2014年03月19日 予算委員会
○行田邦子君 みんなの党、行田邦子です。  経済の好循環ということがこの国会でも度々議論されています。企業の収益やためているお金を賃金に回して、そしてまた消費につなげて更なる投資を生み出していくという好循環を実現するためには、私は、今最も重要な課題の一つが賃金アップというふうに考えています。  その中で明るいニュースがありました。今年の春闘で大企業が次々とベースアップ回答したということです。久々のベースアップということでありますけれども、ただ、こうした大企業のベースアップがそのまま働く人の三人に一人以上と言われている非正規雇用者やまた中小企業の従業員の賃金アップにつながるとは限りません。  そこで、総理に伺いたいと思います。非正規雇用者、そしてまた中小企業の従業員の賃金アップにどうつなげていくお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先週から本格化いたしました春闘の回答の状況を見ますと、今、行田委員が御指摘になったように、例えば十四日にこれは連合が公表した数字でございますが、月例賃金については一人当たり平均賃上げ額が六千四百九十一円でありまして、賃上げ率で二・一六%でありまして、六年ぶりに六千円、二%を超えたわけでございまして、物価安定目標を超えているわけでございます。同時期で比べて過去十年で最高の水準でございます。そして、組合員三百人未満の組合においても、一人当たりの平均賃上げ額が五千五百六十円で、賃上げ率で二・二二%でありまして、これも過去十年で最高の水準であります。こうした賃上げの風が更に中小企業・小規模事業者や非正規雇用労働者にも吹き始めていくことが大切でありますが、だんだん吹き始めているというふうに認識をしております。  そして、この賃上げの風をもっと広く、全国津々浦々で働く方々にお届けをしていかなければなりません。そのため、昨年十二月の政労使の会議におきまして、中小企業・小規模事業者に関する取組、非正規雇用労働者の処遇改善など、幅広いテーマについての共通認識を取りまとめました。大企業だけではなくて、中小企業・小規模事業者で働く方々や、そして非正規雇用労働者の賃上げや処遇改善の実現に向けた確固たる土台を築くことができたと思います。  政府といたしましても、所得拡大促進税制の拡充などの思い切った税制措置を講ずるとともに、中小企業・小規模事業者の賃上げに向けた環境整備の観点から、ものづくり・商業・サービス革新補助金において賃上げを実施をした事業者を優先的に採択することといたしております。あわせまして、非正規雇用労働者に対しキャリアアップ助成金の拡充により正規雇用への転換や処遇改善を促進することとしているところでございまして、現在でも多くの企業で賃金水準についての労使間の交渉が、真摯な議論が行われているというふうに認識をしておりますが、経済の好循環の実現に向けて、中小企業・小規模事業者で働く方々や非正規雇用労働者の皆様にも賃上げ上昇の動きが広がっていくことを強く期待をしたいと思います。
○行田邦子君 賃金アップが消費へとつながっていくためには、私は、個人消費に特に影響を与える、賃金の低い、所得の低い方の賃金の底上げが重要だと思っています。  そこで、田村厚生労働大臣に伺いたいと思います。厚生労働省としてこの賃金の底上げについてどのような取組を行っていらっしゃいますか。
○国務大臣(田村憲久君) 今総理の方からもお話ありましたが、連合が今月十四日発表した春闘第一回の集計結果でありますけれども、これ、非正規雇用労働者に関しましても平均時給が約十二円、月給といたしましては二千九百六十八円引上げというような結果が出てきておりまして、非正規でお働きの方々にもこの賃上げの風というのが吹いてきておるということであります。  政府といたしましては、例えばキャリアアップ助成金、先ほど来話出ておりますけれども、これを三月一日より今までよりもバージョンアップをさせていただくということでございまして、例えば、今まで中小企業、これ大企業もあるんですが、有期から正規に変わる場合、四十万円というものを一人当たり五十万円、さらに、派遣から正規になる場合には更に十万円加算というような、そういうようなものを用意をいたしております。  あわせて、業務改善の助成金ということでございまして、これは、最低賃金等々を引き上げられた企業に関しまして、そのためのいろんな効率化、言うなれば設備機器等々を入れた場合に関しましての助成をしておるわけでありますが、この助成率のアップとともに、対象地域も広げさせていただいておるわけでございまして、予算も二十五年度の補正予算から比べれば二十六年度は倍加させていただいておるということでございまして、そのようなものを使いながらしっかりと賃上げの方につなげていっていただければ有り難い、このように思っております。
