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安保関連法案について

2015年09月22日

9月19日未明に行われた、参議院本会議での「安保関連法案」採決において反対票を投じました。
主な理由は次の通りです。

武力行使の新3要件における「存立危機事態」の判断規準があいまいであり、時の政権の主観的判断(政府の言葉では総合的判断)によって、 地理的制限なく集団的自衛権を行使できることが、国会審議を通じて明らかになりました。 安倍総理が「法律上可能であっても現政権では行使しない」と答弁したケースにおいて、政権が変わり、内閣が変わり、また、同盟国の事情や国際情勢が変化しても、行使しないことを約束できるものではありません。 将来にわたっての政府の判断を適切に法律で縛る必要がありますが、政府案では歯止めは不十分で、時の政権にフリーハンドを与えかねません。

安倍総理は、集団的自衛権を行使し得る典型例として「停戦前のホルムズ海峡の機雷掃海」を挙げていますが、これはエネルギー供給の途絶という経済危機でも行使が可能であることを意味し、さらには、参議院の審議終盤において、これすら「具体的に想定しているものではない」と答弁が変化し、立法事実とならないことを認める結果となりました。

もう一つの、安倍総理が集団的自衛権行使の典型例とする「朝鮮半島有事の際に退避する邦人を輸送中の米艦防護」については、邦人が乗っていなくとも対象となり、逆に、邦人が乗っているからといって行使するわけではなく、その行使にあたっては総合的に判断する、と中谷大臣は答弁しました。また、中谷大臣は「自国防衛のための集団的自衛権」という理解困難な答弁もしており、国の存立危機事態における自衛と、国民の命を守るための邦人救出とをあえて混同させた説明は、自国防衛のための安全保障体制について真摯な議論を行おうとする国民や国会に対して極めて不誠実と考えます。

私が、政府案に反対した最大の理由は、政府の覚悟の欠如にあります。安保関連法案の成立によって「自衛隊員のリスクは軽減される」との答弁を繰り返しましたが、これは、想定し得る事態から国民の目を背けさせようとする詭弁です。駆け付け警護や治安維持活動など、海外での後方支援は格段に広がり、武器使用規準も緩和されることになれば、自衛隊員が民間人を殺してしまう事態を想定すべきですが、この点についての法整備はなされておらず、このままでは自衛隊員が刑法上の殺人犯ともなり得ます。また、海外での自衛隊員の武器不正使用についての罰則規定もありません。海外での自衛隊員の武器使用を広範に認めておきながら、それによっ起こり得る不都合なケースについては蓋をしてしまう政府の姿勢は、 国家国民のため世界平和のために尊い任務を遂行する自衛隊員に対して責任ある態度とは言えません。安保関連法案の総論としては、自衛隊のリスクは軽減されるという理屈かもしれませんが、海外に派遣される個々の自衛隊員には新たなリスクが付加されることについて、国民の理解を求める覚悟が欠如しています。

以上を主な理由として、政府案には反対をしましたが、中国や北朝鮮の動向など、我が国をとりまく安全保障環境に対応するために、自国防衛のための自衛権を拡充する法整備は必要と考えています。その点、維新の党が提出した安保法案は、納得できるものであり、『拡大解釈の余地が余りにも大きい政府案とは異なり、条約に基づき日本防衛のために活動している周辺地域の外国の軍隊、すなわち米軍が武力攻撃を受け、それが日本への直接の武力攻撃に即時に波及する危険が高いと認められる場合に限り、日本として「坐して死を待つ」のではなく、日本への武力攻撃の「着手」と見なして、米軍と共同での武力行使を含めた事態対処を可能にする、「武力攻撃危機事態」を防衛出動の要件として規定』(維新の党の説明から引用)しており、「地球の裏側」での他国の武力行使一体化は法律上許されず、違憲との指摘も免れると考えます。

19日未明の採決では、政府案は討論・採決されましたが、議員立法である維新の党案は採決すらされませんでした。 与党は国会運営の余裕のなさと下手さを露呈しました。法案の採決以前に、野党と歩み寄ろうとしない今回の政府・与党の進め方と、野党第一党の民主党の硬直的な対応には大きな問題があったと考えます。国家運営の安定性を考えれば、安保法制は与党のみでなく、政権を担う意欲と可能性のある代表的な野党との合意を得ることが大切です。自民党は、責任政党として丁寧に辛抱強く野党と折り合う道を模索すべきですし、野党第一党の民主党は、そのための対案を提出すべきでした。唯一提出された対案である維新の党案を軸に粘り強く協議を続け、合意出来た法案だけ先に今国会で成立させ、残りは次国会に持ち越しても良かったのではないでしょうか。

