平成28年3月23日 国土交通委員会
○行田邦子君 行田邦子です。よろしくお願いいたします。
私は、今日は地籍調査について伺いたいと思います。
まず初めに、大臣に伺いたいと思います。
地籍調査の重要性について大臣の御所見と、そして来年度、平成二十八年度の地籍調査の推進に向けた取組についてお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(石井啓一君) 地籍調査の実施によりまして土地の境界を明確にすることは、土地取引の円滑化、被災後の迅速な復旧復興、社会資本整備の円滑化、まちづくりの推進等に貢献するものでありまして、地籍調査は大変重要であると認識しております。
地籍調査は平成二十二年に閣議決定された第六次の十箇年計画に基づいて進められておりますが、平成二十七年三月末時点の地籍調査の全国の進捗率は五一%にとどまっておりまして、今後更に促進を図っていくことが必要であると考えております。
このため、国土交通省としては、近年厳しい財政事情の中ではありますが、平成二十八年度当初予算案において、地籍調査に関して前年度を上回る所要額を計上しており、地方公共団体とともに地籍調査の更なる進捗に努めてまいりたいと考えております。
○行田邦子君 地籍調査の重要性について大臣の御所見を伺いまして、私も共感しております。
そして、来年度の予算ですけど、百六億円だったものが百八億円と、微増ということであります。そしてまた、地籍調査の進捗率が五一%と、ちょっとずつちょっとずつ増えているということでありますけれども、歩みが遅いというふうに言わざるを得ません。
そして、質問を続けたいと思うんですが、地籍調査が済んでいると言われているこの五一%の中について幾つか伺いたいと思うんですけれども。お手元の資料二を御覧いただきたいと思うんですけれども、地籍調査が完了しているとされている地図において、筆界未定のまま筆界未定処理を行って、これでもう地籍調査が終わりましたというふうにされて、法務局の十四条地図として備え付けられているものがあります。これは極端な例ではないと思うんですが、資料二を御覧いただきたいと思います。これだけ正式な地図、十四条地図となっておきながらも、筆界未定な部分が広範囲に及んでいると、こういったものが日本には結構あるということであります。
そこで、伺いたいと思うんですけれども、こうした筆界未定処理を減らすために、国土交通省としてはどのような対策を講じていますでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) お答えいたします。
地籍調査におきまして、今御指摘がございました筆界未定の割合、これは二%弱という数字でございますけれども、国土交通省といたしましては、可能な限り筆界未定を減らしていくことが重要というふうに考えております。この筆界未定となる要因でございますけれども、一つは土地所有者の所在が明らかでない、あるいはいろいろな事情によりまして土地所有者に立会いに応じていただけないというようなことが挙げられるわけでございます。
このため、私どもの方では、地籍調査の実施主体でございます市町村などに対しまして、土地境界を把握している関係者、これをしっかりと把握をするための追跡の調査、こういうようなものを実施していただくとか、あるいは立会いに応じてもらうための地元の住民の皆さんに対する説明会の開催といったようなことを丁寧に実施していただくように市町村などにお願いをしているというところでございます。さらに、土地所有者の所在が明らかではないけれども境界を明らかにする客観的な資料が存在するといった、こういったような場合には、登記所と協議の上、土地所有者などの確認を得ずに調査ができる制度、こういったようなものも設けているところでございます。
今後とも、筆界未定を極力減らすよう、市町村などとも連携して取り組んでいきたいと考えております。
○行田邦子君 今お示ししました資料二なんですけれども、これはあるJR駅、駅前の土地の地籍調査が終わったとされている地図であります。
ここで、もし仮になんですけれども、何かの再開発あるいは開発事業が行われるということになったときに、このような筆界未定が広範囲に及ぶままの地図状況では、これは再開発事業に非常に支障を来すというふうに思っております。地籍調査という意味がなさなくなってしまうというふうに思っておりますので、是非、筆界未定処理を減らす対策をこれからも引き続きお願いしたいと思います。
そしてもう一つ、地籍調査の済んでいると言われている地図について質問を伺いたいと思います。
昭和三十年代頃の国土調査、地籍調査というのは現在よりも精度が低くて、そして現況と異なるケースが結構生じているという指摘がなされています。例えば、私の地元の埼玉県でも今県道整備を行っているある地域がありまして、そこで用地買収をするに当たって気付いたところなんですけれども、実際の現況と筆界が結構違っていると、三百メートルに及んで違っているということです。これで用地買収がつまずいてしまっている、道路整備事業が遅れてしまっているということも実際に起きています。いざ土地を利用する段になって問題があらわになるということであります。
そこで、伺いたいと思いますけれども、地籍調査の新規調査だけではなくて再調査についてもしっかりと予算を充てるべきではないでしょうか。
○政府参考人(谷脇暁君) 今御指摘ございましたように、昭和三十年代頃の地籍調査におきましては、測量の仕方が現在と異なる測量の手法で行っていたということがございまして若干今とは違う部分がございますけれども、土地の現状を十分に明らかにする精度というものは、地籍調査を行っている部分については有しているというところでございます。
先ほど御指摘ございましたように、現時点で全国の地籍調査の進捗率が五一%にとどまっているという中で、予算も非常に限られておるということもございまして、新規の地籍調査を優先せざるを得ないという現状にあるところでございます。
そういう中ではございますけれども、大規模な地震等が発生をしたり、あるいは広範囲の宅地開発等の進行により現況の変化が非常に大きく生じているといったような場合につきましては、従前の地籍調査の成果から相当のずれが生じる可能性があるということでございまして、このような場合につきましては、市町村からの再調査の要望があった場合には適切に対応することとしているところでございます。
