平成28年5月26日 国土交通委員会
○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。
この度の宅建法改正法案は、建物状況調査、インスペクションを促して、そしてまた、併せて既存住宅売買瑕疵保険の加入者を増やしていく、そのことによって売主、買主が安心して取引ができる市場環境を整備すると、もって既存住宅の流通促進の一助とするということでありまして、賛成であります。
しかしながら、これだけで、これをやっただけで既存住宅の流通が促進されるというわけではないと思っております。市場を構成する様々なプレーヤーに対して啓発や啓蒙やまた情報提供、そしてまた政策誘導など、あらゆる措置を総合的に講じていく必要があろうかと思っております。
その中で私が既存住宅の流通の促進のために必要だと、大切だと思うことの一つは、これは売主、消費者に対してのしっかりとした啓発啓蒙だと思っておりまして、自ら所有している建物、家が、しっかりと維持管理をし、そしてまた定期的にメンテナンス、リフォームをすればその価値が市場でも適切に認められるんだということを消費者、売主にも理解してもらうような、そのような啓発が必要だと思っております。
今の既存住宅市場におきましては、中古戸建て住宅の市場価値が一律に経年減価してしまって、築二十年から二十五年程度でゼロになるということであります。こうした現在の市場の慣行というのを改める必要があることが指摘をされています。そして、市場において個々の建物の価値が適切に評価されるよう、建物の性能や維持管理の状態、またリフォームを行っているかなど、家の持ち主が住宅履歴情報を蓄積し活用する仕組みを整備すべきだと考えておりますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 委員御指摘いただきましたように、既存住宅流通市場の活性化に向けまして既存住宅の価値が市場で適切に評価されるようにするためには、新築時及び増改築時の設計図書を始め、その性能や維持管理の記録などの住宅履歴情報が流通時に関係者間で共有できるようにすることが有効だと思っております。また、この住宅履歴情報を適切に活用することによりまして計画的な維持管理や合理的なリフォームが可能となることから、住宅ストックの質の維持向上という観点からも住宅履歴情報は重要であります。
このため、住宅所有者に対してその蓄積、活用の重要性について周知を図り、普及を進めるべきものと考えております。まずは、住宅履歴情報の蓄積が必要であることから、住宅性能評価機関などがその蓄積や提供を行う際の共通ルールを策定することなどによりまして、住宅所有者が安心して利用しやすい情報の蓄積を図ってきているところでございます。
これを前提にいたしまして、リフォームに関するガイドブックにおいて住宅履歴情報を保管することの重要性を記載し、住宅所有者に周知をすること、また、住宅の長寿命化リフォームに対する補助を行う際に、図面の作成や工事写真の記録、インスペクションの実施、住宅性能の評価を要件として求めること、こういったことによりましてリフォームの機会を捉えた住宅履歴情報の蓄積を進めているところでございます。
○行田邦子君 この住宅履歴情報なんですけれども、いえかるてという名称のものが、制度があるようですけれども、まだまだ十分に知られていない、また普及していないのではないかというふうに考えております。
そこで、住宅履歴情報をもっと既存住宅の流通の促進のために活用していくためには、私は、不動産取引の仲介において売主と宅建業者の間で行われる媒介契約締結時に住宅履歴情報の有無を確認するとか、また、重要事項説明時に住宅履歴情報内容を説明するよう制度化してはどうかと考えていますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) 今回の改正におきまして、一点、重要事項説明で追加をしておる条文がございまして、三十五条の六号の二、ロという規定でございますけれども、これは重要事項説明の対象を規定しているところでございますが、その中に新しく、設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況について重要事項説明の対象にするということを考えてございます。
この説明の対象となる具体的な書類の内容につきましては、今後いろいろな部分でいろんな検討を重ねていきたいというふうに思っておりますけれども、点検記録その他のこういう書類で省令で定めるものの保存状況につきましては重要事項のときに説明をしていただくという、そういう方向になるということでございます。
以上でございます。
○行田邦子君 買主側がその物件、建物の状態を適切に判断できるような、そのような情報提供ができるような仕組みをこれからも更に取り組んでいただきたいと思います。
そして、次の質問は大臣に伺いたいと思うんですけれども、若干重複するかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
今私の質問にもありました媒介契約締結や重要事項説明、これは今、対面で行われるものとされていますけれども、私は、不動産流通を更に活発化させるための方策の一つとしてIT活用をするべきではないかと思っておりますが、その検討状況をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 重要事項説明におけるIT活用には、時間、コストの縮減等の効果が期待できる一方、消費者が説明を十分理解できず、トラブルが増加する等の懸念がございます。そのため、国土交通省におきましては、平成二十七年の八月から、賃貸取引と法人間の売買取引を対象にいたしまして、テレビ電話等を活用したIT重要事項説明、IT重説の社会実験を実施しているところでございます。
社会実験におきましては、平成二十八年四月までに約三百二十件のIT重説が実施をされまして、機器のトラブル等を除き大きなトラブルの報告等はないところでございますけれども、今後も、実施事例を積み重ねるとともに、入居後のトラブル発生状況も含め検証を進めることとしております。