もっとも、それではアメリカとの約束違いになるから出来ぬ相談なのかもしれません。このように同盟国との関係を考えても、時の政権が、真に我が国の存立危機事態でなくとも、自衛隊派遣要請を拒否出来ない事もあり得るため、だからこそ、法律による歯止めが必要であると考えます。

派遣法改正案について

2015年09月09日

昨日(私の誕生日!)の厚生労働委員会で、「労働者派遣法改正案」と議員立法「職務に応じた待遇確保法案」が両案とも可決しました。午前中は、採決が行われるのか不明なまま質問に立ちましたが、午後、野党も採決に応じ、39項目(戦後最長!)の附帯決議が付く形となりました。

私は、労働者派遣法には反対、職務に応じた待遇確保法案には賛成しました。派遣労働という雇用形態を否定しませんが、雇用は直接雇用が原則であり、間接雇用である派遣労働は例外として認められるがゆえ、特別な規制が必要ですが、本改正法案における期間制限の規制の在り方では、直接雇用原則、また、「派遣労働は一時的・臨時的なもの」という政府が示している原則と大きく矛盾するものとなっており、労働法制の原則が崩れてしまいます。

職務に応じた待遇確保法案は、自民・公明との維新との修正協議によって原案からは後退しましたが、半歩前進、政府が立法趣旨をしっかりと踏まえて法の運用をすれば1歩前進ともなることから、賛成しました。

「同一労働同一賃金実現法案」要綱を作成

2015年08月27日

「同一労働同一賃金実現法案」要綱を作成しました。

私が所属する参議院厚生労働委員会では、連日、労働者派遣法改正案の審議が行われていますが、これに合わせて、議員立法「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」の審議も行っています。この法案は、維新の党案に自民・公明が修正して衆議院で可決された法案で、「通称:同一労働同一賃金推進法案」と呼ばれています。

内容は、正規・非正規といった雇用形態の違いによることなく、職務に応じた均等・均衡待遇を推進するために、基本理念を定め、国・事業主・労働者の責務を明確にした推進法の体裁を取っています。国が行うこととして、調査研究、労働者の待遇に係る制度の共通化の推進、雇用環境の整備、職業生活設計についての教育の推進などが挙げられています。

この法案について私自身は、非正規雇用者の待遇改善については一歩前進と肯定的に捉えていますが、一方で、「同一労働同一賃金推進法案」と呼ばれることに違和感を覚えています。この法案は、非正規・正規間の均等・均衡待遇を推進することが趣旨であり、正規雇用者間も含む、同一労働同一賃金とはなっておらず、これによって同一労働同一賃金が推進されるとまでは言えないレベルのものと考えるからです。

そこで、本来の同一労働同一賃金を一歩でも確実に前進させるために、「同一労働同一賃金実現法案」の要綱を作成してみました。内容は、労働者の職務に係る賃金は、雇用形態の違いによるものではなく職務内容に応じたものとし、その適正化は雇用形態にかかわらず労働者が能力を有効に発揮できることを旨とし、労使合意に基づいて実施される、という基本理念のもと、政府は、職務内容に応じた労働者の職務に係る賃金の算定に関する指針を閣議決定し、また公表し、事業主は指針に従い労働者の賃金体系整備に努めるといったものです。指針案の作成においては、関係大臣、労使及び公益代表者によって構成される合議制の機関を内閣府に設置することとしています。

職務給の算定や職務評価について、国が指針を示すことにより、雇用形態の違いによらない同一労働同一賃金の実現に近づくのではないかと考えました。賃金の決定は経営事項であり、また労使の合意によって決められるものであるから、国が介入すべきではない、との意見もあるかと思いますが、労使だけに任せていては同一労働同一賃金は一向に進展せず、雇用形態による賃金格差は広がり、また、残業・転勤をいとわない正社員という働き方偏重の考え方は変わりません。女性の活躍のためにも、働き方改革だけでなく、賃金決定の評価基準も変えるべきと考えています。

本法案を今国会に提出することは出来ませんでしたが、より良いものへとブラッシュアップしていきたいと考えていますので、皆様のご意見を頂ければ幸いです。

法案要綱はこちら → 労働者の職務に係る賃金の職務内容に応じた適正化の推進に関する法律案要綱