平成27年9月8日 厚生労働委員会
○行田邦子君 行田邦子です。
まず大臣に伺いたいと思います。確認の質問なんですけれども、同一労働同一賃金について伺いたいと思います。
大臣は、これまで委員会の答弁の中で同一労働同一賃金について、「同一労働同一賃金という考え方は大変重要であるので、そういうことを思い描きながら、やっぱりこれは乗り越えるべき問題をしっかりと議論していくことが大事だということを申し上げているところでございます。」と、このような答弁をされていまして、私は、同一労働同一賃金について、これまでの大臣の中で塩崎大臣は最も理解を示している大臣だというふうに思っています。
そこで大臣に伺いたいんですけれども、大臣が大事だと思っている、重要だと思っている同一労働同一賃金、この同一労働同一賃金を考える場合、労働者が受け取る賃金ベースでの均等・均衡待遇ということでよろしいんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 最後の方がちょっと聞こえなかったので今確認をしましたが、同一労働同一賃金の実現のためには解決すべき課題が当然あるわけでありますけれども、派遣労働者と派遣先の労働者との均等・均衡待遇を検討する際には、派遣料金の額ではなくて、派遣労働者が受け取る賃金についての取組が求められるということでございます。
○行田邦子君 そうですよね。
そこで、同一労働同一賃金の手前の均衡待遇については、改正法案では三十条の三なんですけれども、この三十条の三、現行法の三十条の二なんですけれども、私は、労働者派遣法を改正するのであれば、この現行法の三十条の二こそ改正するべき、前進させるべきだったというふうに考えていまして、ところが、今回全く変わっていません。
そこで大臣に伺いたいんですけれども、大臣御自身としては、現行法の三十条の二、均衡待遇の確保についてなんですが、この条文で均衡待遇はしっかりと確保できると納得しているのか、それとも、今後改正の余地はあると思っているのか、改正するならばどういった点について調査や検討が必要だとお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 現行法の三十条の二は、均等待遇が重要な考え方の一つであることに鑑みて、派遣元事業主に対して、努力するにとどまらず、配慮の対象となった事項に具体的に取り組むことが求められる配慮義務を課すことで均衡待遇の実現を図ることとしておるわけでございます。
この規定は、派遣労働者の均衡待遇の実現に一定の効果がこれまであったものと思っておりますが、一方で、一般に派遣という働き方は、雇用と使用が分離していることから、雇用主である派遣元が派遣先の同種の労働者の賃金水準等の情報を入手しておらないで、均衡を考慮することが非常に難しいという場面がそこそこあったわけでございます。
このために、今回の改正で、派遣先から派遣元に対して賃金水準に関する情報を提供することとしておりまして、派遣労働者の均衡待遇がより一層進むと考えているわけであります。
さらに、今後、改正法附則第二条第三項に基づいて、諸外国の状況等を把握する中で均衡待遇の確保の在り方について必要な検討を更に行ってまいらなければならないというふうに考えております。
○行田邦子君 いや、これで本当に均衡待遇が進むのかと。私は全く思っていません。三十条の二、これこそ改正すべきであったというふうに考えています。
次に、キャリアアップの推進について伺いたいと思います。
改正法案の三十条の二なんですけれども、私は、このキャリアアップの推進、段階的かつ体系的な教育訓練等なんですけれども、これは絵に描いた餅になりはしないかという視点で質問したいというふうに思っております。
まず部長に伺いたいと思います。
計画的な教育訓練の対象者についてなんですけれども、派遣元事業主が雇用する全ての派遣労働者が対象になっています。これは、例えば常用型のみとか一定期間以上の派遣労働見込みの者など、対象者をあえて制限しなかった理由についてお聞かせください。
○政府参考人(坂口卓君) 今回の改正法案でキャリアアップ措置を盛り込みました趣旨でございますけれども、やはりそもそもの問題として、正規雇用と非正規雇用の二極化という中に職業能力の開発、形成の機会が違いがあるということがございますので、そういった観点から、キャリアアップを図ることができる環境を整備するということが重要ということが念頭にございます。
また、前回の二十四年の改正法の附帯決議におきましても、派遣元事業主が派遣労働者に対する教育訓練の機会を確保しというような形での恒久的な仕組みについて検討を行うべしという附帯決議がなされているということで、いろいろ審議会も含めて御議論をいただいたということでございますが、今申し上げたような問題意識からしますと、常用型あるいは雇用期間の長い労働者に限らず、そういった方は比較的という部分もございますので、どちらかというと、むしろ登録型の方あるいは短期の派遣の方についてもやはりこういった課題ということがより重要であるということから、今回の改正案では、全ての派遣労働者に対してこういった計画的な教育訓練の実施ということを義務付けるということにしたということでございます。
○行田邦子君 今お答えいただいたとおりで、派遣元が雇用する全ての派遣労働者が対象となるということは、その理由は分かりました。
それでは、部長に続けてお聞きしたいんですけれども、派遣元にとって今後の雇用の見通しが立てにくい短期の登録型派遣労働者に対して、どのように段階的かつ体系的な教育訓練を施すことができるのか、具体的にお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(坂口卓君) 今委員の方からございましたとおり、長期的なという観点では短期あるいは登録型の方に対しての見通しというのは確かに立てにくいわけでございますけれども、やはり、それぞれの派遣元事業主で、業務であったり、その労働者に応じた形での工夫をしていただくということが必要だろうと考えております。