今後、このような検証結果等を踏まえ、本格運用についての判断を適切に行っていきたいと考えております。
○行田邦子君 この度の社会実験におきましては、契約を全てオンラインで完結するということではなく、ITを一部活用する、そのための社会実験ということでありますけれども、是非、業務の適正な運営、また取引の公正の確保、そしてまた購入者利益の保護といったことから外れないように、その上でのITの活用の実証実験を進めていただきたいというふうに思っております。
そして、次の質問を用意しておりましたけれども、かなり質問が重なって、この質問は私で四人目になってしまいますのでちょっと省かせていただきますけれども、次の質問、一問省きまして五問目に行きたいと思います。
この法案で、第四十八条の第三項なんですけれども、宅建業者は事務所ごとに従業者名簿を備えなければならず、取引の関係者から要求があれば閲覧に供しなければならないと、このようにされています。そこで伺いたいんですけれども、なぜ従業者名簿の備えを義務としているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) お答えいたします。
不動産取引におきましては複数の者が取引に関与することから、取引に関与した者と宅建業者の雇用関係が明らかでない場合に、仮にトラブルが発生した際にその責任の所在が不明確になるというおそれがございます。そのため、取引関係者の請求があった場合における従業者証明書の提示を義務付けるとともに、宅建業者の事務所ごとに従業者名簿の備付けを義務付けることで、誰が宅建業者と雇用関係のある従業者であるかを明らかにし、業務の運営の適正化や不動産取引の安定、円滑化を図っているという趣旨でございます。
○行田邦子君 このような従業者名簿の備えを義務付けられている業種というのはほかにあるのかなと考えてみたんですけれども、ぱっと思い浮かばないです。非常に特殊なのではないかなというふうに思っております。
これも古くからの規制であろうかと思いますけれども、やはり状況の変化やまた業界の変化、社会の変化に応じてこういった規制も定期的に見直すべきではないかなと思っていますし、その見直しの際には、当然のことながら、こういった従業者名簿の備えを義務付けするということが業務の適正な運営とか取引の公正の確保のためにどれだけ有効に機能しているのかどうかということも検証していくべきではないかなと、このように思っております。
そして、最後の質問をさせていただきたいと思います。この宅建法案の改正と少し関係があるんですけれども、前回も質問させていただいた続きなんですけれども、木造建築についてであります。
私の思いとしましては、国産材を使った木造建築物を増やしていくにはどうしたらよいのかということなんですけれども、木造建築の場合は耐火性、耐震性、また強度等の課題がありまして、中高層建築物のほとんどが、今、非木造となっています。建築物の木造化を推進するための一つの方策として、皆様のお手元にお配りをしておりますCLTの普及が有効と考えますけれども、これまでは個々の建築物ごとに国土交通大臣認定が必要であったり、また日本においてはパネル工法の設計法が確立されていないなどで非常に実績が少なかったわけです。
今般、CLT関連の告示が整備されたわけでありますけれども、その内容と、また今後のCLT普及のための取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(由木文彦君) お答えいたします。
国土交通省では、今年の三月三十一日及び四月一日に、CLTを用いました建築物の一般的な設計方法等に関しまして、建築基準法に基づく告示を公布、施行いたしました。
これまでは、委員御指摘のとおり、個別の建築物ごとにその建築物に用いますCLT材料に応じまして精緻な構造計算を行っていただいて、大臣認定を受けるという必要がございました。国土交通省では、部材の実験や実大振動台実験などを行いまして、CLTの材料強度やCLT建築物が地震のときにどのように挙動するのか等につきまして調査を進めてまいりました。その結果を踏まえまして、今般、一般的な設計方法を策定し、告示したところであります。この設計方法に基づきまして構造計算等を行うことによりまして、大臣認定を個別に受けることなく建築確認で建築することが可能となったところでございます。
また、これまでは準耐火構造としなければならない共同住宅等につきまして、一般にCLTを使おうといたしました場合には石こうボード等によって覆っていただかなければならないということがございました。そうでないようにしようと思う場合には、建築物の壁とか床、あるいは屋根にそうした防火被覆がないCLTについての耐火実験をしていただきまして、これも大臣認定を取っていただくという必要がございました。この点につきましても、実験によりまして火災時のCLT部材の性能が確認をされましたので、例えば三階建てまでの共同住宅等につきましては、告示に基づいて定めました仕様としていただくことで、防火被覆なし、現しというふうに呼んでおりますけれども、この現しで建築物の壁あるいは床、屋根にCLTを用いることを可能としたところでございます。
今後でございますけれども、林野庁や、あるいはCLT協会等関係団体も組織をされておりますので、こういったところとも連携をいたしまして、まず今回出しましたCLTの告示の内容、それから告示に基づいて設計施工のマニュアルを来月早々に作ってまいりたいというふうに思っておりますが、そうした内容についての建築士等に対する実務者向けの講習会、こういったものを実施してまいりたいと思っております。
それから二つ目としまして、先般、建築研究所内にCLTを実際に使って建てました実大の実験棟を建築をいたしました。ここで今後、例えば室内の温熱環境でございますとか遮音性能でございますとか、そういった居住性能の検証や評価をしてまいりたいと思っております。
さらに、これまでもしてまいっておりますけれども、CLT等の先導的な技術を用いた木造建築物への助成等の支援も行ってまいりたいと思います。
こうした対応によりまして、引き続きCLTの普及に努めてまいりたいと思います。
以上でございます。
○行田邦子君 終わります。