平成26年05月15日 法務委員会
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。
私は、まず初めに、水俣病特措法の改正規定関連について伺いたいと思います。
まず最初に、今日は環境省にお越しいただいていますので、伺いたいと思います。水俣病の補償、救済は終了したという認識にお立ちでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えさせていただきます。
水俣病の原因企業によります子会社の株式譲渡につきましては、水俣病特措法第十三条におきまして、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することとされております。
救済の終了につきましては、文字どおり救済の終了ということでございまして、今後、水俣病対策にしっかりと取り組む中で適切に判断させていただきたいと考えておりますが、現在、救済の終了に当たる状況であるという認識は持っておりません。
○行田邦子君 ただいま、救済の終了に当たるという状況ではないという御答弁をいただきました。
その上で伺いたいんですけれども、この度の会社法の改正法案におきましては、衆議院で整備法案の修正がなされました。改正会社法第四百六十七条第一項第二号の二に関係してなんですけれども、親会社が子会社の株式を譲渡しようとする場合は株主総会の特別決議が必要となるといった会社法の改正がなされるわけですが、その中で、水俣病の原因企業は対象としないというような衆議院での修正がなされたわけであります。
そこで、環境省に再び伺いたいと思うんですけれども、この改正会社法の、親会社が子会社の株式を譲渡するときの株主総会の特別決議が必要かどうかといった条項を、水俣病の原因企業に適用されるか否かにかかわらず、水俣病の被害者の救済が終了するまでは子会社の株式譲渡を環境大臣は承認しないという理解でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
水俣病特措法におきましては、水俣病の原因企業が事業を行う子会社の株式を譲渡しようとするときはあらかじめ環境大臣の承認を受けなければならないこと、また、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することが規定されております。
今回の議員修正によりましても、株式譲渡については環境大臣が最終的に判断をするという仕組みには何ら変わりございません。したがいまして、議員御指摘の、水俣病の被害者の救済が終了するまでは子会社の株式譲渡を環境大臣は承認しないという御理解で差し支えないと存じます。
○行田邦子君 ありがとうございます。
それでは、環境省への質問はこれで以上ですので、御退室いただいて結構です。
○委員長(荒木清寛君) 塚原環境保健部長は退席してください。
○行田邦子君 それでは、まず社外取締役の導入について、先日に引き続いて質問したいと思います。
まず、谷垣法務大臣に伺いたいと思います。
社外取締役がコーポレートガバナンスの強化におけるその役割や重要性ということは様々な意見がなされていますけれども、大臣御自身はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私もこの立法に当たりましてはいろんな方の御意見を伺いまして、様々なお考えがあるなと思いました。それで、公的に申し上げれば、やっぱりきちっと監督機能、業務執行に対して第三者的な立場といいますか、利害関係が直接ない方々が監督機能を発揮し得る、それは業務執行者の業務執行全体を評価する、そしてその評価に基づきながら、取締役会において業務執行者の選定あるいは解職の決定に関して議決権を行使することもできると。それから、加えて、利益相反の監督機能、つまり、株式会社と業務執行者の間に利益相反を監督する機能や、あるいは株式会社と業務執行者以外の利害関係者、例えば親会社との間の利益相反を監督する機能もあると思います。
私自身いろんな方に聞いた中で一番印象的だったのは、ある企業経営者がこうおっしゃいました。要するに、自分が育ててきた、自分の部下のような取締役が大勢いるところで発言するのと、やっぱり、社外の方、社外の重きを成しておられる方の前で説明をして納得してもらわなきゃならないと、その緊張感が違うんだというふうに、社外取締役の意味はそういうところにあるとおっしゃった。まあ、それはそうなんだろうなと思ったような次第で、そういうことを通じてコーポレートガバナンスが機能を高めていくということを私は期待できるのではないかと思っております。
○行田邦子君 今大臣が御答弁されたように、村社会の中での取締役会ということではなく、社外の方が入ることによっての緊張感が高まるということも一つあるのではないかなというふうに私も思っております。社外取締役がコーポレートガバナンスの強化におけるその役割の重要性というのは広く認識されていると、大臣の今の御答弁でも伺うことはできました。
