2018年5月21日 決算委員会

 

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
今日は、私は働き方改革に関して何点か質問をさせていただきます。
この度の、今ちょうど衆議院で審議が行われています働き方改革関連法案の中には、同一労働同一賃金が盛り込まれております。自民党政権というか安倍政権というかで同一労働同一賃金ということをやるというのは、本当に、率直なところびっくりいたしましたけれども、歓迎いたしますし、また、これが実効性のあるものになってほしいと思っております。
同一労働同一賃金は、元々、ヨーロッパでは男女の待遇格差を解消するという文脈の中で出てきたというふうに認識しておりますけれども、この度の法案におきましては、正規雇用者と非正規雇用者の間の不合理な待遇格差を解消するという目的となっております。
ただ、本来、同一労働同一賃金を日本でも導入するというのであれば、まさにこれ安倍総理がおっしゃっているように、今回は戦後七十年ぶりの大改革とおっしゃっているわけでありますので、そうであるならば、これは、正規、非正規雇用間に対してだけではなくて、正規雇用者の間に対しても同一労働同一賃金という考え方をしっかりと導入するべきではないかと、そういう改革をやるべきではないかと思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の法案の中で政府が導入しようとしているのは、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指して、正規雇用者、労働者の待遇の改善を図っていくということであります。
他方で、今、委員からも自民党政権でというお話がありまして、これまではなかなか難しいということを申し上げてきましたけれども、それは、ヨーロッパでは職務給、我が国ではよく言われる職能給という、仕組みも違うのでなかなか難しい、しかし、ヨーロッパのドイツ、フランス等の事案を含めても、必ずしも職務だけではない、能力等々、経験等々も含めて判断されている、そういった幅を持って考えれば、我が国は、我が国のこの人事雇用慣行において、長期雇用の中で配置転換しながら幅広い職務能力の向上を促し、そしてそれと対応した賃金とするなど、人を大切にするという優れた面等もあるわけでありますので、そういった我が国の人事雇用慣行も踏まえながらも、そうした同一労働同一賃金ということは導入し得るのではないかということで、今回、この点も含めて法案を出させていただいたところであります。
今委員お話しの、多分それから先の話も含めてということなんだろうと思いますけれども、働き方改革実行計画とか同一労働同一賃金のガイドライン案においては、各企業が非正規雇用労働者を含む労使の話合いによって、職務や能力等の内容の明確化、そしてそれに基づく公正な評価を推進し、それにのっとった賃金制度など、処遇体系全体を可能な限り速やかに構築していくことが、まあ望まれるという書き方ではありますけれども、そうした方向についてもそれぞれ明示をさせていただいているところであります。
○行田邦子君 私は、日本においても、広い意味での職務による人事評価また賃金決定という仕組みへと変えていく、変えざるを得ないというか変えていくべきだというふうに思っております。
なぜならば、今、人口減少また労働力が減少するという中で、これまで、労働市場というんでしょうか、というのは、日本の企業を支えていたのは、主に男性の猛烈正社員、いつでも働く、どこまででも働くというような猛烈正社員が中心でした。こういった方たちによって成り立っていたわけでありますけれども、今は労働力が足りないわけでありますので、女性の皆さん、そしてまた高齢者の皆さん、そしてまたワーク・ライフ・バランスを重視する若い皆さんにもしっかりとそのサークルの中に入っていただいて、そして意欲や能力を生かしていただかなければいけない、こういう局面にあるわけですので、当然、これまでのその男性中心の猛烈正社員のルールの中、ルールを変えないで、じゃ、女性も高齢者も働いてくださいというわけにはなかなかいかないと思うんですね。
そういう意味では、私は、これは次のステップとして、これ正社員の賃金決定、そしてまた人事評価ということも大きくやはり変えざるを得ないというふうに思っておりますけれども、大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からは同一労働同一賃金を取り上げていただいておりますが、いわゆる長時間労働の是正も同じことが言えるんだろうというふうに思います。
こうした働き方を通じて、やはり高齢者、また女性、男性、そして若者、また障害、難病のある方、あるいは様々な制約条件はあるけれどもその中で、それの中において働いていきたい、実際、今パートで働いている方も、不本意という方、まあこれは統計の取り方もあるかもしれませんけれども、二割を切っています。しかし一方で、処遇に対してはいろいろなお話も聞かせていただきますので、それぞれの働き方の中において納得しながらも働いていける、こういう環境をつくっていくということが私としては是非とも必要だというふうに思います。
それから、その上において、やはり今回は正規と非正規の間の合理性ということになりますけれども、そうすると、じゃ、正規の方はどういう形になっているのかというところも問われていくわけでありますから、当然、先ほど申し上げたような流れということにもつながっていくのではないかと、こういうふうに考えております。
○行田邦子君 私も、次のステップ、すぐにということではないかもしれませんけれども、そのようになっていくというふうに思っております。
安倍総理がたしかこの国から非正規雇用という言葉をなくすというふうにおっしゃっていましたけれども、つまり、正社員というのは、正規雇用者というのは無期、フルタイム、直接雇用ということではないというふうに私は徐々になっていくし、そうならざるを得ないんだろうというふうに認識をしております。
