平成28年4月5日 国土交通委員会
○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。
まず、スキーバス転落事故について伺いたいと思います。
一月十五日に軽井沢で起きたスキーバス事故によりまして十五人の尊い命が失われたわけであります。このような事故を二度と起こさないように、国土交通省におきましてはあらゆる対策をしっかりと講じていただきたいと思っております。
質問に入ります。
このスキーバス転落事故におきまして、旅行業者とバス会社の間にバスを手配する中間業者、ランドオペレーターという言い方をしているようでありますけれども、ランドオペレーターが介在していました。トラベルスタンドジャパンという会社で、旅行業法上の登録もしていたということでありますけれども。そこで伺いたいと思うんですけれども、ランドオペレーターの実態をどのように把握をされていますでしょうか。
○政府参考人(田村明比古君) お答えいたします。
今回の軽井沢スキーバス事故では、御指摘のとおり、旅行業者から依頼を受けたランドオペレーターが安全性に問題のあるバス会社を手配し、結果的に多くの旅行者が事故の犠牲になりました。ランドオペレーターは、結果としては、旅行の安全と質に関わって旅行者に大きな影響を及ぼす役割を果たしていたということであります。
国内旅行においては、スキーツアーバス等でバスが不足したときなどにバスを手配するブローカーとして活動していると。それから、インバウンド旅行については、ケースによって特定の土産物店に送客をして不当に高い買物をさせるなどのトラブルが発生していることも承知をしております。しかしながら、ランドオペレーターは現在法規制の対象となっておりませんため、旅行商品の企画、手配にどのように関与しているか等、その実態の全貌が必ずしも明らかになっておりません。このため、関係業界の協力を得て、実態把握を開始したところでございます。
○行田邦子君 ランドオペレーターは、今御答弁にもありましたけれども、なかなかその実態が把握しづらいということです。
今回の間に入っていたトラベルスタンドジャパンは旅行業法上の登録はしていますけれども、ランドオペレーターは、そもそも旅行業法の登録、旅行業の登録がなくても行えるわけであります。バス旅行などでは、いわゆるランドオペレーターというか、業界ではバス転がしというような言い方もされているようでありますけれども、なかなか実態がつかみにくいということで、そして法規制の網から抜け落ちてしまっているということであります。
私は、この度の事故をきっかけに、この旅行業者とバス会社の取引の適正化、そしてまた見える化が輸送の安全確保にもつながると、このように考えておりますので、ランドオペレーターに対する法規制を検討すべきと、このように考えていますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) これまで旅行業法におきましては、旅行者に直接サービスを提供する旅行業者を対象としておりまして、旅行業者の依頼を受け運送、宿泊等のサービスの手配を行うランドオペレーターは旅行業法の対象外となっておりました。
しかしながら、今回の軽井沢スキーバス事故のように、旅行業者からの依頼を受けたランドオペレーターが安全性に問題があるバス会社を手配し、結果的に多くの旅行者が事故の犠牲になる等、ランドオペレーターが旅行の安全と質に大きく関わり、その結果、旅行者に影響を及ぼしている事案が生じております。
このため、今後、速やかに実態把握を進めまして、ランドオペレーターを含め、旅行の安全と質を確保できる規制の在り方を検討し、結論を得たいと考えております。
○行田邦子君 まず実態把握をしていただいて、そしてまた、何らかの法の網に掛けるといったことも検討していただきたいと私は考えております。
それでは、基礎ぐい工事の問題に移ります。
以前よりかは、昨年よりかは報道の過熱ぶりといったのは収まったようでありますけれども、当初、私も昨年の十月、十一月ぐらいにこういった報道を見て非常に衝撃を受けまして、施工業者が、くい打ちの未達が起きて、それを隠蔽するためにデータの改ざんを行って、そのことによって建物が傾いたり、またあるいは二センチ程度ずれたりということが起きているというように理解がされてしまうような、そのような報道ぶりだったと思うんですね。実際私も、当初報道に触れたときにはそのように誤解をしておりました。
しかしながら、いろいろと情報を見ていますと必ずしもそういうことではなくて、今回のことについては、くい打ちをしっかりと行うということと、それからくい打ちの未達があったとか、あるいはその打ち方不足であったりということと、それからそのデータを改ざんしてしまったということと、それから建物の安全性ということ、これを分けて考えなければいけないのではないかなと、このように思っておりますし、是非、消費者の皆さんが冷静に判断ができるように正しい情報を、国土交通省としても、また業界団体としても発信していただきたいと思っております。
その上で、質問に入らせていただきます。
とはいっても、くい打ちのこのデータを改ざんする、流用するということは、これはもうあってはならないことであります。特に、くいというのは地中の中に埋まるものですので、消費者から見えないもの、国民から見えないものでありますので、このデータが頼りになるわけですから、このデータを改ざんするというのは、これはあってはならないことだと思っております。