そこで、この度の会社法の改正法案におきましては、社外取締役を置かなかった場合ですけれども、社外取締役を置くことが相当でない理由を定時株主総会で説明しなければいけないという説明義務規定が設けられています。
そこで、局長に伺いたいんですけれども、この説明なんですけれども、どの程度の説明をすれば説明義務が果たされるのか、また、社外取締役を引き続き置かない企業においてはどのような説明が想定されるのか、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置かない会社がどのような理由で置いていないのかというのは、もちろんのことですが、各会社のそれぞれの事情によって異なりますので、置くことが相当でない理由というのもそれぞれの会社の個別の事情に応じた内容でなくちゃいけません。そのため、一般的に言えばこういうことですとはなかなか申し上げることができないということとともに、具体的にこうであればというのもなかなか、こうすればいいというような形になって、かえって適当でない面もございます。
ただ、相当でない理由を述べるわけですから、置かない理由を単に説明するということとは違います。置くことがかえってその会社にとってマイナスの影響があるという具体的なその会社に特有の事情を説明していただくということになります。ですから、例えば、当社には社外監査役が二人いて社外者によるチェックは十分ですというような程度のこと、あるいは適任者がいませんという程度のことでは、置くことが相当でない、置いたらかえって会社にとってマイナスだという理由の説明にはなっていないというふうに思われます。
○行田邦子君 置くことが相当でない理由というのは、一般論ではしっかり説明されたということには当たらないと、その会社特有の具体的な事情を述べなければいけないだろうという御答弁をいただきました。
そこで、続いて局長に伺いたいと思いますけれども、この説明義務についてなんですけれども、対象となる会社が、上場企業、約三千五百社あると認識していますけれども、これらの中で、引き続き社外取締役を置かないことになった会社が定時株主総会で説明をしなかった場合、どのような対応が取られるんでしょうか、どのような措置がとられるんでしょうか。罰則などがあるのかどうかという確認です。
それから、その対象となる、説明をしなければいけない対象となる企業が、仮に、定時株主総会で説明をしなかったかどうかをどのように確認をするのでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 社外取締役を置かない会社が置くことが相当でない理由を株主に開示する、示すというのは、実は細かく言えば三つぐらいの場面があります。
一つは、定時株主総会で、年度末に、置いていない会社については取締役が口頭で説明をするということ。それから、株主に対して事業報告というのをいたしますけれども、これは書面でやりますが、事業報告の中に社外取締役を置くことが相当でない理由を書面で書いて開示をするということ。それから、株主総会で取締役選任議案をかけるときに、社外取締役が一人もいないのに、社外取締役を含まない取締役の選任議案を出す場合には、株主総会参考書類というその選任議案の説明書類の中で、やはり書面で株主に対して、当社では社外取締役を選任しないのはこういう相当な理由があるんですということを明らかにしなくてはいけないと。
それぞれについて、それが違反であったりいいかげんであった場合の効果は違います。
まず、取締役が定時株主総会で口頭で説明をするという義務に違反した場合あるいは不十分だった場合には、もちろん取締役が法律上負っている義務に違反しているということですから、善管注意義務違反ということになります。ただ、これがどんな場合に、さらに、それ以上の効果がどこまで行くかというのはその場面によって違いますので、まず善管注意義務違反の状態になるということは言えると思います。
それから、もう少し具体的にルールが決まっているところを申し上げますと、事業報告の中で書面で記載すべき相当でない理由を記載しなかった場合、あるいは不十分な記載だった場合には、取締役等の関係者に百万円以下の過料の制裁が科されるということになっております。
また、先ほど言いました取締役の選任議案の中に社外取締役を入れていないという場合に、その参考書類に相当な理由の記載を欠いた場合あるいは不十分な場合には、これは株主総会の招集手続に法令違反があるということになって、取締役の選任議案に係る総会決議の瑕疵、取消し事由があるということになって、総会決議の取消し訴訟の対象になるという制裁が加えられることになります。
