2018 年5月31日

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
お二人の参考人には、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
所有者不明土地の問題について私が関心を抱いたのは今から七、八年前なんですけれども、二〇一〇年の秋に、国会で質問しようと思って、国土交通省、また森林の土地ということで農水省、林野庁に日本には所有者不明の土地はどのぐらいあるのかと聞いたところ、理論的にはありませんと、お亡くなりになった方も含めて誰かしらが土地を持っていますということを言っていたのを今でも覚えているんですけれども、それから七、八年たって、こうして国会で所有者不明土地の問題について、こうして法案が政府から出されるというのは隔世の感がありますが、こうした国民の関心も高まっているやはり背景には、吉原参考人のような研究者の方が様々な問題提起を熱心にされてきたことがあろうかと思っております。
そこで、まず吉原参考人に伺いたいんですけれども、土地という公共財を、いかに政府としても行政としても管理をし、利用を促し、また計画を立てていくということでありますけれども、ただ、全ての土地を一律にということにはもうもはやならないんだろうと思っております。
例えば、土地によっては行政がしっかりと所有者を把握し、また何らかの利用権や、また所有権も規制をするということが必要な土地もあろうかと思っておりますし、一方で緩やかな利用を促すような扱いの土地というのもあろうかと思います。そしてまた、先ほど吉原参考人もおっしゃっていましたけれども、最低限の管理さえすればいいということにとどめておくような土地もあろうかと思いますし、またそれ以外の土地という、めり張りを付けていかなければいけないんだろうというふうに思っているんですけれども、そうした件につきまして吉原参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(吉原祥子君) 御質問ありがとうございます。
まさに私も、今議員がおっしゃいました、所有者不明の土地はないんですというあの発言はよく私も覚えております。本当に、台帳上には誰かの名前があると、それを現所有者を突き止めていくまでの行政コストの掛かり増しというものがだんだんと看過できない状態になって、今こうした法案が出されるようなところまで来たんだろうなというふうに思っております。
全ての土地を一律にとはいかないというものはまさに御指摘のとおりだと思います。例えば、経済活動の対象とすべきでない土地というものも当然あるわけです。自然環境保全とか、あるいは防災の観点から公有化をしておく方がいいとか、あるいは、これは限定的ですけれども、安全保障上こういう土地はやはり経済活動の対象とはするべきではないとか、そうしたところをきちんと考えていくということが必要であろうかと思います。したがって、これは国レベルで考えるめり張りということと地域それぞれで考えるめり張りというものがあるんだろうなというふうに思っております。
そうした土地政策において、土地行政において、国と地方の役割分担というものも今後どういうふうに協力をしていくのかということが一つ別の課題としてはあるなというふうに思っております。
○行田邦子君 ありがとうございます。
私が所有者不明の土地の問題に関心を持ったきっかけというのが、森林の土地の所有者についてであります。当時、今でも言われていますけれども、森林の土地が外資、外国人に買われているのではないかといったことが随分報道もなされていた時期でありました。私も当時、国会で質問をしたわけでありますし、また森林法の改正といったことも行いまして、森林の土地の所有権移転の届出制といったこともなされたわけであります。
国民の皆さんも、この森林の土地が誰に買われているのかということは結構今でも関心のお声をいただいております。じゃ、森林の土地ということに関心があるのかというと、よくよく聞いてみますと、多くの皆さんは水を守れ、水源地を守れというようなことをおっしゃっています。
そこで、嶋津参考人に伺いたいんですけれども、水源地を守るというような視点で嶋津参考人の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(嶋津暉之君) 水源地を守るということで、森林そのものをこれも保全していかなきゃならぬわけでありまして、今お話があったように、一時は外国資本によって森林の用地が買収をされているという、そういうことがかなり問題になりました。今、最近はちょっと出てこないようですけれども。
この水源を守る点では、確かに、森林といっても、これは人工林の伐採も十分間伐をされないまま放置されているところもありますし、それから天然林は随分なくなってきているわけであって、水源を守るならば、森林の在り方そのものを根本的に見直さなきゃいけないと思うんですね。
