2018年6月7日

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
所有者不明の土地の問題がクローズアップされている背景には、土地は財産であるという前提に立っている現在の土地制度が社会の変化に対応できていないということが指摘をされているわけであります。
そして、今回の法案は、その社会の変化に合わせた土地制度の大改正の第一歩という位置付けというふうに認識をしております。人口減少、また人間関係の希薄化、それから都市への人口集中と農村の過疎化と、それから農業や林業の抱える課題などなど、今日の日本社会の現状を踏まえれば、全ての国土をひとしく管理して、また保全をし、そして利活用するということは、これは現実的ではないというふうに考えております。そして、むしろこれまで以上にめり張りを付けることが求められているのではないかというふうに思っております。
例えば、安全保障上重要な土地につきましては、利用権の規制だけではなくて所有権の規制を講じるとか、また、国土の保全という視点で重要な土地につきましては、今もやっていますけれども、利用規制をしっかりと効かせるといったこと。それから、経済資源として利活用しなければいけない土地については、今回の法案もその一つだと思いますけれども、その利活用を促す仕組みとか制度を設けていくと。それから、最低限、やはり管理だけは何とかしていかなければいけない土地というのは、いかに効率的に管理をしていくのかと。それから、優先順位の低い土地などなどといったような具合に、国土の管理、保全、そして利活用について、これまで以上にめり張りを付けていかなければならないと考えておりますけれども、まず大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 本格的な人口減少社会に初めて取り組む国土計画といたしまして、平成二十七年八月に閣議決定をされました第二次国土形成計画におきましては、人口減少や産業構造の変化により開発圧力が低下をし、国土利用の選択肢が広がることを契機として捉え、より安全で快適かつ持続可能な国土を形成することを目指しております。
この計画を推進するため、現在、国土審議会におきまして、人口減少下における新たな国土管理、利用への対応といたしまして、適切な管理を続けることが困難な土地への対応も含めた検討を進めております。
具体的には、地域の事情や土地の条件も踏まえながら、粗放的な管理などの管理コストを低減させる工夫とともに、新たな用途を見出すことで国土を適切に管理していくための方策について、来年度、一定の取りまとめを行う予定であります。
今後、国土交通省といたしましても、こうした検討の成果も十分に踏まえながら、適切な国土管理の実現に向けた施策を推進してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 人口減少社会における土地制度の在り方、これ大変重要な議論だと思いますので、よろしくお願いいたします。
そして、私が先ほど申し上げました安全保障上重要な土地の中に国境離島があると思っております。安全保障上重要であり、また、我が国の海洋権益をしっかりと守るために重要な国境離島でありますが、四百八十四の島があります。この国境離島というのは、我が国の領海、また排他的経済水域の外縁を根拠付ける島ということで使わせていただいている言葉です。そのうち、四百八十四の国境離島のうち私有地があるのは九十八島ということです。人が住んでいる有人離島は五十九島、そして無人離島が三十九島という現状になっております。
今日は内閣府総合海洋政策推進事務局にもお越しいただいていますけれども、伺いたいと思います。
これらの九十八の私有地がある国境離島の所有者の状況を把握することというふうになっておりますけれども、これは海洋基本計画、先月出された、ここにもきちんと記されていますけれども、これら国境離島の所有者の探索を具体的にどのように行っていく予定でしょうか。
○政府参考人(北村知久君) お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、先月閣議決定されました第三期の海洋基本計画におきまして、国境離島の保全上重要と考えられる土地について、その所有状況の把握を行うというふうにされているところでございます。
私有地が存する九十八の離島でございますけれども、このうちの、無人の国境離島が三十九島ございまして、こちらにつきましては不動産登記簿等の情報を既に収集しているところでございます。一方、有人の国境離島五十九島につきましては、これは島全体ということになるとかなり膨大になりますので、そのうちの領海等の基点となる重要な海岸の土地、これが全部で三百七十か所ございますけれども、こちらを対象に不動産登記簿を現在収集中というところでございます。
全ての不動産登記簿をまだ収集できておりませんので、これにつきまして、その登記簿を収集するに当たり必要となる情報を関係市町村に現在確認をしておりまして、この情報を確認でき次第、不動産登記簿を全て取り寄せた上で、有人、無人を問わず収集した不動産登記簿の内容を確認し、当該所有者の把握を行ってまいりたいということで進めているところでございます。
○行田邦子君 無人離島については不動産登記簿をまずは収集したということで、有人離島は領海、EEZの外縁を根拠付ける領海基点のあるところだけこれから不動産登記簿を収集するという、まだその段階ということでありますけれども、この後、これらの有人の私有地のある国境離島の所有者を探索する作業というのは、これもう次長はよく御存じだと思いますけれども、とても大変なんじゃないかなというふうに思います。
