平成28年12月1日 国土交通委員会
○行田邦子君 無所属クラブ、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
まず初めに、今年一月十五日に起きました軽井沢スキーバス事故におきましてお亡くなりになられました皆様に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
それでは質疑に入ります。
今日、こうして審議をされています道路運送法の一部を改正する法案ですけれども、ここでは、貸切りバス事業者が安全に事業を遂行する能力を有するかどうか五年ごとにチェックをする仕組みとして事業許可の更新制を導入することとなっています。事業許可の更新制を導入せずとも、貸切りバス事業者が安全に事業を遂行する能力を有するかどうか、それをチェックするのは監査を強化することで事足りるのではないか、不適格者を排除できるのではないかと、このような考え方もありますけれども、大臣に伺いたいと思います。
貸切りバス事業者が原因となる事故をなくすために事業許可の更新制を導入する必要性について、まず伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 六月に取りまとめました総合的な対策に盛り込まれた事項は、これまでの貸切りバスの安全運行確保に関する施策を抜本的に見直し、バス事業者が遵守すべきルールを強化するとともに、ルール違反の早期是正と不適格者の排除を行おうとするものであります。
貸切りバス事業者に対する国の監査につきましては、まず現行の監査要員の拡充を図ってまいります。また、処分基準の厳格化を行った上で、監査の重点を法令違反の早期是正と是正を行わない事業者の排除等に置きまして、実効性のある監査の実現に努めてまいりたいと考えております。
一方、監査は法令違反が疑われる場合等に行われるものでありまして、現行制度の下では全ての貸切りバス事業者について、安全に事業を継続するための経営体力を有しているかどうかを定期的にチェックする機会が不十分であると考えられます。したがって、この度、事業許可の更新制を導入し、全ての貸切りバス事業者を対象として、安全かつコストを適切に賄いつつ継続的に事業を遂行する経営体力を有するか否かを五年ごとにチェックすることとしたものであります。必要な経営体力を有することを事業者側が示さない限り、五年間の経過に伴い事業許可が失効する仕組みとすることによりまして、安全、安心なバスの運行を継続する能力に欠ける者の事業からの確実な排除を図ってまいります。
監査の実効性の向上と事業許可の更新制の導入を車の両輪といたしまして、不適格者の事業からの退出を求め、安全、安心な貸切りバスの運行の実現を図ってまいりたいと考えております。
○行田邦子君 全ての事業者に対して定期的にチェックをするという、そのための許可制の更新の導入ということであります。そしてまた、それだけではなくて、同時に、車の両輪と今おっしゃいましたけれども、監査の方も体制を強化していくということで、是非よろしくお願いをいたします。
続いて、局長に伺いたいと思います。平成十二年に免許制から許可制に移行したわけでありますけれども、そのことによって、先ほどから指摘がされていますけれども、貸切りバス事業者の数が増加をしています。ただ、ここ数年では横ばい傾向にあるようであります。今大体四千五百社ぐらいということでありますけれども、私の感覚的な御意見で申し訳ないんですけれども、貸切りバス事業者はもう飽和状態なのではないかなと、このように感じています。
そこで、局長に伺いたいんですけれども、許可を得ていながら実際に営業していない休眠状態の事業者というのがどの程度存在するのか、そして今回の許可更新制を導入するのなら、こうした数年間営業していないなど一定年度数休眠状態にあるような事業者については更新をできないという制度にしてはどうでしょうか。
○政府参考人(藤井直樹君) お答えをいたします。
平成二十八年十月末現在、事業の休止を届け出ております貸切りバス事業者数は二百二十三社ということで、これは先ほど委員御指摘の四千五百社の全事業者数の約五%に当たります。
事業許可の更新に当たりましては、次の更新までの五年間の安全投資に関する計画を記載した安全投資計画、さらにはその裏付けとなる収入、支出を記載した収支見積書、これを提出をさせまして、必要な人数の運行管理者の確保、あるいは車両の適切な整備のための費用を賄いながら継続的に事業を遂行する能力があるかどうかを審査することとしているところであります。