しかしながら、今回明らかになったのは、旭化成建材だけでなく、計八社によるくい打ちデータの改ざんといったことが今現在で明らかになっているわけであります。旭化成建材においては三千五十二件中三百六十件と、そしてまたそのほかの八社では五十六件ということであります。
なぜこのように建設業界においてくい打ちデータの改ざんが起きているのでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) 多くのデータ流用が行われたということにつきまして、その要因の分析を対策委員会の方でもいたしまして、その結果をまとめているところでございます。先ほども若干答弁させていただきましたけれども、一つは機械・記録媒体の不具合、不注意による機械の操作ミスといったようなこと、それと電流計データの管理、報告についての明確なルールがなかったといったようなこと、こういったようなことに加えまして、データ流用を許容する業界全体の風潮、企業の風土というものがあったのではないかと、さらに、施工データによる施工状況の作成記録、確認、保管、これを軽視する個人の意識の問題というようなこともあったのではないかというようなことが指摘されているところでございます。
○行田邦子君 今の御答弁を伺っていても、かつては現場打ち、くいを現場で打つというようなことで、そこで何が重要だったかというと、建設職人の経験値であったりとか、それから勘というか技能、建設技のようなものが非常に求められていたのかなと思うんですけれども、その後、生産性の向上が求められたりとかあるいは機械化が進んだりといったことで既製ぐいというものが使われるようになって、そうするとデータが取れるようになったりというような建設現場での進化が起こっているわけですけれども、そこに建設職人が追い付けていないというような実態もあるのかなというふうに私は思っております。
ですから、くい打ちの技能の問題というよりかは、むしろ、データ軽視というか、建設現場に求められているもののニーズにしっかりとうまく建設職人がまだ応え切れていないんではないかと。そしてまた、これからはこうした進化する建設現場のニーズに応じた職人の育成ということにも取り組んでいただきたいというふうに思っております。
今回のこの都筑区で起きたくい打ちデータ改ざんにおきましてですけれども、元請は三井住友建設、そして一次下請には日立ハイテクノロジーズが入っています。
この日立ハイテクノロジーズなんですが、会社概要によりますと、事業分野は電子デバイス、ファインテックシステム、科学・医用システム、産業・ITシステムとなっていまして、これを見る限りではくい打ちの専門業者とは考えにくいわけであります。
ところが、三井住友建設はこの会社に対して下請の請負契約を結んだわけであります。これはなぜなんでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) 日立ハイテクノロジーズがくいの工事を行っておりますことについて、若干経緯がございますのでちょっと説明をさせていただきたいと思います。
今御指摘ございましたように、日立ハイテクノロジーズの主力の事業は現在、半導体製造装置の製造等となってございますけれども、同社は二〇〇一年にグループ事業を再編する中で工業資材商社を合併をしております。この合併によりまして、建材販売の代理店としての業務を担うとともに、元請の建設会社からくい工事を請け負う事業を行っているというふうに承知をしております。したがいまして、同社は、くい工事を施工するために必要な、建設業法上の必要ないろいろな許可等を取ってございますし、必要とされる技術者を雇用しているというところでございます。
そういう企業でございまして、この横浜市のマンション工事におきまして、同社は旭化成建材の営業面での代理店というふうになっているようでございます。三井住友建設が旭化成建材のくい工法を採用するに当たりまして、三井住友建設と日立ハイテクノロジーズとの間でくい工事の請負契約を結んだというふうに承知をしております。
○行田邦子君 この日立ハイテクノロジーズは建設業の許可も取っているということでありますけれども、この元請とそれから二次下請、旭化成建材の間に入っているその経緯というのは、くいの資材の販売代理店という立場であったということであります。それは、御答弁理解はするんですけれども、じゃ、そのくいの販売代理店が、今回のその対策委員会の中間取りまとめの報告書を見ても、くいの販売代理店である日立ハイテクノロジーズがこの施工、この工事におきまして主体的に関与していたという、実際に関与していたというふうには理解がし難いわけであります。
今回の中間取りまとめが出た後、一月に国土交通省としては行政処分を行って、十五日間の業務停止命令とそれから業務改善命令を出したということでありますけれども、これはもう明らかに建設業法の二十二条、一括下請負の禁止ということに該当するわけでありますけれども、今回のこのような問題が起きた背景には、私は、重層化した下請構造の問題があるというふうに思っております。実質的に施工に携わらない業者の介在を排除する法令整備を検討するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) 建設工事におきましては、工事内容が高度化をしておるというようなこともございまして、あるいは専門化、分業化しているということもございますので、あるいはまた受注する工事量の増減、繁閑、忙しい、暇だ、こういうものへの対応ということで、元請と下請が適切な役割分担の下に施工体制を構築するということ自体は合理的な部分があるというふうに考えておるところでございます。
