2018年4月17日 国土交通委員会

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
人口が増えて、そして都市が拡大する時期におきましては、民間の意欲によってどんどんと建築が進んで、また土地利用も進んでいく。そうした中で、行政は規制を掛けて、言ってみれば受動的に都市の調和を保ったりとか、あとは都市の効率性を保つというような受動的な対応をしてきたかと思います。
ただ、一方で、今日のように人口が減っていって、そしてまた都市のスポンジ化が発生するようなこういう状況におきましては、都市が縮小しながらもその機能を維持していくように、行政は能動的にマネジメントをしていく必要があるかと思っております。
そこで、まず大臣に伺いたいと思いますけれども、都市が拡大から縮小へと変化していく中におきまして、地方自治体の役割はどのように変化するとお考えでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 人口増大期における都市政策の主眼は、民間の旺盛な開発圧力に対してスプロール化を防止することにありまして、開発、建築を規制する等のいわゆるネガティブプランニングと呼ばれる対応が主でございました。人口減少期に入り、地方都市等におきまして民間の開発意欲が低下をし、空き地、空き家等の低未利用地が小さな敷地内で時間的、空間的にランダムに発生する都市のスポンジ化が生じております。
このような状況に際しましては、従来のネガティブプランニング的手法は有効性を失ってきております。地方都市等の実態を見ますと、小規模ながらも積極的な地域の共同空間の創出といった土地利用を引き出す、言わばポジティブプランニングの考え方が重要となっております。その実現に当たりましては、市町村に計画基準を策定をし、開発、建築を受動的にコントロールするという手法から、コーディネートやインセンティブにより、まちづくり会社や地域コミュニティーの取組を能動的に後押しをするという姿勢への転換が求められております。
国土交通省は、本法案において創設をいたします新たなツールの活用も促しつつ、市町村が主体性を持って官民共同で個性あるまちづくりを進める取組を全力でサポートしてまいりたいと考えております。
○行田邦子君 今回の都市再生法の改正案の審議に当たりまして、身近な市や町に今の状況とか課題を聞いてみたんですけれども、やはりどの市や町でも手探り状態が続いているのかなというふうに印象を受けています。
地方自治体のまちづくり課とか、また都市計画課におきましては、これまで経験したことのないような業務への対応が求められたりとか、あとはまた、町を構想する、都市を構想するような力が必要となったりとか、そもそも都市計画行政、そしてまた、まちづくりの行政の発想の転換が求められているというふうに思っております。
そこで、局長に伺いたいんですけれども、国土交通省としまして、地方自治体のこうした専門人材の確保やそしてまた育成、そして、それだけではなくて、自治体内部におけるノウハウの蓄積に対してどのような支援をしていくとお考えでしょうか。
○政府参考人(栗田卓也君) 御指摘のとおり、人口減少、高齢化という大きな変化に直面して、都市のスポンジ化など、これまでの延長線上では十分に対応できない事態があるということでありますので、我々もそうですけれども、地方自治体におきましても、新たな時代に対応した都市計画行政を担う人材の育成、ノウハウの蓄積、これが大変大事だと考えております。
我々と自治体との関連で申しますと、我々の職員、地域ごとの担当制としたりしまして、コンパクトなまちづくりに取り組む市町村に対して直接きめ細かなコンサルティングを行っておりますし、このような従来からの取組に加えて、市町村間の水平的なネットワークを構築するための協議会、これ今年六月に設けられる予定となっておりまして、先行事例、ノウハウが広く共有されるように取り組んでまいります。
それから、特に専門的な人材という観点からでございます。地方自治体職員の人材不足等を補うという観点から、実務の専門家である都市計画コンサルタントの能力の高度化、あるいはコンサルタントと自治体との連携、こういったことも大事だと考えております。
既に国土交通省で公表させていただきました都市計画関連ビジネスの新たな展開に関する検討取りまとめというものがございますが、これを踏まえまして、平成二十七年から、民間側の取組としてですが、発注者である地方公共団体が優良と評価したコンサルティング業務、これを公開していただく都市計画コンサルタント優良業務登録事業、通称ejob事業と申しておりますが、こういうのを実施させていただいております。要するに、優良な業務を行っていただいたコンサルを各自治体が把握できるシステムをつくったということでございます。