○行田邦子君 特に東日本大震災以降、市町村において地籍調査の必要性ということが認識が高まっているというふうに聞いていますし、そしてまた、地籍調査事業の予算に対しても、市町村からの需要というのも非常に高まっているという中で、限られた予算の中でなかなか再調査に充てられないという状況かと思います。是非、来年度の予算の今日は委嘱審査ということでありますけれども、これ以降、来年度、再来年度以降も更に地籍調査に予算を充てていただくよう御努力をお願いしたいと思います。
そして、質問を続けますけれども、とはいいながらも、予算は限られていますので、市町村が全部地籍調査を行ってそして十四条地図にするということも、なかなかこれだけでは地籍調査事業は進まないというふうに思っております。そこで、国土調査法の十九条五項についてなんですけれども、地籍調査以外の測量成果でも、一定の精度やまた正確さが確認できれば地籍調査と同様に取り扱うことができるというふうにされていまして、民間事業者でも申請が可能なんですけれども、この実績を聞いたところ、十三件しかないということであります。
私は、この民間の測量成果も十九条の五項指定というものをもっと増やすべきではないか、そういった努力をするべきではないかと思いますけれども、十九条五項指定の推進の更なる対策について伺いたいと思います。
○政府参考人(谷脇暁君) 今御指摘ございましたように、地籍調査以外の測量調査成果を最大限活用して地籍の整備全体を推進するということは非常に重要であるというふうに考えております。今御指摘ございましたように、国土調査法の十九条五項の制度があるわけでございまして、測量調査主体が公共主体の場合にはかなりこの十九条の五項は使われておりますけれども、民間事業者からの申請は非常に少ないという状況でございます。
こういう状況もございますので、民間事業者等に対する補助の制度というものを少しずつ工夫いたしまして、最近こういったものも用意をしております。また、申請手続などに関しますマニュアルを作成して配付するといったようなこともしているところでございまして、今後とも、様々な機会を捉えまして関係者の御理解、御協力をいただきながら普及に努めていきたいというふうに考えております。
○行田邦子君 もっと十九条五項指定に当たっての手続の簡略化もしてほしいといった声も聞こえますけれども、これをすると、測量成果のクオリティー、正確さ、そしてまた精度が保たれないという懸念もありますが。また、補助事業として予算が付いているわけでありますけれども、これも直接補助の場合ですと、民間への補助は三分の一と。それでも民間への補助で三分の一というのはほかのものと比べれば高いのかもしれませんけれども、この補助率についても御検討をお願いしたいというふうに思っております。
そして、最後に大臣に伺いたいと思います。
この地籍調査、地図整備事業について、これと非常に密接に関連するんですけれども、先般、三月十五日に有識者、専門家、そして関係者から成る検討会が最終取りまとめというものを出していますけれども、何かといいますと、所有者の所在の把握が難しい土地への対応方策についてというものであります。これを読ませていただきました。最終取りまとめなんですけれども、踏み込んだ内容には残念ながらなっていないのかなというふうに率直に思っておりますけれども。
これを大臣もお読みになっているかと思いますけれども、この最終取りまとめを御覧になって、国土の保全、そしてまた利活用の視点から、国土政策、そしてまた土地制度の一部を所管をされている大臣として、所有者不明の土地の問題についての御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(石井啓一君) 所有者の所在が分からない土地は、公共事業用地の取得や農地の集約化など、様々な場面で多くの市区町村等が直面する喫緊の課題であると認識をしております。そのため、司法書士等の専門家や自治体、法務省を始め関係府省にも参画をいただいて検討会を設置し、現場の問題意識を重視して検討を重ねてまいりました。その結果、所有者の探索等のノウハウや、人手が不足しているとされる市区町村等を支援するため、探索方法と制度の利活用方法を整理したガイドラインの策定や、司法書士等の専門家による相談窓口の設置などを行ったところであります。
今後は、まず第一に、これらの取組について継続的なフォローアップを行い、現場での改善状況について把握することが重要だと考えております。また、新たな国土政策や土地制度の在り方を提示するなど、長期的な視点からの政策論が期待をされておりまして、公共事業用地などのニーズが顕在していない場合も含め、所有者の所在が分からない土地を国土全体や地域の中で政策的にどう考えるのか、また、相続を契機として所有者の所在が分からない土地が発生する中で、このような土地の所有や管理の在り方について制度上どう考えるかという点について課題があるものと認識をしております。長期的な視点からの検討が必要だと考えております。
○行田邦子君 最終取りまとめでもそのような指摘がなされていたわけでありますけれども、今回のこの取りまとめでは、今ある制度をいかに市町村の皆さんに知っていただいて活用していただくかというガイドライン、そしてまた窓口を設けるということにとどまったわけでありますけれども。
今日は地図整備事業について質問させていただきましたが、古くは、中世のヨーロッパでは、国を治めるに当たっては、まずやるべきことの大事な一つとしては、土地台帳を作るということで税の徴収をしっかりとやるというわけでありました。そしてまた、同じヨーロッパでも時代が進んでナポレオン地籍というのも有名でありますし、そして日本におきましても豊臣秀吉の太閤検地というのもよく知られているところでありますけれども、こういった税の徴収ということだけではなくて、現代社会におきまして地図の整備事業、正しい地図を持つということは、これは国土の保全、そしてまた土地という広い意味での公共財、そしてまた経済の有限財をいかに利活用するかという基盤整備として大変に重要であるということを指摘をさせていただきまして、時間となりましたので、私の質問を終わります。
ありがとうございます。