それで、同一労働同一賃金なんですけれども、中小企業の経営者の皆さんから、はっきり言って余り評判が良くないなと思っておりまして、もういろんなお声を私もお聞かせいただいております。ただ、しっかりとこれを成果を上げていくためには、中小企業の皆さんの理解と協力も必要であります。
そこで、事業主の皆さんが納めている雇用保険料を財源としている雇用二事業の中でキャリアアップ助成金というのがありますけれども、過去にもこの決算委員会でも取り上げさせていただきましたが、その中に処遇改善コースというのがありまして、ここで最近、平成二十八年度、平成二十九年度辺りから、いわゆる同一労働同一賃金を導入した企業に対してのインセンティブということがメニューとして盛り込まれております。
厚生労働省さんから平成二十九年度のこの速報値をいただいたんですけれども、処遇改善関係コースなんですけれども、予算に対して三割しか実績がないということでありました。これは、せっかく予算を付けたのに七割要するに使っていない、余らせてしまっているということでありますので、ここをもっとしっかりと周知徹底して使ってもらうようにするべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(宮川晃君) お答えいたします。
キャリアアップ助成金は、非正規労働者の処遇を改善あるいは正社員化するために助成する措置でございますが、そのうち、今先生御指摘の非正規労働者の処遇を改善するためのコースといたしましては、賃金規定等改定コース、あるいは賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コースなどを設けているところでございます。
キャリアアップ助成金の予算額に対する実績額の比率は、先ほど先生の方から御指摘がありましたように、処遇改善に係るこれらのコースにつきましては、平成二十九年度速報で、御指摘のとおり、二九・二%にとどまっているところでございます。現在御審議いただいております働き方改革関連法案について、これが成立した場合には、この正規雇用労働者と非正規雇用労働者の不合理な待遇差の解消に対応するという観点から、賃金規定等共通化コースあるいは諸手当制度共通化コースのニーズが高まるものと期待しているところでございます。
今後とも、このキャリアアップ助成金の周知啓発に努めてまいりまして、非正規雇用労働者の処遇改善、特に商工会議所や商工会などとの連携、あるいはセミナー、出張相談会など様々なツールを通じまして、情報を必要とする中小企業等への周知、活用を強化、推進していきたいと考えております。
○行田邦子君 是非、中小企業の経営者の皆さんに、こういう助成制度を厚生労働省用意しているんだということをきちんと周知していただきたいと思います。
次に、これずっと私が気になっていました労使委員会について伺わせていただきます。
今回の法案に盛り込まれている高度プロフェッショナル制度、それから既にある企画業務型裁量労働制におきましては、これを各事業所、企業で導入するには労使協定ではなくて労使委員会の決議が必要というふうになっています。
労使協定ではなくて労使委員会にあえてしたその理由をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話がありましたように、企画業務型裁量労働制、これは今現行制度であります。そして、今提案させていただいております高度プロフェッショナル制度の導入に当たっては、半数以上労働者で構成する労使委員会の五分の四以上の多数による議決により、健康確保措置の実施、本人が同意を得なければならないことなどを決議し、行政官庁に届け出る必要があるということで労使委員会を位置付けているわけでありまして、これは、事業所における労働の実態を熟知した労使関係者が話し合って、実情に即して決議をするということが求められていることでありますし、実際、先ほど申し上げたように、労使協定に比べて、労働者側から指名された複数の委員及び使用者委員による決議において、しかも五分の四以上の多数が必要だと、こういうことになっておりますので、こういった厳格な手続を定める労使委員会方式をこの場合には採用させていただいたということであります。
○行田邦子君 今の答弁ですけれども、労使委員会の五分の四の決議の方が労使協定よりかは厳格だということだと思いますが、じゃ、実際にその労使委員会の労働者側の委員がどのように選ばれているのか。これまでもこの国会で何度か恐らく取り上げられていると思いますし、私も過去に取り上げているんですけれども、JILPTが実施した裁量労働制に関するアンケート調査というのがありますけれども、お手元にお配りをしているものであります。
過半数労働組合のない事業場における過半数代表者の選出方法についてというアンケートなんですけれども、過半数労働組合のない事業場においては、過半数代表者をまず選んで、そしてその過半数代表者が労使委員会の労働者側の委員を指名するという仕組みになっているので、過半数代表者の選出方法は極めて重要なわけでありますけれども、それがどのように選ばれているかといいますと、一一・二%が社員会、親睦会などの代表者が自動的に過半数代表者になった、そして二八・二%が会社側が指名したということで、約四割が不適切な選ばれ方をしているということであります。これで本当に労使協定よりも労使委員会による決議というのが厳格だと言えるのでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 先ほどの労使委員会の半数については、当該事業者の過半数労働組合又は過半数労働組合がない場合には投票や挙手等の民主的な方法により選出された過半数代表者によって指名をされていることが必要、これは労基法に書いてあります。こうした要件を満たさなければこれは不正な手続を経たということでありますので、今の現行で申し上げれば企画業務型裁量労働制の決議は無効ということになるわけであります。これは、大変大事な重要な、この労使委員会、役割を担っているということであります。