○行田邦子君 厚生労働省でも賃上げのために様々な工夫をされて、また御苦労もされていると思いますけれども、大変申し訳ないんですけれども、今御説明聞いていて、どうも随分小ぢんまりしているなという印象を受けております。好循環をつくるための賃金アップにもっとインパクトのあるような支援ができないのかなというふうに思うところなんですけれども。  そこで、もしその財源に問題があるということであれば、私は、労働保険特別会計の雇用勘定の積立金、これを使えばいいんではないかというふうに思います。今六兆円たまっています。厳密には、平成二十四年度決算で五兆九千二百五十七億円たまっているわけであります。この額というのは、ここ二十五年で過去最高というほどたまっているわけであります。  私は、これはため込み過ぎだというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) この雇用保険の積立金というものは、平成七、八年だったと思いますが、やはり四兆円ぐらいあったものが、平成十四年ぐらいには四千億円まで、つまり景気が悪くなると一遍に出ていくものでございますので、そういう意味では、六兆円あるから何かそれを全て使っていいというものではないわけでありますが、いずれにいたしましても、これ、労使共に御納得をいただいて保険料を積み立てておるわけでございますので、労働政策審議会の方で御議論をいただいたという中において、今般、雇用保険法の改正で、例えば中長期にわたるキャリア形成に使ったりでありますとか、それから雇い止めになられた方々に対する特例、これを延長したりでありますとか、いろんなものに使わさせていただいておるわけでありまして、労使共に御議論をいただいた中でこれの使い道というものをお決めをいただいておるということであります。
○行田邦子君 積立金の過去の額を見ますと、ここ五年間で五兆円を超えている規模なんです。それまでは、例えば平成元年なんかは二・三兆円でした。だから、この五年ぐらいというのが非常にため込み過ぎだと私は思っているんですけれども。  私は、この六兆円近くまでためているこの積立金の一部を、例えば従業員の処遇改善とか、それから又は労働生産性の向上ということに使うというのは、これは労使共々御理解いただけるんではないかというふうに思っているんですけれども、それがどうしても特別会計の中のお金で労使の理解得られないと大臣がおっしゃるのであれば、総理にここで伺いたいんですけれども、それならば、雇用保険料、これを引き下げたらどうでしょうか。例えば、それを一律にということではなくて、総理に伺いたいと思うんですけれども、例えば賃上げをした企業に対して一時的に雇用保険料を免除するとか、私はこれは賃上げのインセンティブになると思いますけれども、いかがでしょうか。総理にお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、企業の収益の向上を賃金上昇につなげていくことは重要でありますし、また、企業が賃金を引き上げるインセンティブを与えるということもこれは大変重要な考え方であろうと、こう思います。その意味におきまして、政府は復興特別法人税を一年前倒しをして所得拡大促進税制の拡充も行ったわけでございます。  その中におきまして、今委員の御提案の賃金を引き上げたところは雇用保険の保険料を少し減らしてやるということでございますが、雇用保険料は誰もが直面する可能性のある失業というリスクに対する保険のためでありまして、全ての企業と労働者にひとしく御負担をいただいているものでありまして、賃上げのインセンティブとの御提案でございますが、このような保険制度の趣旨を踏まえれば、特定の企業に限って雇用保険料の料率の引下げを行うということは、これは難しいのではないかというふうに考えます。
○行田邦子君 それも難しいということであるならば、私は、この六兆円という過剰に積み立てているものを、これを一部取り崩して、もちろん法改正は必要であると思いますけれども、例えばですけれども、今所得拡大税制というのをつくりました。これの、お金に色はないんですけれども、税収減が見込まれるのであれば、そこを補うような、そのような考え方も私はあるというふうに思っておりますので、是非検討していただきたいと思います。  今政府は、企業に対して、ためているお金を賃金に回してください、投資に回してください、そのために政府も一生懸命いろんなことをやりますよというお願いをしているのであれば、政府自らがため込んでいる積立金の一部を好循環の呼び水にしても、私はそれは構わないというふうに思っておりますので、どうか総理、御検討をお願いいたします。  最低賃金の話もしたかったんですけれども、次のテーマに移りたいと思います。  先日、地元埼玉の司法書士の知人と話をしていてこういうふうに言われました。実は、自分の仕事の中で今一番増えているのが奨学金の問題なんですということです。司法書士の仕事で奨学金って、これはどういうことかなと思って調べてみました。パネルをお願いいたします。(資料提示)  日本の奨学金事業規模は平成二十二年度で一兆一千五百三十五億円になります。そして、そのうち約八八%が独立行政法人日本学生支援機構によるものなんです。今、大学生や短大生の三八%が日本学生支援機構から奨学金を借り入れているということです。全て借入れ、貸与です。  私が驚いたのは、この機構の総貸付金残高なんですけれども、七兆七千六百五十六億円にも上っています。この額というのは、例えば私の地元の埼玉りそな銀行があるんですけれども、ここの貸出金より一兆円以上多いです。