先般も決算委員会でこの点取り上げさせていただきましたけれども、無人離島の場合は、これは住民票もないでしょうし、それから恐らく固定資産課税台帳もないでしょうということで、どうやって探索するのかと。不動産登記簿に載っている人が本当に所有者であればいいですけれども、お亡くなりになっている場合も可能性としてあると思うんですけれども、どうするのかと。とても大変だと思います。
先ほどから、午前中からもずっと言及されていました、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地が二割で、それをしっかり探索すると〇・四一%に下がるということでありますけれども、国境離島の場合、この〇・四一%ぐらいまで下げるまでのその探索というのは物すごく大変だと思いますし、これ私の推測ですけれども、〇・四一%くらいまで行かないんじゃないかと。探しても探しても真の所有者が分からないままの国境離島というものが出てくると思います。
どこかでやはりその所有者の探索を諦めなければいけないと思うんですけれども、そのときのことについて伺いたいんですけれども、所有者不明の国境離島を円滑に国有財産化といいますか、土地収用というんでしょうか、どちらでもいいと思うんですけれども、するような仕組み、それから国が管理できる仕組みなどを今のうちからやはり検討しておくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(北村知久君) 先ほどお話し申し上げました第三期の海洋基本計画にもありますとおり、国境離島は領海等の保全や海洋権益確保の観点から極めて重要であるというふうに認識してございます。
先生御指摘のそういった土地についてのいろいろな制度の導入ということでございますけれども、そういった制度を考えるに当たりまして、まずは国境離島の保全上重要と考えられる土地につきまして、そういった土地がどのような土地利用が行われると具体的にどのような問題が生ずるのかといったことを、そういった場合にいかなる措置が必要となるかということを具体的に検討する必要があるということで、関係省庁の協力の下、有識者の意見を聞きながら今後検討を進めてまいりたいと思っております。
なお、検討の対象は私有地でございますので、個人の財産権にも関わるものでございますので慎重な対応が求められると、こういったことにも留意しつつ、国境離島保全のための施策をしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。
○行田邦子君 今日こうして審議されているこの法案の国境離島版のような制度や仕組みの検討が必要であるというふうに考えておりますので、様々な問題点を踏まえながら検討していただきたいと思っております。
それでは、この法案には所有者の探索を合理化する仕組みも盛り込まれておりますけれども、局長に伺いたいと思います。
市町村が行う地籍調査において、不動産登記簿上で所有者の所在が確認できない土地が約二割、二〇%というところですけれども、それを探索すると最終的には〇・四一%に減少すると、先ほど申し上げたとおりであります。
では、この探索で具体的にどういう作業を行っているのか、教えていただきたいと思います。それからまた、こうした探索作業は非常に労力を要するということはよく言われていますけれども、具体的にどのぐらいの労力を要するのか、分かりやすくお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(田村計君) お答えします。
地籍調査におきましては、土地の境界を明確にするため、土地所有者等の立会いを求め、境界の確認を行っております。この際、まずは不動産登記簿上の土地所有者について調査をいたしますが、平成二十八年度に地籍調査を行った千百三十地区の六十二万筆のうち、不動産登記簿の調査により所有者等の所在が判明しなかった土地の割合は、議員の御指摘のように、筆数ベースで約二〇%となっております。
このような場合には、住民票、除かれた住民票、又は戸籍、付票等の謄本等の公簿に基づく調査、親族等や近隣住民からの聞き取り調査などによる追跡調査を実施して所有者等の把握に努めることとしております。
このような調査の負担でございますけれども、各地区の対象の筆数や地籍調査を行う市町村の実施体制、それから相続の状況やその登記への反映状況など、様々な条件によって変わり得るため一概には申し上げられませんが、その上で、平成二十八年度の地籍調査におきまして、先ほど千百三十地区と申しましたが、そのうち追跡調査を実施した千四十四地区におけるその追跡調査の期間は一地区当たりの平均で四・六月でございます。これは、一般的な地籍調査に要する全期間のおおむね一割から二割程度となっております。
○行田邦子君 大変な手間の掛かる仕事だと思います。必要ではありますけれども、手間の掛かる仕事だと思います。
この労力をいかに少なくするにはどのようなことが考えられるのか、また探索作業の簡素化というのは可能なのか、続けてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(田村計君) お答えします。
地籍調査におきましては、土地の境界を明確にするため、土地所有者等の立会いを求め、境界の確認を行っております。そのために必要となる所有者探索を目的とした追跡調査は、先ほど申しましたように、住民票、戸籍謄本等の公簿に基づく調査、親族等や近隣住民からの聞き取り調査等により行うこととしておりますが、現行制度におきまして、その探索範囲は必ずしも明確になっておりません。
