ドイツの挑戦 ~経済成長と脱原発の両立~
11月10日から1週間、ドイツ政府の招聘により、超党派の国会議員団の1人としてドイツを訪問いたしました。今回の訪独は、2022年までの原発ゼロを決断したドイツにおけるエネルギーシフトがテーマでした。EU経済をけん引しているドイツにおいて、脱原発と経済成長をどのように両立させていくのか、ドイツ政府や議員、電力事業者、業界団体、研究者など幅広く関係者から現状をお聞きし、得るものの多い1週間でした。
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原発ゼロ実現のためには再生可能エネルギーへのシフトが重要な鍵となりますが、大きな課題となるのは電気料金の問題です。ドイツでは再生可能エネルギーによる発電に事業者が参入しやすいように、「Feed-in tariff」(FIT)が2000年に導入されました。これは太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどによる電気を、電力事業者が「固定価格」で買い取ることを義務付けたもので、日本では2012年から始まりました。再生可能エネルギーによる電力の買い取りによって生じた負担は、「賦課金」という形で消費者に対して電気料金に上乗せされるため、再生可能エネルギーが普及するまでは電気代は高くなってしまいます。いつまで、どこまで国民が許容できるかという問題になります。
確かにドイツでも電気料金の値上がりが大きな問題となっていますが、エネルギーシフトへの国民負担については、中長期的視野も必要です。つまり、石油や石炭といった化石燃料に電力源を依存する経済的リスクを考える必要性です。石油などの資源枯渇系の燃料は、掘れば掘るほど希少価値が高まり、価格も上昇していきます。将来的に化石燃料の資源の値が今より下がることは非常に考えにくいわけです。また、これらの価格高騰は他の製造物のコストにも影響を与えます。ドイツや日本などの化石燃料の輸入国にとっては、国内で調達できない分、一層の経済リスクと言えます。国家として、より安定したエネルギー源構成として再生可能エネルギーシフトを今から進めることは、未来への投資として経済合理性にも適っていると考えます。
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再生可能エネルギーシフトを進めるにあたって、克服しなければいけないもう一点の課題は「電力の変動性」です。太陽光や風力といった自然エネルギーは、人々の電力需要の波とは無関係に天候によって発電量が変動します。需要期に合わせた送配電を可能とするためには、大規模な蓄電機能が必要となりますが、このような技術は研究の途上にあります。技術大国日本が率先して取り組むべきテーマではないでしょうか。
メルケル首相による「3.11福島」を契機とした脱原発の決断は、政局的な判断も働いたとの見方があるものの、国民の9割が支持し、国をあげて2022年までの原発ゼロに向けて、様々な困難に立ち向かっている様子が見て取れます。 経済成長を続けながら脱原発に向かっていくドイツの挑戦。決して平坦な道のりではありませんが、政治が大きな方向性を示し、決断することの大切さを実感した1週間でした。