き方改革を推進していると思います。また、更にこれからやっていこうというふうになっているわけでありますけれども、それを進めようという理由というのは、被雇用者のドライバーの労働環境が改善する、それだけでよいということではなくて、そのことによって、労働環境が改善することによって、それは個人事業主の軽トラドライバーも含めて労働環境が改善をすることによって、労働生産性が向上して、そしてまた日本の物流の進化、発展を遂げることができると思っているから働き方改革を取り組んでいるんだと思いますけれども、その点につきまして、物流を所管する国土交通省として、この今私が申し上げた宅配便の配達の軽トラドライバーへの下請の実態についてしっかりと調査をするべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(奥田哲也君) お答え申し上げます。
トラック運送業における働き方改革を進めるに当たりましては、貨物軽自動車運送事業において存在いたします個人事業主も含めて取組を進めていくことが重要であるというふうに認識をいたしております。このため、長時間労働抑制に向けまして、昨年度、貨物自動車運送事業法に基づく省令において定められております事業用自動車の運転者の過労運転防止のための基準につきまして、貨物軽自動車運送事業者の事業主等が運転者となる場合も適用される旨通達において明確化したところでございまして、違反が確認された場合には厳正に対処していくことといたしております。
また、下請事業者のドライバーの適正な労働条件や安全運行を確保するためには、下請に係る取引条件を適正なものにする必要がございます。国土交通省におきましては、いわゆる下請法などとの関係において問題となり得る行為類型でありますとか望ましい取引の在り方を示したリーフレットを制度所管省庁とともに作成をいたしまして、荷主や元請事業者への周知を実施するなどの取組を進めているところでございます。
また、加えまして、国交省からの要請を踏まえまして全日本トラック協会が昨年三月に策定をいたしましたトラック運送業の適正取引推進のための自主行動計画におきましては、個人事業主との取引も含め全ての取引について原則二次下請までに制限すること、改善基準告示違反の可能性があることを理由に自社運行せずに下請運送事業者に対して運送依頼をすることを禁止することといった内容が盛り込まれておりまして、取組が推進されております。
個人事業主も含めて働き方改革の取組を更に進めていく上では実態を把握することは重要であると認識をいたしておりまして、今後、事業者からのヒアリングも含めまして情報収集に努めてまいりたいというふうに考えております。
○行田邦子君 是非、トラック運送業、そしてまた日本の物流の健全な発展のためにしっかりと実態を把握して、また、問題があれば取り組んでいただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。