また、御指摘のように、その過半数代表者の選出方法においては、今お示しいただいたJILPTのアンケート等があることは承知をしておりまして、そうしたことも踏まえて、労政審では、六月五日の建議において、使用者の意向による選出は手続違反に当たるなど、通達の内容なんですが、これを省令に規定することが適当だということ、また、使用者は過半数代表者がその業務を円滑に遂行できるよう必要な配慮を行わなければならない旨を、これを省令で規定する方向で検討することが適当ということの建議をいただいておりますので、今後必要な省令改正については検討させていただきたいと思いますし、また、今の現行の中においても適正な手続で過半数代表者の選出が行われるよう、そうした問題点が指摘をされる場合にはしっかりと指導をしていきたいと思っております。
○行田邦子君 まずはよろしくお願いします。
それで、労使委員会なんですけれども、企画業務型裁量労働制とか、あるいは高プロを導入することを決議するという大変重要な役割を担っているわけであります。例えば、健康確保措置、どういったものを採用しようかとか、あとはみなし労働時間はどうするのかとか、あるいはどういう労働者を対象にするのかと、こういったことを決めていかなきゃいけないわけでありますけれども、そのためにはやはり情報が必要ですし、企業側から出る情報が足りなかったらまたその情報を請求するということも当然起こり得ると思うんですけれども。
そこで伺いたいんですけれども、労使委員会にはどの程度の調査権や情報請求権が法律上付与されているんでしょうか。そしてまた、労働者側の委員が労使委員会の業務に、しっかりやろうと思ったらそれなりの時間が費やされると思いますけれども、労使委員会の委員として費やされた時間というのは労働時間とみなされるんでしょうか。そしてまた、労使委員会、これも様々な経費も掛かると思います、しっかりやろうとすると。こうした経費は誰が負担するんでしょうか。
○政府参考人(山越敬一君) 企画業務型裁量労働制の労使委員会でございますけれども、法律に調査権でございますとか情報請求権の定めはございませんけれども、他方で、企画業務型裁量労働制の指針がございまして、その中で、使用者は対象労働者に適用される評価制度あるいは賃金制度について労使委員会に十分説明することが適当であること、また、対象労働者の勤務状況や健康・福祉措置の実施状況等についても開示することが適当であるとされているところでございます。また、使用者が開示する情報の範囲、それから手続をこの労使委員会の運営規程で定めておくことが望ましいものでありますので、この運営規程例などを盛り込んだパンフレットを配付するなどして、その周知を図っているところでございます。
それから、労働側委員が労使委員会に参加中の労働時間の取扱いでございますとか、委員会開催に関しますその委員が負担しなければならないような経費につきましては、法律上の規定がございませんで、個々の企業に委ねられているところでございます。
○行田邦子君 今私が申し上げたことは全部重要だと思いますけれども、全て法律上は規定されていないということであります。
大臣に伺いたいんですけれども、労使協定よりも厳格なはずの労使委員会方式であるにもかかわらず、権限とかあるいは運営などに関する多くのことというか、もうほとんどのことと言っていいと思うんですけれども、が例えば大臣告示とかあるいは解釈例規に委ねられています。
例えば、この決議の有効期間を何年にするのかというのは、おおむね三年が望ましいというふうにガイドラインではなっているんですけれども、これは全く法律事項でもない、省令でもないです。それ以下のところでのガイドラインにすぎません。あとは、労使委員会の委員の任期とか人数とか、あと、どのような労働者を選ぶべきなのか、こういったことについても全く法律では規定されていません。
そこで伺いたいんですけれども、やはり労使委員会というのは今後更に重要になってくると思います。私は、これはしっかりと労使委員会という制度を法律上規定すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、法律上規定すべきというのは、そういった運用等々についても詳細について法律上規定すべきという、こういう御主張だというふうに思います。
労基法における労使委員会は、企画業務型裁量労働制等の導入に当たり、対象業務や対象労働者の範囲等について労使の十分な話合いの場として機能するよう、委員会の構成に関する要件と決議すべき事項など基本的な枠組みは、これは一応法律に書かれております。
その上で、実際に決議する内容は、その事業場の実情を踏まえ、労使の多様な意見が反映されたものとすることが望ましく、かつ労働時間制度の趣旨に沿った運用が行われることが重要であると考えております。
このため、決議において具体的に明らかにすべき事項や決議に当たって留意すべき事項については、労使の自由な意思決定を尊重する観点から、これは指針の形でお示しをし、そして、具体的には労使委員会においてそれを踏まえて決議すると、こういう形がふさわしいと考えているところでございます。
法律に詳細まで規定すると、結果において、委員会の決議も硬直的になり、それぞれの事業所等における多様な対応というものができないおそれがあるというふうにも考えるところでございます。
○行田邦子君 法律で基本的なことは規定されているとおっしゃいましたけれども、最低限のことしか規定されていません。これではやはり労使委員会の制度基盤が脆弱であるというふうに思っておりますので、今後の検討課題として是非厚生労働省においても検討していただきますことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。