こういった相当でない理由の開示あるいは説明というのは皆株主に対して書面あるいは口頭で行うものですので、最終的にチェックをする、最終的にといいますか第一義的にそのチェックをするのはもちろん株主ということになりますが、それぞれの過料の裁判あるいは決議取消し訴訟が起こってしまったというようなところまで行けば、今度はそれが裁判所で判断をされるということになります。
○行田邦子君 御説明ありがとうございます。
説明義務がなされなかったことによって不利益を被るのは株主であって、一義的には株主がチェックをすると。そこで善管注意義務違反などがあればそれは裁判所で、提訴をするということになるということで理解いたしました。
それでは次に、大臣に伺いたいと思います。
社外取締役の導入というのを推進するという全体的なお立場は政府も同じだと思っております。ただ、単に社外の人間が取締役会に増えればいいということでもないというふうに思っていまして、いかにその独立性というものが重要かということを私自身は認識をしております。
そこで、この度出された閣法におきましても、社外取締役の独立性の厳格化といったことが条文として盛り込まれています。そこでは、例えば親会社や兄弟会社や子会社の業務執行者はこれは社外取締役に当たらないといった改正です。こういったものが盛り込まれています。また、業務執行者等の近親者も駄目です。ところが、主要な取引先の関係者はこれは引き続き社外取締役として認めるというふうに残っています。
先ほどもほかの委員から質問がありましたけれども、この主要な取引先の関係者を社外取締役として認めると残したその理由をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど山下委員との御質疑の中で民事局長が既にお答えしたところではございますけれども、今委員のおっしゃったような制度の立て方ですね、アメリカ等では確かに重要な取引先の関係者でないことを社外取締役の要件とすると、そういう制度を取っているところもございますし、現にこの立法の過程で法制審議会でもこの点は随分議論の対象となったところでございます。
結局、取締役が社外取締役であるのかどうか、要件を満たすかどうかということは取締役会決議の効力に、仮にその人間が社外取締役の要件を満たさないじゃないかということになりますと、その人間が参加した取締役会の決議の効力に影響が出てくるという、こういうことでございますので、これをつまり社外取締役の要件に加える場合には、明確性というものがある程度なければそういう決議の効果や何かを非常に不安定にさせてしまうと。重要であるかどうかというのが一義的に定められるかどうかということが議論の焦点になったわけでございます。
そこで、取引先がその会社にとって重要であるかどうかというのは二つの側面があるねと。一つは、ある取引先がその会社にとって重要であるかどうかというのと、この会社が向こう、取引先にとって重要であるかどうかという両方の要件が、両方の面があるのではないかと。ある取引先がその会社にとって重要であるかどうかは、しかしかなり時によって変化すると。あの取引先が納めてくれるあの部品がないとうちの製品はなかなかできないんだというときには非常に重要な取引先かもしれないけれども、技術の変化や何かによってそれは変わってくる場合もあるだろうというような議論ですね。
それからもう一つは、私たちの会社が取引先にとって重要であるかどうかというのは、これはまた相手方の事情もあってなかなか明確にできないねというような議論がございまして、そういう意味では両方の議論が闘わされたんですが、その明確性という点で結論がなかなか出しにくかったと。やはり決議の効力を安定化させるためには、重要な取引先という要件はこの際採用するのはやめようということであったということでございます。
○行田邦子君 主要な取引先、重要な取引先の客観的な定義、線引きのところで様々な議論がなされたというふうに今御答弁をいただきました。
その結果、今回は落としたということでありますけれども、例えば社外取締役、独立取締役の選任が非常に進んでいるアメリカやイギリスなどでは、実際に独立取締役の要件として、当該会社との経済的関係や取引先企業との関係といったものの線引きもなされているわけであります。そういった例もありますので、今後検討事項として、より社外取締役の独立性を強めるといったこと、これは今後も検討していくべきではないかなと。線引きというのは、これは私は議論をした上で十分に可能ではないかなというふうに考えております。
ただ、今回盛り込まなかった理由のまた別の理由としては、東証一部上場の中で四割がいまだに社外取締役を置いていないという状況を考えると、今一足飛びに余りにも社外性の要件というものを強めてしまうとなかなか社外取締役の選任が進まないのではないかという懸念ももしかするとあったのではないかなというふうに推察をしております。