国土交通省としましては、引き続き、地方自治体への情報提供や先進事例の展開などを進めますとともに、都市計画コンサルタントの専門性の向上等を図りまして、地方自治体を支援してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 よろしくお願いします。
先ほど、青木委員からの質問と重複しますので質問等はいたしませんけれども、市や町に、まちづくり行政、そして都市計画行政について何が一番課題かということを聞きますと、一番多く出てくる声としては、やはり所有者不明、空き地、空き家が多いということであります。これをどうしたらよいんだろうかということを大変苦慮している自治体が多いというふうに思います。
今回の法改正で、固定資産課税台帳が見れたりとかあるいは地籍調査の情報も見れたりということを法律上規定するということでありますけれども、ただ、所有者不明の土地の問題については、やはり国土交通省だけでなくて政府一体となりまして、例えば不動産登記の在り方がどうなるかといったこともしっかりと検討していただくことをお願いを申し上げておきます。
次の質問に移ります。
土地区画整理事業の特例として設けられることになります誘導施設整備区制度についてなんですけれども、空き地等が相当程度存在する区域において町の顔となるような商業施設や医療施設等の誘導施設を整備する場合、例外的に従前の宅地と離れた場所に換地できる特例制度ということで創設されるということでありますけれども、それでは伺いたいと思うんですが、この町の顔となる施設というのは具体的にどのような施設を想定しているのか、そしてまた、空き地がどの程度存在する場合に制度を利用できるのか。局長、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(栗田卓也君) 誘導施設整備区制度は、土地区画整理事業の実施に際しまして、市町村の定める立地適正化計画に位置付けられた誘導施設を整備すべき区域を定めて、地権者の申出に基づいて、散在する空き地等を集約し活用することで町のにぎわいの再生を図るものでございます。
町の顔となる施設とは具体的にどのような施設かということでございます。イベント広場などが併設された商業施設、地域の中核的病院やクリニックモール等の医療施設、老人福祉センター等の福祉施設など、地域の方にとって利便性が高く、又は地域外からも多くの人が訪れてにぎわいをつくり出すような施設、こういったものが計画に定められるんではないかと想定しております。
また、この制度は、空き地等が一定程度存在する区域において活用できることとなっております。空き地等の集約によりまして、整備しようとする誘導施設の敷地の確保が可能となる区域での活用が想定されるわけでございます。ただ、誘導施設の敷地の規模はその地域や用途によって様々でありますし、また柔軟に制度を活用していただきますために、要件的なものを定める予定はございません。
一つのイメージとしてお示しさせていただきますと、例えば、今回、社会資本整備総合交付金によります支援が可能となる土地区画整理事業の区域面積を〇・五ヘクタールまで引き下げております。五千平方メートルに引き下げたということでございます。このような小規模な事業を念頭に置いた場合、区域内の二、三割、一千平米から一千五百平米程度の空き地を集約して活用する、活用先として都市型スーパーとかクリニックモールなどの誘導施設の立地が可能となる、こういった場合も考えられると思います。
我々、地方都市の実態としまして、中心市街地でも二割、三割空き地がある場合がございますというようによく御説明で申し上げております。今申し上げましたケースはスポンジ化が進行する地方都市の実態にも当てはまると思っておりますので、多くの都市での本制度の活用を促進していきたいというように考えております。
○行田邦子君 面積要件を二ヘクタールから〇・五ヘクタールまで引き下げるということでありますので、使い勝手の良い制度として使われることを期待をしたいと思っております。
それでは、立地誘導促進施設協定制度についても伺いたいと思います。
地域コミュニティーの自発的な取組によって交流広場や施設などの共同管理ができるよう、地権者全員の合意による協定を締結する仕組みでありますけれども、この制度のヒントとなった事例というか、先行事例と言ってもいいんでしょうか、の一つとして挙げられていますのが長野市のぱてぃお大門ということであります。
私が住んでいる埼玉県におきましては、蔵造りで川越が大変有名でありますけれども、こうしたまちづくり事業というのは全員の合意を得るというのが非常に困難を伴うことが多いかと思います。