また、近隣住民への聞き取り調査は、多大な労力を要するにもかかわらず、地縁の希薄化等を背景に情報を得られにくくなっております。これらが地籍調査に時間や経費を要する一因となっており、特に近年、所有者不明土地の増加がこのような傾向に拍車を掛けているものと考えております。
これらの課題に対応するため、平成三十二年度から始まる次期第七次国土調査事業十箇年計画の策定に向けまして、一つは、本法案において想定している探索方法を参考に、聞き取りの調査範囲を一定範囲の親族等とするなど地籍調査における所有者探索範囲を明確化すること、それから、探索作業の結果、全部又は一部の所有者等が不明な場合に、立会い等の手続を合理化するために必要な客観的資料の範囲とその活用方法を明確化することなどにつきまして検討することにより、法務省と連携しながら、市町村等の負担を軽減し、地籍調査の推進を図ってまいりたいと考えております。
○行田邦子君 地籍調査、なかなか進んでいないというか、半分でしょうか、ということだと思いますけれども、この地籍調査は大変大切な事業だと思いますので、これをしっかりと進めていくためにも、今の御答弁にあったようなことを是非とも進めていっていただきたいと思っております。
それで、地籍調査が行われていないと民間の再開発事業など土地の利活用を行う際に非常に事業に支障を来すということは、これはよく指摘をされていることであります。こうした事態を避けるために、現状における解決策は何でしょうか。そしてまた、今回の法改正も含めて、今後の検討について伺いたいと思います。
○政府参考人(田村計君) お答えします。
民間の再開発事業が都市再開発法に基づく法定の再開発事業である場合には、過失なく探索をした上で所有者の所在が不明である場合におきましては、権利変換計画の通知を公示送達により行うことなどによりまして、所有者不明の土地等の権利につきまして施行地区内に確保することが可能となっております。境界が不明な場合にも、土地収用法の手続を準用して土地調書等を作成することにより、対応が可能となっております。
また、今般の法案により、所有者の探索において、原則として登記簿、住民票、戸籍など客観性の高い公的書類を調査することで足りることとすることを踏まえ、法定の再開発事業につきましても同様の措置を講じ、所有者の探索の合理化を図ることといたします。
他方、法定の再開発事業に該当しない場合につきましては、従来どおり、所有者の探索や財産管理人制度の活用等によりまして、境界を確定し、所有権を取得する必要があります。
今後、所有者不明土地の発生抑制や解消に向けて、土地所有者情報を円滑に把握する仕組み等につきまして政府全体で検討を進めてまいります。これによりまして、法定の再開発事業に該当しないものも含めて、事業が円滑化するように努めてまいります。
○行田邦子君 民間の再開発事業にも支障を来さないように、今後も更に土地所有者の所在の把握の円滑化ということ、検討していただきたいと思います。
それでは、法務省にお越しいただいていますので伺いたいと思いますけれども、無主の土地というのはどんなものがあるのか、そしてまた、どの程度あるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(筒井健夫君) お答えいたします。
お尋ねがありました無主の土地、すなわち所有者のない土地は、例えば海底隆起によって新たに土地が発生することなどにより生ずるものでございます。このような無主の土地がどの程度存在するかにつきましては法務省としては把握しておりませんけれども、民法上、所有者のない土地は国庫に帰属することとされております。
また、土地の所有者が死亡し、その者について相続人のあることが明らかでない場合にも、先ほどの無主の土地と類似の状況が生じます。この場合につきましては、相続財産管理制度による手続を経た上で、最終的に残余財産が国庫に帰属することとされております。
この相続財産管理制度と申しますのは、相続人のあることが明らかでない土地等の相続財産につきまして、家庭裁判所が管理人を選任し、相続人を捜索しつつ、相続財産を管理、清算し、最終的には残余財産を国庫に帰属させる制度でございますが、その残余財産中に土地があれば、その土地は国庫に帰属することになります。
相続人のあることが明らかでない土地、これがどの程度あるかにつきましても、申し訳ございませんが、法務省としては把握しておりません。
○行田邦子君 相続人不存在による無主の土地についてですけれども、最後、大臣に伺いたいと思います。
私は、この相続人不存在の土地というのは今後増えてくるのではないかなと思っておりまして、特に経済価値が低い土地は放置される傾向にあるのではないかと思っております。今後このような無主の土地が増えることについての大臣の御認識と、また取り得る対策についてお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 将来的には二〇四〇年まで死亡数は増加するとの推計がありまして、相続機会も増加するものと考えられることから、何の対策も行わなければ放置される土地が増加してしまうおそれがあるものと考えております。
政府としては、そのような土地を増加させないため、土地を手放すことができる仕組みを導入すべきであるとの御意見があることは承知をしております。土地を手放すことができる仕組みにつきましては、その要件や手放された土地の帰属先等、検討すべき点は多岐にわたります。現在、法務省の研究会において、土地を手放すことができる仕組みの在り方について検討が進められているものと承知をしております。
国土交通省といたしましても、六月一日に関係閣僚会議で決定をいたしました基本方針に基づきまして、法務省など関係省庁と連携をしつつ、引き続き検討を深めてまいりたいと考えております。
○行田邦子君 終わります。ありがとうございます。