そこで、また次の質問に移りたいと思います。簡潔にお答えいただいて結構なんですけれども、局長に伺いたいと思います。
社外取締役についてなんですが、諸外国においてはどういった規律になっているのか、特徴的なものを教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) それでは、幾つかの国の社外取締役の規律の状況について御説明いたします。
まずアメリカですけれども、アメリカは会社法は州法ですので各州違いますけれども、一番代表的だと言われているデラウェア州の会社法上は社外取締役に関する特段のルールはございませんけれども、先ほどもちょっと申し上げましたニューヨーク証券取引所の規則において、上場会社は取締役の過半数を独立取締役としなければならないとされております。
また、イギリスは、やはり会社法上は社外取締役に関する特段のルールはございませんけれども、英国財務報告審議会というところが定めているUKコーポレートガバナンスコード、イギリスのコーポレートガバナンスコードというコードにおいて、取締役会は、独立性があると考えている非業務執行取締役を年次報告において特定する、議長を除く取締役のうち少なくとも半数は取締役会において独立性があると判断された非業務執行取締役で構成すべきであるというコードがございまして、上場規則によりましていわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールが採用されていて、上場会社は年次報告において、このコードの規定を遵守しているかどうか、そして遵守していない場合はその理由を開示するというルールになっております。
また、ドイツですが、ドイツは政府の委員会がコーポレートガバナンスコードを定めておりまして、その中で、適切な数の独立しているメンバーで日本法上の取締役会に類する監査役会を構成するということが推奨されております。そして、株式会社についての規律を定めている株式法という法律でいわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを採用して、上場会社の監査役会は毎年このコードにおける推奨を遵守しているか、あるいは遵守していないか、していない場合はその理由を表明しなければならないという法律のルールになっております。
さらに、フランスですけど、フランスは企業の連合体がやはりコーポレートガバナンスコードを定めておりまして、その中で、浮動株主が多く支配株主のいない会社については取締役の過半数を独立取締役にすること、支配株主がいる会社については少なくとも三分の一を独立取締役とすることがそれぞれ推奨されております。そして、商法においていわゆるコンプライ・オア・エクスプレーン・ルールを採用して、上場会社がこのコードを参照することを決定した場合には、株主に送る報告書に、遵守していないコードがあればその理由を記載しなければならないと。
こういった形で、ルール自体が法律であったりコードであったり様々ですし、それから、それに対して説明を求めるという法的根拠も国によって様々ということでございます。
○行田邦子君 今御説明いただいたアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどは、恐らく日本とは監査、監督機関の制度設計が違うのかなというふうに思っておりますけれども。
そこで、次の質問は、監査等委員会設置会社制度の創設について伺いたいと思います。
まず、局長に伺いたいと思いますけれども、日本では委員会設置会社という制度がありますけれども、これがなかなか増えていません。私の認識では五十数社しかないということですが、この委員会設置会社が少ない理由は何と分析されていますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話にあったとおり、委員会設置会社制度の利用は極めて少数にとどまっております。その理由としては、社外取締役が委員の過半数を占める指名委員会と報酬委員会が業務執行者の指名とそれから報酬の具体額の決定の権限を持つと、このことに対する各会社の抵抗感があるということが一般的に指摘されております。
○行田邦子君 ありがとうございます。
指名や報酬を決定するような委員会制度というのは日本の企業文化になかなかなじんでいないということなのかなというふうに思っておりますが、そこで、この度の法改正案におきましては、第三の類型としての監査等委員会設置会社制度の創設が盛り込まれています。