同時に、土地そのものも外国資本にもし買収されているならば、確かにこれは問題であり、問題にしなきゃいかぬということで、やはり、まずその前に水源地ということで考えるならば、森林行政の在り方そのものというものを今見直さないと、本当にもう森林の保水力は今低下している状況にありますので、その辺のこともこれから改善していかなきゃいけないと思います。
○行田邦子君 ありがとうございます。
続いて、吉原参考人に伺いたいと思います。
所有者不明の土地の中に入るのかどうかも含めてなんですけれども、不動産登記簿を見ても真の所有者がなかなか特定できない、分からないといった土地が所有者不明の土地だと思いますが、それでは、無主の土地、不動産登記簿そのものが存在しない土地というものについてなんですけれども、これは民法上また国庫に帰属するということですし、国有財産法上も国有財産台帳を作るということになっていますけれども、私はこの無主の土地というものが結構あるのではないかなというふうに思っておりまして、そのことについての吉原参考人の御見解と、何か問題意識があればお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。
無主地は国庫に帰属をするということが民法でうたわれております。今議員が御指摘の、想定されている無主の地には幾つかの種類があるとは思うんですけれども、私が先ほど申し上げました自治体アンケート調査の中でどのような無主地に遭遇したかということからお答え申し上げたいと思います。
自治体で遭遇する無主地というのは、相続人不存在の土地です。相続人がいない土地というのは二つあるんですけれども、相続人が全員相続放棄をして誰も権利を主張する人がいないという場合と、それから、元々もう親族が誰もいなくて、本当にその所有者が亡くなった後誰も引き継ぐ人がいないと、そういう意味での相続人不存在というものがあります。
そうした誰も所有権を主張しない土地が、じゃ、無主地は国庫に帰属するので自動的に国のものになるかといったらそうではなくて、民法上の相続財産管理人制度、相続財産管理制度という手続を経る必要があります。まず、利害関係人である第三者が申立てを家庭裁判所に行いまして、家庭裁判所で相続財産管理人を選任し、そして、残されたその土地を含む財産を清算するわけですね。売却したりして債権債務を清算した上で、換価、お金に換えて、そのお金を国庫に帰属をさせるという、そういう手続が必要になります。
財産管理人の選任に当たっては、予納金を四、五十万、都市部であったら百万ぐらい納める必要があるとも聞きます。そうしたコストと時間を掛けて国庫に帰属させるという手続が必要ですので、自治体においては、換価見込みがない経済価値の低い土地についてそこまでの手続はできないということで、結局、相続人不存在のまま放置をしていると、そういう問題も地域では出てきております。
したがいまして、こういう無主の土地をどういうふうに、繰り返しですが、管理責任と権利の保全を誰がどう行うのかということは、これまでの民法では十分に想定されていなかった問題だと思います。土地は財産であるという、そういう想定に立ったこれまでの仕組みですので、土地を要らない、管理が負担だ、もう権利も継承しなくていいという、そういう人が出てきた中において、これからの無主地の在り方、法的な課題というものは、まさに議員の御指摘のとおり、これから本当に必要な論点の一つだと思っております。
○行田邦子君 ありがとうございます。
最後に、また吉原参考人に伺いたいんですけれども、所有者を一生懸命探索すれば、これは国土交通省の資料ですけれども、二割の所有者の不明の土地が〇・四一%まで下がるではないかということであります。じゃ、探索をしっかりすれば所有者不明の土地はなくなるだろうと思うんですけれども、地籍調査もなかなか進んでいません。
地籍調査が進んでいない理由、また、〇・四一%まで下げることができるといっても実際には下がっていない、そこの根本的な原因についてお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。
二〇%が探せば〇・四%になるから、これは騒ぎ過ぎる問題ではないという、そういう見方も当然あるだろうと思います。
しかしながら、二〇%というのは平成二十八年度の地籍調査において登記簿上の名義人では本人に連絡が付かなかったという割合ですけれども、その二〇%を〇・四%にまでするためにどれだけの行政コストが掛かっているのか、それから計画などの地籍調査の遅れなどにつながっているのかということを考えれば、やはりこれは看過できない問題であるというふうに思っております。
本来、行政職員の方々、今地域で直面している様々な課題を考えますと、相続人調査にこんな時間を掛けている場合では今の日本はないと思います。やはり合理化できるところは合理化し、そして所有者が権利を主張していないような土地については、やはり何らかの権利の確定ということにおいては法的な解決策を用意しておくということも必要だろうと思います。そうしたことの相乗効果によって、今後、地籍調査などにおいても境界確定などの迅速化というものにもつながっていくのではないかなと思います。
○行田邦子君 ありがとうございました。