しかしながら、その行き過ぎた下請の構造につきましては様々な弊害があるという指摘があるということも承知してございます。特に、今御指摘ございました実質的にその施工に携わらない企業が施工体制に直接参画するというのは種々の弊害があるというふうに考えているところでございます。この点につきましては、中央建設業審議会等の基本問題小委員会におきましても重要なテーマの一つというふうになっております。実質的に施工に携わらない企業の施工体制からの排除について、必要な対応の検討を現在行っているところでございます。六月目途の中間取りまとめに向けて、しっかりと議論を進めていきたいと思っております。
○行田邦子君 今回のこの基礎ぐい工事問題を機に、是非、この建設業における重層的な下請構造の弊害というのを取り除くにはどうしたらよいのか、しっかりと検討していただきたいと、このように思っております。
実は私もマンション住民でありますけれども、今回の事件が起きたときに、まずやはり、うちのマンションは大丈夫だろうかと思ったわけですけれども、こういう消費者も多いかと思います。
そこでお聞きしたいんですけれども、消費者の相談窓口体制がどのようになっているのか、そしてこれまでに相談件数がどのぐらい来ているのか、またどういう相談が来ているのか、教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(由木文彦君) お答えいたします。
住宅に関する相談体制につきましては、従来より公益財団法人の住宅リフォーム・紛争処理支援センターの電話相談窓口において幅広く住宅に関する相談を受け付けてまいっております。横浜市の事案の報道を受けまして、基礎ぐいに関する相談が増加するということが想定されましたので、昨年十月二十七日以降、電話相談窓口の体制を増強いたしまして、住民の方々などからの相談を受け付けているところでございます。
相談件数につきましては、横浜市の事案が報道されました十月の十四日以降三月三十一日までの間、基礎ぐい問題が契機となっていると思われる相談は百六十九件となっております。相談内容といたしましては、マンションの購入を検討しているけど大丈夫だろうか、あるいは所有しているマンションの安全性を確認したいといった一般的な不安を訴えるものが多い一方で、データ流用があった物件の所有者等から、瑕疵担保責任の期間が過ぎた場合の対応でございますとか転売価値の低下に関する損害賠償の在り方といったような、具体的かつ専門的な内容の相談も来ているところでございます。
今後とも、こういった住宅所有者等からの相談には丁寧に対応してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○行田邦子君 多くの消費者にとってはマンションというのは一生に一度の大きな買物であるわけであります。是非、消費者の立場に立って、丁寧かつ適切な対応を取っていただきたいと思っております。
それでは、最後の質問、大臣に伺いたいと思います。
今回の事件の報道を見て私自身も実感したんですけれども、多くの消費者というのは、マンション建設の工程とかあるいは技術的な知識というのは必ずしも十分ではありません。例えば、くいを打たなくてもいいような建物も結構あるんだということが知られていなかったりとか、そしてまた、基礎ぐいと、それから建築物の安全性との因果関係というのはどのようになっているのかとか、そういったことは知識が十分ではありません。
そこで、今回のことを機に、是非、消費者に対して適切な情報発信、そしてまた啓蒙活動といったらいいんでしょうか、啓発というか、に業界としても取り組むことを国土交通省としても後押しをすべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 建設工事の品質について消費者に安心していただくために施工に関する情報提供を適切に行うことが重要と考えております。
今回の横浜市のマンション事案につきましても、基礎ぐい工事問題に関する対策委員会の中間取りまとめにおいて、データ流用と建築物の安全上の問題との関連性は低いことが指摘をされており、このことについても、消費者に対して適切な情報提供を行い、御理解をいただくことは重要と考えております。
このため、まずは現にデータ流用のあった物件については速やかに安全性の確認を行うとともに、安全性が確認されたものについてはその情報を発注者やマンション管理組合等に提供してきたところであります。
また、三月末からは、基礎ぐい工事に関連する建設業団体が作成をいたしました自主的な施工ルールを国土交通省のホームページに掲載をいたしまして、適正な施工に向けた業界の取組を周知することで消費者に安心していただくよう努めております。
さらに、建設業の構造的な課題について検討しております中央建設業審議会等の基本問題小委員会におきましても、マンション等の施工に関する情報提供の在り方は重要なテーマの一つとなっております。六月めどの中間取りまとめに向けまして引き続き御議論いただいた上で、これを受けた対応策に取り組んでまいりたいと存じます。
○行田邦子君 終わります。ありがとうございます。