数年間営業していないような貸切りバス事業者、休眠をしているような事業者につきましては、この更新の申請時に、こういった審査に堪え得る適切な安全投資計画あるいは収支見積書を作成できないことが多いものと見込まれます。そういった場合には、この事業許可は失効し、更新がされないということになるものと考えているところでございます。
○行田邦子君 事業許可の更新制を設けることによって、何年間かもう事業をやっていない休眠状態にあるといった事業者については、結果として更新がとても難しくなるということだと思います。
大臣にちょっとここでまた改めてなんですけれども、伺いたいと思います。許可制になってから事業者が増えて、そのことによる問題も多々指摘をされているわけでありますけれども、免許制ではなく許可制であることの意義について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 貸切りバス事業につきましては、平成十二年二月に需給調整を廃止をいたしまして、事業参入時の免許制を許可制にするなど規制緩和を行ってきたところでございます。この措置によりまして、新たな事業者の参入によりサービスの多様化が進むなど利用者の利便性の向上という点で成果を上げていると認識をしております。一方で、安全、安心なサービスの確保は最重要の課題でありまして、これらの規制緩和は安全に関する規制を緩和したものではございません。
今後とも、事業許可制を維持しつつ、貸切りバス事業者の創意工夫に基づく利用者の利便性の向上を阻害しないよう留意をしつつも、軽井沢スキーバス事故を踏まえ、監査の実効性の向上と事業許可の更新制の導入を車の両輪といたしまして、不適格者の事業からの退出を求め、安全、安心な貸切りバスの運行の実現を図ってまいりたいと考えております。
○行田邦子君 意欲のある事業者が参入をして、そのことによって市場での競争が活発化する、それが利用者の利便性にもつながるというふうに思っておりますので、私は、この許可制ということをもちろん賛成でありますし、今更免許制に戻すということではないと思います。
ただ、許可制であるがゆえに、やはりしっかりと監査をしなければいけないと。先ほど申し上げた、意欲のある事業者が参入をする、そして事業を行うと。ただ、それはあくまでもしっかりと日本の法令を守るということが大前提でありますので、日本の国の法令が守れないという事業者については監査を強化していくということが必要だと思っております。
もう質問はいたしませんけれども、やはりそのために、今予算要求をされているということでありますけれども、やはり監査官、そしてまた免許の更新のために必要な人員の増強ということも必要だというふうに思っております。
そこで、更に伺いたいと思うんですけれども、今大体約四千五百社、事業者あるうち、七割が保有台数が十両以下という、いわゆる小規模事業者になっています。そこで、私、事業者規模と事故発生率、そしてまた行政処分率の関係についてお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(藤井直樹君) お答えいたします。
軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきましては、委員御指摘の事業規模に関する規制の強化をすべきか否かということが論点になりました。その中で、事業者の規模と事故の発生状況や法令違反の関係性につきまして、平成二十二年から二十七年までの貸切りバスの重大事故のデータを基に分析を行ったところでございます。
まず、事故の発生率につきましては、一千台当たりの事故件数、これを事業者の保有車両ごとに見た場合に、保有車両数十両未満の小規模事業者、この発生件数が千台当たり三・一となっております。これにつきましては、保有車両数が増加するにつれてその件数が増加するということが数字としては見られました。具体的には、百一両以上の大規模事業者においてはその数は七・〇ということになったということでございます。この保有車両数が増加するにつれて一千台当たりの事故件数が増加するという傾向は、走行距離一億台キロという台キロ当たりの事故件数で見ても同様の結果が出たところでございます。
また、監査を実施した事業者のうち、法令違反が認められ行政処分や文書警告の対象となった事業者が占める割合、これを保有車両数ごとに見た場合、保有車両数十両未満の方の事業者の今申し上げた行政処分等の割合が三六%。ただ、これは保有車両数が増加するにつれてその率が減少し、五十一両から百両については一五%、ただ、百一両以上の事業者については逆に増加してまた三六%ということでございましたので、事業規模との明確な相関関係、特段の有意な傾向は見られなかったというふうに認識をしております。