そこで伺いたいんですけれども、このぱてぃお大門なんですが、この事例が実現した成功要因、そしてまた実現するに当たって困難だった点をどのように国土交通省として認識しているのか、そして、これらを踏まえて制度創設にどのように生かしたのかをお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(栗田卓也君) 今質問の中でお触れいただきましたぱてぃお大門でございますけれども、これは、この地区には従前、空き地や空き店舗が一団となって存在しておりましたが、地元の有志によりまして地域の活性化拠点として一体的に整備する計画がまとめられました。これを受けまして、平成十五年に設立された株式会社、いわゆるまちづくり会社と称するものですが、まちづくり長野が空き地等の所有者十数名との間で定期借地権の設定を行いまして、ぱてぃお大門の整備から管理までを行っているところでございます。
この取組が実現した要因としまして、このエリアでは、地権者を含め、地域の方々の間で歴史的資源を活用した地域の活性化に向けた機運が自発的に高まったことがあるというように伺っております。それから、売り買い、所有権の移転ということでなくて、空き地等の所有者十数名との間で定期借地権の設定ということでありますので、所有権の移転にこだわらずに権利の設定を行われたということも一つの成功の要因であったのではないかというように思います。
他方、そういうような権利の設定ということで割り切られたとしましても、実現に当たりまして苦労された点として、やはりそれでも一部の地権者の合意形成に長期の時間を要されたというようにも伺っているところでございます。
こうした事例を踏まえまして、今回の協定制度の御提案に当たりましては、地権者の機運を高めてその合意形成を後押しする仕組みが重要と考えまして、協定に基づきまして整備、管理する施設について、都市再生推進法人が管理する道路、広場等の土地における固定資産税の軽減措置といったインセンティブ、それから、協定区域の隣接地の地権者に対しまして協定への参加を求めるように市町村長からのあっせんを可能とする働きかけの措置、こういったものを講じさせていただいているところでございます。
この例に見られますように、まちづくり会社などが積極的に地域の活動を支援して関わることが重要だと考えております。こうした団体の都市再生推進法人や都市計画協力団体への指定を促進しまして、その活動に対し必要な支援をしてまいりたいと考えております。
○行田邦子君 よろしくお願いします。
最後、大臣に伺いたいと思います。
この法案は、都市のスポンジ化への対策ということで承知をしておりますけれども、都市の顕在化したスポンジ化に対する対応だけではなくて、都市のスポンジ化を未然に防ぐという対策も必要かと思います。
私が住んでおりますさいたま市なんですけれども、今人口が増えております。そして、増えていると同時に、駅前を中心としてマンションがたくさん建てられておりまして、今日も朝見てきまして、いや、本当にこれ二十年後どうなるのかなというちょっと不安を覚えるようなところもあります。
今は人口が増えていて都市のスポンジ化の問題が顕在化していない地域におきましても、今のうちから都市のスポンジ化を未然に防ぐ、こうした対策も必要かと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 本法案は、コンパクト化の拠点となるべきエリアにおきましても都市のスポンジ化が進行していることから、その対策や予防を行うための様々な制度を創設するものであります。
具体的には、低未利用地の発生を予防する観点から、市町村が都市機能誘導区域内に存する商業施設、医療施設等の誘導施設の休廃止の動きを事前に把握をし、撤退前に他の事業者の誘致を始める等の取組を可能とするための誘導施設の休廃止届出制度創設の措置を講じております。
低未利用地の集約を図る低未利用土地権利設定等促進計画や、地域コミュニティーによる身の回りの公共空間創出を図る立地誘導促進施設協定等は、直接的には低未利用地の利用を促進するものでありますが、これらの措置によりコンパクト化の拠点となるべきエリアの魅力を維持することで、低未利用地の連鎖的発生を回避するという予防的観点も含めたものであると考えております。
今後、更に人口減少が進むと考えられる中、民間の力も借りながら、行政による能動的な働きかけや地域コミュニティーによる身の回りの公共空間の創出等を通じまして、都市の余剰空間の活用やゆとりある生活空間の創出が重要な政策課題になると思っております。
既にコンパクト・プラス・ネットワークというコンセプトは提示をしまして、その下で様々な施策の展開を図っておりますけれども、引き続き、人口減少期における都市政策の在り方につきまして不断に検討してまいりたいと考えております。
○行田邦子君 終わります。