大臣にお伺いしたいと思いますけれども、この第三の類型の制度創設の意図をお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 現行法はいろんな類型が会社にあるわけですが、主な類型としては監査役設置会社とそれから委員会設置会社ということになりますが、先ほど委員がおっしゃったように、委員会設置会社はほとんどない。上場企業の東証の場合には九七・八%が監査役設置会社でございます。ただ、監査役設置会社の場合は、代表取締役の任免を含む取締役会決議に監査役は議決権を有しないことから、その監督機能というものは限界があるという指摘があるわけでございます。そこで、社外取締役をもっと活用できないかという指摘が出てくるわけでございますが、社外取締役を置かなければならない委員会設置会社は、先ほど民事局長が申し上げたような理由でなかなか採用が、利用が進まないという現状がございました。
監査役設置会社の方はかなり、監査役設置会社で任意に社外取締役を選ぶ会社も上場企業でだんだん増えてきてはいるわけでございますけれども、まだまだなかなか大多数の企業でそうだというわけにはいかないと。それは、二人以上の社外監査役の選任が義務付けられている中で、更に社外取締役を置かなきゃならないということに対する何か負担感というものがやっぱりあるんだろうと思います。
そこで、今度の改正法案で、先ほどおっしゃった監査等委員会設置会社、これは業務執行者に対する監督機能を強化することを目的としまして、取締役で構成されて、かつ社外取締役が過半数を占める監査等設置委員会、これが監査を行い、他方で、監査役を置くことができないこととして社外監査役との重複感を緩和しようと。そういう形で社外取締役の導入を、監査機能を重視しつつ社外取締役を推進していこうという狙いでこういう制度をつくったわけでございます。
○行田邦子君 この新しい制度の創設の一つの大きな意図としては、やはり今御答弁いただきましたように、社外取締役というものをもっと活用していこうというようなことがあるのではないかというふうに思っております。
そこで、局長に伺いたいと思います。
この新しい制度が創設されることによって、類型的には制度が三つになります。既存の委員会設置と、それから監査等委員会設置と、そしてまた、あっ、ごめんなさい、既存の委員会設置と、それから監査役会設置と、で、三つ目の新しい監査等委員会設置会社と。今も私も混乱してしまいましたけれども、そもそもこれ日本語の名称での話ではありますけれども、非常に名前も似ていて、三類型になりますと、特に外国の投資家にとって分かりにくくなるのではないかと。かねてから、監査役会というのは日本独特の制度であって、それ自体が非常に外国の投資家からは特に分かりにくいという指摘もなされていました。
そこで、新しいこの制度を創設するに当たって、内外の投資家に向けて制度の周知の必要性があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 委員御指摘のとおりだと思っておりまして、今回新しく創設する監査等委員会設置会社というのはまさに新しい会社類型で、我々とすると大いに利用が進むことを期待してはおりますけれども、そのためにも内外の投資家に対してこの新しい類型の会社がどういうものであるかということを十分周知する必要があると思いますし、さはさりながら、現在のところ上場企業の大多数は監査役会設置会社でございます。しかも、御指摘のとおり、監査役という機関が日本独特のものであるために、特に海外の投資家からはその仕組みが分かりにくいとかねてより指摘がされておりますので、監査役会設置会社も改正後であっても相当程度今後も利用が続くと考えられますことから、今後も海外の投資家に十分にその内容を周知していくということが必要だと思います。
さらに、委員会設置会社は余りないというお話を申し上げましたけど、しかし、いずれにせよ、日本の会社法制では三つの機関構成の会社が併存するということになっておりますので、一体それぞれがどういうもので、なおかつどう違うのかという辺りのことを、三つにもなっているという意味で、やや数が多くなっていますので、そういった違いや特徴についても内外の投資家に十分周知する必要があると考えております。
○行田邦子君 続いて、この監査等委員会についてなんですけれども、ちょっと別の視点から質問したいと思うんですけれども、この第三の類型の監査等委員会ですが、これは取締役会の中に置く、つまり監査等委員が取締役を兼ねるというような制度設計になっていますけれども、このことによって監査の独立性というのがきちんと保たれるのかどうか、こうした懸念があるのですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 御指摘のとおり、監査等委員会は、業務執行者を含む取締役の職務の執行を監査するというのがその仕事でございます。したがって、その実効性を確保するためには、監査等委員会、ひいてはそれを構成する委員、監査等委員自身が業務執行者から独立している必要があるというのは御指摘のとおりだと思っております。