○行田邦子君 素人考えなんですけれども、規模が大きい方が安全性が担保されて小さいと逆に安全性に不安があるのかなというふうに思っておりましたけれども、そういった相関関係はないということであります。であればこそなんですけれども、先ほどから質疑でありますセーフティバスのような優良事業者に与えられるこのような制度、より一層国民の皆様の中に浸透していくべきだと考えております。
それでは、その次の質問に移りたいと思うんですけれども、事故を起こしたイーエスピーは、公示運賃下限の二十七万円を八万円下回る額で旅行会社から受注をしていたということが問題となっています。こうした状況を受けまして、国土交通省におきましては、今年の二月から三月に旅行業者とそして貸切りバス事業者に対して取引事例の調査を行いました。
そこで非常に興味深い結果が出ておりまして、まず一つは、運賃、料金の収受状況について一二%の貸切りバス事業者が届出範囲で収受不可と答えています。つまり、公示運賃下限割れということだと思います。で、八%が未回答となっています。
この調査結果に対する大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 貸切りバス事業におきましては、平成二十六年の四月から、安全に係るコストを反映をいたしました新運賃・料金制度を導入しているところでございます。
本年二月に国土交通省が実施をいたしましたアンケート調査によりますと、国に届け出た額の範囲内で運賃、料金を収受している貸切りバス事業者の割合は、新運賃・料金制度の開始前では二割弱だったのに対し、調査時点では八割に増加をしております。このアンケート結果等から、新運賃・料金制度は貸切りバス事業に係る労働環境の改善や安全性の向上に一定程度貢献しているものと考えております。
一方、アンケート結果によれば、今委員から御指摘がございましたとおり、二割の事業者はなお届出の範囲内で運賃、料金を収受している状況にはないと認められます。また、軽井沢スキーバス事故を起こした事業者につきまして、運賃の下限割れが明らかになったところでございます。
国土交通省といたしましては、これらの点を重く受け止め、新運賃・料金制度を徹底するために、旅行会社に提出する運送引受書に運賃、料金の上限・下限額を明記することを義務付ける、また国土交通省に設置をいたしました下限割れ運賃に関する通報窓口を活用していく、そして過大な手数料の第三者委員会における検証を行っていく、こういった措置を講じているところでありますし、また今後ともしっかりとやってまいりたいと考えております。
○行田邦子君 続いて大臣に伺いたいと思うんですけれども、この調査におきまして、こういう質問もしています。旅行業者に対してなんですけれども、貸切りバス事業者から受け取る手数料についてなんですけれども、約七割の旅行業者が一〇%から二〇%の手数料を受け取っていると回答している一方、約四分の一の旅行業者が回答しない、未回答、この質問には答えたくないということでありました。
私は、その手数料率というものがブラックボックス化しているというふうに考えています。仮に貸切りバス事業者が不当に高い手数料を要求されれば、結局は実質的に公示運賃下限割れでの受注と同じことになってしまうと思っています。不当に高い手数料の要求をチェックする仕組みが必要ではないでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 旅行業者からの過大な手数料による実質的な運賃の下限割れの防止策といたしまして、この十一月一日より、貸切りバスの運送申込書・引受書に運賃の上限・下限額の記載及び手数料率等を定めた契約書等の提出を求めることとしております。
また、旅行業界、バス業界及び専門家から成る第三者委員会、貸切バスツアー適正取引推進委員会と申しますが、これを八月末に設置をいたしまして、外部からの通報等に応じ、過大な手数料による実質的な下限割れ等違法性をチェックをしまして、違法であれば行政に通知する体制を整備しているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、運賃の下限明記や手数料の契約書提出による防止策と、専門家から成る第三者委員会や自動車局に設置をいたしました違法事案の通報窓口による摘発を組み合わせまして、下限割れ運賃の再発防止策に努めてまいりたいと存じます。
○行田邦子君 人の命に関わることですので、是非しっかりとチェックをしていただきたいと思います。
終わります。