そしてまた、平成二十五年の消費者向け無担保個人ローンの上位二十五社の貸付残高を全部足し合わせたもの、これが五兆二千億円程度なんですけれども、これより更に上回っている規模なんですね。これだけの規模拡大を行う中で今奨学金の返済の滞納ということも起きていまして、八年間で一・八倍に増えています。日本学生支援機構としては回収強化に努めているわけでありますけれども、一方、訴訟やまた自己破産の相談といったことも急増しています。  そこで、まず政府参考人に伺いたいと思いますけれども、平成二十四年度末時点の個人信用情報機関への登録件数、ブラックリストですね、いわゆる、それから債務名義取得件数、これは裁判所で債務が確定した件数、それから財産差押えの件数、それぞれを教えていただきたいということ。それから、あわせて、この奨学金の回収業務をどこに委託をしているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○政府参考人(吉田大輔君) 平成二十四年度末時点の件数及び平成二十二年度からの増加率につきまして御報告申し上げます。  まず、個人信用情報機関への登録件数でございますが、九千八百七十一件でございまして、平成二十二年度と比較しますと二・二倍という数字になっております。債務名義取得につきましては八千九十五件でございまして、これも一・三倍でございます。また、財産差押えについては三百二十六件でございまして、これは三・八倍という形になっております。  債権回収業務に関しましては、企画競争によりその委託先を決定しておりますが、平成二十五年度におきましては、エム・ユー・フロンティア債権回収株式会社及び日立キャピタル債権回収株式会社に業務の委託を行ったところでございます。
○行田邦子君 今機構では、回収の強化策として、三か月滞納するとブラックリストに載せる、個人信用情報機関に載せるということ。九か月の返済の滞納をすると督促状を出す、まあ法的措置です。その後、財産差押えということになっています。  回収業務については、今答弁にありましたように、サービサー、回収のプロに委託をしているということで、ここに対して、その回収をできた金額の四%とか数%を報酬として与えるというような契約をしているわけであります。  ここで、ある弁護士が相談を受けたケースを紹介したいと思います。三十代の男性です。大学四年間で約三百万円を借りました。大学卒業後、四年間程度は月一万五千円をきちんと返済できていましたけれども、病気がちになって収入が減り、徐々に支払が遅れるようになったということです。で、日本学生支援機構から督促状が届いたので弁護士に相談をしたところ、自己破産しかないと言われてしまったと。ところが、父が連帯保証人、おばが保証人になっていて迷惑を掛けるわけにもいかず、自己破産をちゅうちょしているというようなケースです。こういった相談というのが弁護士に対しても急増しているということであります。  私は、今、日本学生支援機構が行っているこの奨学金事業というのが、これは巨大な個人ローンビジネスを行政機関の一部である独立行政法人が行っているように思えてならないんです。民間の金融機関の方がまだ借り入れた人のことを考えて、そして返しやすいように融通を利かせているというふうに思います。このような日本学生支援機構のとにかく回収ありきというような姿勢で続けるんであれば、私は、政府保証の教育ローンを民間の金融機関に委託する方が、その方がまだ学生のためにもなるのではないかというふうにも考えていますけれども、下村文科大臣の御所見を伺います。
○国務大臣(下村博文君) おっしゃるとおり、いろんな課題が確かにあるというふうに思います。  この日本学生支援機構の奨学金制度、これは、そもそも貸与した学生からの返還金が次の学生の奨学金の原資というふうになっていることから、返還できる方からはしっかりと返還してもらう一方で、返還困難者に対するきめ細やかな対応をすることも重要であるというふうに思います。そのため、平成二十六年度の予算案において、延滞金の賦課率、現行一〇%でしたが、これを五%に引き下げるということと、それから返還猶予制度の制限年数、これ現行五年でありましたが、これを十年にするということを決めました。  真に困窮している奨学金返還者に対する救済措置の充実を更に検討してまいりたいと思います。
○行田邦子君 借りたものは返すのは当たり前であります。そして、返せるのに返せない、こういう人にはしっかりとやはりペナルティーを科すべきだと思います。けれども、一方で返したいけれども返せないという方がいます。こういう方に対しては、その方の経済状況や所得に応じた柔軟な返済プランというのをやはり機構としても用意をすべきだというふうに思っています。今大臣が御答弁されたように、恐らく同じ問題意識を文科省でも共有されていて、来年度の予算からそのような柔軟なプラン、猶予措置というのを検討されているということであるというふうに思います。  ただ、私、そもそも日本の奨学金制度というものを見直すべきではないかというふうに思っています。パネルを御覧いただきたいと思います。各国の平均授業料と奨学金等との関係を表したものです。右上のグループが授業料は高いけれども奨学金が充実しているという国、アメリカやイギリスです。そして、右下のグループは授業料は低いけれどもまた奨学金も充実している、これがノルウェー、デンマークなどの右下のグループです。そして、左下のグループは、授業料は低い、また授業料を払わなくてもいいから奨学金は充実していないというグループで、イタリアやフランスやメキシコというふうになっています。日本はどうかといいますと、左上のグループなんですけれども、授業料は高い、そして奨学金は充実していないというようなグループのところに位置する唯一の国になっています。これはOECDの調査を基に作成したグラフでありますけれども、このような状況になっているわけであります。  そこで、下村文部科学大臣に伺いたいんですけれども、日本の公的奨学金制度というのは今貸与のみです、貸出しのみになっています。それを、給付型というのを検討するおつもりはございませんでしょうか。