そこで、今回の監査等委員会設置会社におきましては、監査等委員会の独立性を確保するために、監査役設置会社における監査役の独立性を確保するための仕組みを参考として、監査等委員である取締役の選解任、それから任期、さらには報酬、この三点について特別の仕組みを設けることとしております。
まず、監査等委員会設置会社におきましては、取締役の選任について、監査等委員である取締役とそれ以外の普通の取締役とを区別して株主総会の決議をしなければならないというルールを設けております。その上で、監査等委員である取締役の選任議案を、誰を選任するかという議案を株主総会に提出するには、監査等委員会自身の同意を得なければならないというルールにしております。
また、一般の取締役を解任する場合には株主総会の普通決議によって解任は可能ですけれども、監査等委員である取締役の解任については特別決議によるということにもしております。さらに、監査等委員である取締役の選解任あるいは辞任については、監査等委員である各取締役が株主総会に出席して意見を陳述するという権利を付与することにもしております。
次に、任期ですけれども、独立性を確保するために一般の取締役の任期よりも長い期間とすることとしておりまして、監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役の任期は二年、それ以外の普通の取締役の任期は一年というふうにしております。
さらに、取締役の報酬に関する事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して、定款又は株主総会の決議で報酬を決めなくちゃいけないと、こういうふうにしております。
定款や株主総会の決議で、監査等委員である各取締役の個別の報酬を決めることなく、総額の上限を決めるということも許されると解されておりますけれども、その場合には、その上限額の範囲内で個々の監査等委員である取締役に幾らの報酬を払うかという決定は監査等委員の協議によるというようなルールも設けておりまして、こういった種々の、一般の取締役と違う独立性確保の措置を講じているところでございます。
○行田邦子君 監査等委員の独立性確保のために選解任や任期や報酬について特別のルールを設けたという御説明でありますけれども、それでも私の印象としては、そもそも日本の企業の取締役会というのは身内で固められていると。その中に外部の視点を設けて、しっかりとその企業のためにも厳しい目線で監査をしようと思って社外取締役兼監査等委員が選任されたとしても、その取締役会の中にいるとなあなあになってしまったりして、なかなかしっかりとした外部の視点での監査が結局はなされなくなってしまうような、そのような印象を抱いているわけであります。
そこで、ちょっと続いて大臣に伺いたいと思うんですけれども、社外取締役を増やすということは、私はこれはコーポレートガバナンスの強化上、非常に意義があると思っております。ただ、それだけではなくて、そもそも日本企業の取締役会の役割や機能といったもの、これも変わっていくべきではないのかなというふうに考えております。
そこで、大臣に伺いたいんですが、コーポレートガバナンスを強化する上で、取締役会の機能やその在り方がどう変わっていくべきなのか、どう期待するのか、大臣の御所見、伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は企業経営の経験がございませんので、なかなか肌身で感じるというようなことを申し上げることができないんでございますが、通常、取締役会の機能というか役割というのは大別して二つ言われていると思うんですね。一つは、業務執行に対する監督、取締役会としてきちっと監督していくということ、それからもう一つは、やはりその企業の業務執行の決定を適切に行うといいますか、決定機能と監督機能と言ってこれはいいんだろうと思うんです。
今度の法案は、今委員もコーポレートガバナンスというふうに表現されましたけれども、社外取締役の活用等々を通じましてコーポレートガバナンスの強化を狙っているわけですが、これはどちらかというと、今の監督機能の強化、監督機能をきちっと発揮させようということだと思います。
ただ、こういう組織体はやはり運用によって随分違いますし、どちらも必要な要素だと思うんですね。企業の意思決定を適切にやっていくということと監督、どちらも必要で、それぞれの企業によってどこに重点を置いて運営していくかというのはかなり違うのではないかと思います。
ですから、私、法務大臣としては、コーポレートガバナンスも十分重視しなければなりませんけれども、さりとて意思決定とか、適正な企業の意思決定ということがおろそかになるようなことでは困るんでございまして、それぞれの企業でそこは工夫をしていただきたいと思っているわけでございます。
○行田邦子君 丁寧な御答弁ありがとうございます。
それでは、残る時間で、キャッシュアウトを行うための制度について伺いたいと思います。