例えば、より安定的な仕事に従事するためにはどういったスキルを身に付けさせたらいいだろうかということの観点からは、やはりこういった短期登録型の方についても計画的な教育訓練ということを組み立てていただくということが必要かと思いますので、OAのスキルがないというような方について、基本的な部分も含めてですけれども、OAスキルというようなことをこういった登録型の方にも身に付けていただくというようなカリキュラムを組むとか、そういったやはり短期の方、登録型の方にも合ったような体系も含めての教育訓練ということをお願いするということになってこようかと思います。
○行田邦子君 それが理想的なんでしょうけれども、短期の登録型の派遣労働者に対して、本当にしっかりとした教育訓練、段階的かつ体系的な教育訓練を派遣元がどのようにできるのか、ちょっと私はなかなかイメージがしにくいところでございます。
そして、質問を続けたいと思うんですけれども、部長にまた伺いたいと思いますけれども、教育訓練についての調査結果を見てみますと、これは平成二十四年十二月実施の労働者派遣の実態に関するアンケート調査なんですけれども、派遣元はどのような教育訓練の取組を行っているかなんですが、派遣元は派遣先に対し教育や研修を行ってもらうように働きかけているという回答が最も多いわけであります。そしてまた、派遣労働者に聞いたアンケートですと、派遣労働者にとっては能力やスキルの獲得方法として、派遣先でのOJTとの回答が四〇%ということです。
この調査結果からしても、私は、やはり結局は効果のある教育訓練というのは、実際の現場での労働を通じた経験であることが非常に多いというふうに思っております。
そこで伺いたいんですけれども、派遣元が行う教育訓練、どのようなものを想定しているんでしょうか。
○政府参考人(坂口卓君) 派遣元に義務付ける教育訓練でございますけれども、もちろん派遣で働く方のキャリアアップに資するものということで、先ほど申し上げましたように、派遣会社あるいは派遣で働く方の状況という様々な状況に応じてしっかり計画を立てて実施していただくということかと思っております。
具体的にということであえて例示的に申し上げると、例えば先ほど申し上げたような登録型、あるいはそういった有期の方ということであれば、やはり比較的短期にその能力が身に付く、ステップアップにつながるというような教育訓練ということが必要かと思いますので、経理アシスタントでの派遣ということになれば、基礎的な経理に関する知識ということを速やかに学習してもらうような研修ということになると思いますし、それから、無期の派遣で働く方ということであれば長期的な視野での教育訓練ということになりますので、将来のグループリーダーであったり、将来の、最新の技術を身に付けるための研修というようなことを見据えての教育訓練ということになってこようかと思います。
そういった中で、まさに委員、データも含めて御指摘されましたけれども、やはり実際の労働を通じた研修ということは確かに直截的に労働者にも身に付きやすいということでございますので、そういった意味ではOJTということも有効だと考えております。
ただ、やみくもにというわけには、やはり計画的な教育訓練ということでありますのでいきませんので、ここは、派遣元の方で、派遣事業者の方で派遣先としっかり調整をしていただいて、計画的に行われるというようなOJTであれば教育訓練のメニューとしてあり得るということかと思いますし、議員御指摘のとおり、そういったことは効果があるのかなと思いますので、そういったことについては、都道府県労働局等を通じて、そういったものの活用ということについては周知をしてまいりたいと考えます。
○行田邦子君 段階的かつ体系的な教育訓練、私は、これ条文に盛り込んだ、法律に盛り込んだということは、このこと自体は評価したいんですけれども、ただ、大臣に伺いたいと思います。
この三十条の二なんですけれども、教育訓練の義務付けというのが、私は、絵に描いた餅、形骸化してしまうのではないかというふうに危惧していますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の改正案では、事業の許可・更新要件にキャリア形成支援制度を有することを追加をするということになっておりまして、計画的な教育訓練の内容については、各派遣会社において教育訓練の計画を策定して、許可あるいは更新の申請時に労働局に出してもらうということになっています。
この計画が許可・更新要件を満たすか否かは派遣で働く方のキャリアアップに資するかどうかという観点から当然判断をするわけであって、段階的かつ体系的ではない計画を持ち込まれても、それは要件を満たさないということになるわけでございまして、各派遣会社においては、要件を満たした計画に従って計画的な教育訓練を実施していただくことになるわけでありますので、義務付けが形骸化するという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えておりますし、また、計画的な教育訓練の実施状況については、毎年行政への事業報告事項にすることになっておりますし、実効性の担保を図らなければいけないと思っております。
なお、もっとも、私どもとしても、先ほど来申し上げているのは、これまでの、改正前の派遣法の中ではキャリアアップの措置というものは何もなかった、それを新たに有給、無償の教育訓練、そしてキャリア形成支援制度を有することを許可基準として導入をするということで、この義務化、許可基準化、これはやはり私どもとしては大きな一歩前進というふうに考えますし、その能力アップが雇用の安定化につながるというふうに考えているところでございます。
○行田邦子君 事業計画に記載するのは、これ全体的な事業の報告ですので、それだけでは個々の派遣労働者に対してどういう教育訓練をしたのかというのは分かりづらいと思いますし、また、管理台帳に取りあえず記載しておけばいいやというようなことになりはしないかということを私は危惧をしております。
まだまだ質問したいこと、この法案たくさんございます。今日は質問しませんけれども、私は、この法案の一番おかしいと思うところは、やはり期間制限の在り方です。この期間制限の在り方が個人単位そして事業所単位、これがどう考えても、派遣労働は臨時的、一時的なものとならないということを申し上げて、今日の質問は終わります。