○国務大臣(下村博文君) 御指摘のように、経済的理由にかかわらず学生たちが進学を断念することがないように、奨学金事業の充実図っていくことは非常に重要な課題であるというふうに思います。  取りあえず、今年から高校生に対する給付型の奨学金はスタートすることになりました。現在、大学生等に対する給付型奨学金については設けてはおりませんが、平成二十六年度の予算案におきまして、まずは無利子奨学金の貸与人員の増員を図り、今有利子と無利子がありますが、有利子からできるだけまず無利子にすると。そして、授業料減免等への支援の拡充を図るということ。それから、先ほど申し上げましたように、延滞金の賦課率の引下げなど、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実などをいたしまして、安心して奨学金の貸与等を受け、大学等に進学できる環境についてはより整備、まずしてまいりたいと思います。  昨年四月から、学生等への経済的支援の充実を図るため、効果的な支援の在り方について検討を既に行っているところでございます。  今後とも、経済的理由により学生等が進学を断念することがないよう、大学生等の給付型奨学金、これの創設を目指して、大学等奨学金事業の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
○行田邦子君 給付型の奨学金制度というのも検討をされるということでありますけれども、ただ、給付型、つまり返さなくていい、渡しっ放しということですから、これをもし国がやるとすると、あるいは公的機関がやるとすると、非常にやっぱり財源の問題が出てくると思います、限りある財源の中で充実をさせようということになると。  そこで私が提案したいのは、民間マネーの活用なんです。個人の金融資産が一千五百兆円あると言われています。これを寄附へ回していただく、例えば大学とかそれから民間の奨学金の基金などに寄附をしていただく。また、法人がためている、蓄えているお金を大学に寄附をする、また民間の奨学金基金に寄附をするというようなことを促すために、奨学金の寄附の特別税制というのを私は創設してもよいのではないかなというふうに思っております。  今NPO等に対しての寄附の優遇税制というのはもう既にありますけれども、これの奨学金に限定したバージョンということでこれをやってはいいのではないかなというふうに思っております。そうすれば、大学は理念に沿った人材に対して奨学金を給付をして育てることができる。また、人材を自分たちの給付の奨学金で育てることができる。そして、大学同士が切磋琢磨されて教育の質も向上につながるというふうに思っておりますけれども、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 委員が持っておられる問題意識であります、経済状況によって進学を断念することがあってはならない、教育の機会均等をしっかりと確保していくために奨学金制度を拡充、充実をしていく必要があると、私もそのとおりだろうと、このように思います。  その中におきまして、民間団体が行う奨学金事業は教育の機会均等を図る上で大変重要な役割を果たしていると思います。約三千二百の団体が年間三十四万人の学生に対して奨学金を支給しており、そのうち、人数で約半数については給付型の奨学金となっております。これら民間団体の行う奨学金事業の財源は、企業や一般の方々の善意に基づく寄附金であります。  政府としても、このような寄附を促進するため、奨学金事業を行う学校法人や公益法人等に対して寄附を行った場合、所得税や法人税を軽減をしているところでございまして、今後とも民間の力を奨学金事業に生かしつつ、意欲と能力のある学生を社会全体で支え、家庭の経済状況によって大学進学が妨げられることのないようにしていきたいと、努めていきたいと思います。
○行田邦子君 是非御検討をお願いしたいと思います。  経済状況によって教育を受ける機会を失ってしまうというのは、これは教育の機会均等に反するわけです。それだけではなくて、資源の乏しい国と言われている我が国日本においては、教育というのは人材への投資であり、また未来への投資であります。是非御検討をお願いしたいと思います。  好循環を実現をして、そしてお金を投資へ、また配当金へ、賃金へ回していくだけではなくて、さらに教育へとしっかりと回っていくよう政府のお取組を期待して、私の質問を終わります。  ありがとうございました。