キャッシュアウトを行うための新たな制度として、株式等売渡し請求制度というものがこの改正法案には盛り込まれております。新しい制度を創設するということなんですけれども、にもかかわらず、これまでの既存の制度である、全部取得条項付種類株式、それから株式の併合というこの既存の制度もキャッシュアウトの方法としてあえて残しています。
その理由をお聞かせいただきたいんですけれども、私のこの質問の趣旨というのは、この既存の制度、二つの制度というのは、そもそもキャッシュアウトの方法として創設された制度ではないと認識をしております。例えば、全部取得条項付種類株式というこの制度は、これは平成十七年の会社法の制定時にできたわけでありますけれども、経営状態が悪くなった企業を倒産の手続によらずに再建させるという制度の設計の趣旨があった、目的があったと思うんですけれども、それが今、キャッシュアウトの方法という別の目的に使われているわけであります。また、株式の併合というのも、これは株式会社が株式を管理しやすくするための一つの方法として制度が設けられたというふうに理解しているんですけれども。
こういったそもそも違う目的で設けられた制度をキャッシュアウトの方法として引き続き使い続けるということがいかがなものかというふうに私は感じておりまして、その点について御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) 今お話に出ましたキャッシュアウトを行うための既存の制度として、全部取得条項付種類株式を用いる方法と株式の併合を用いる方法があると、それはそのとおりでございます。この両者は共通している面がございまして、少数株主が有している株式を一株に満たない端数となるようにして、その端数の合計数に当たる株式を売却したお金で渡すという形でキャッシュアウトを実現するというものでございます。
法制審議会の倒産法部会では、キャッシュアウトのための新しい今回の制度を設けるのであれば、こういった端数を処理してお金に換えてキャッシュアウトを行うと、実際上ですね、こういうようなことはできないようにすべきじゃないかという意見もございました。ただ、こういった手法は実務に既に広く定着しているということを踏まえると、現時点でこれを一律に禁止するというのは相当でないという意見の方が有力でございましたので。
ただ、しかし、まさに委員がおっしゃったとおり、それぞれの制度は、そもそも典型的に考えた利用の場面はキャッシュアウトではございません。全部取得条項付種類株式は、言われたとおり倒産のときのいわゆる一〇〇%減資を実現しようというものでしたし、株式併合も会社の合理的な株式管理の必要上どうしても必要な制度だということで設けられているもので、キャッシュアウトの手段になるというのを元々目的とした制度ではございませんので、キャッシュアウトに使うことについてはいろいろ弊害があると言われておりました。とりわけ、少数株主、キャッシュアウトされる側ですね、に対する情報開示が不十分であると。つまり、一言で言えば少数株主の保護がこういった既存のやり方は足りないんじゃないかと。
したがって、利用できないようにするということについては反対が強かったんですが、しかし、少数株主保護の措置も今回併せて、株式併合、それから全部取得条項付種類株式について設けるべきだと、こういう議論になりました。
その結果、まず、全部取得条項付種類株式につきましては、いわゆる事前開示手続、それから取得後の事後開示手続、さらには、法令違反等があった場合の差止め請求の制度などを創設して少数株主の保護のバランスを取った手当てをいたしましたし、株式併合につきましても、事前の情報開示手続や事後の開示手続、さらに差止め請求、あるいは反対株主の株式買取り請求制度などを創設するということで、それぞれの制度どれを使っても少数株主の保護の程度にばらつきが生じないようにして残したと、こういうことでございます。
○行田邦子君 最後の質問ですけれども、局長、簡潔にお答えいただけたらと思うんですけれども。
この株式等売渡し請求制度ですけれども、百七十九条に明文化されていますが、この中に、取締役の善管注意義務として、少数株主の利益に配慮することというのが明文化されていません。この取締役の善管注意義務として、売渡し株主の利益に配慮するということは含まれるんでしょうか。
○政府参考人(深山卓也君) これは、株式等売渡し請求が対象会社の取締役の承認の判断に係らしめられているというこの制度趣旨自体から、取締役としては、少数株主の保護のためにこういう制度が創設されているということですので、その制度趣旨からして、少数株主が不公正な扱いを受けていないか、不公正な条件で売渡しを強制されていないかということをチェックして承認するかどうかを決めると、こういうことになるわけでございます。
○行田邦子君 質問を終わります。