参議院議員(埼玉県選挙区)こうだ邦子公式サイト > ブログ

ブログ

「同一労働同一賃金実現法案」要綱を作成

2015年08月27日

「同一労働同一賃金実現法案」要綱を作成しました。

私が所属する参議院厚生労働委員会では、連日、労働者派遣法改正案の審議が行われていますが、これに合わせて、議員立法「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」の審議も行っています。この法案は、維新の党案に自民・公明が修正して衆議院で可決された法案で、「通称:同一労働同一賃金推進法案」と呼ばれています。

内容は、正規・非正規といった雇用形態の違いによることなく、職務に応じた均等・均衡待遇を推進するために、基本理念を定め、国・事業主・労働者の責務を明確にした推進法の体裁を取っています。国が行うこととして、調査研究、労働者の待遇に係る制度の共通化の推進、雇用環境の整備、職業生活設計についての教育の推進などが挙げられています。

この法案について私自身は、非正規雇用者の待遇改善については一歩前進と肯定的に捉えていますが、一方で、「同一労働同一賃金推進法案」と呼ばれることに違和感を覚えています。この法案は、非正規・正規間の均等・均衡待遇を推進することが趣旨であり、正規雇用者間も含む、同一労働同一賃金とはなっておらず、これによって同一労働同一賃金が推進されるとまでは言えないレベルのものと考えるからです。

そこで、本来の同一労働同一賃金を一歩でも確実に前進させるために、「同一労働同一賃金実現法案」の要綱を作成してみました。内容は、労働者の職務に係る賃金は、雇用形態の違いによるものではなく職務内容に応じたものとし、その適正化は雇用形態にかかわらず労働者が能力を有効に発揮できることを旨とし、労使合意に基づいて実施される、という基本理念のもと、政府は、職務内容に応じた労働者の職務に係る賃金の算定に関する指針を閣議決定し、また公表し、事業主は指針に従い労働者の賃金体系整備に努めるといったものです。指針案の作成においては、関係大臣、労使及び公益代表者によって構成される合議制の機関を内閣府に設置することとしています。

職務給の算定や職務評価について、国が指針を示すことにより、雇用形態の違いによらない同一労働同一賃金の実現に近づくのではないかと考えました。賃金の決定は経営事項であり、また労使の合意によって決められるものであるから、国が介入すべきではない、との意見もあるかと思いますが、労使だけに任せていては同一労働同一賃金は一向に進展せず、雇用形態による賃金格差は広がり、また、残業・転勤をいとわない正社員という働き方偏重の考え方は変わりません。女性の活躍のためにも、働き方改革だけでなく、賃金決定の評価基準も変えるべきと考えています。

本法案を今国会に提出することは出来ませんでしたが、より良いものへとブラッシュアップしていきたいと考えていますので、皆様のご意見を頂ければ幸いです。

法案要綱はこちら → 労働者の職務に係る賃金の職務内容に応じた適正化の推進に関する法律案要綱

6兆円という過剰な積立金、雇用保険料の引き下げを

2015年04月28日

4月14日、参議院厚生労働委員会の一般質疑において、労働保険特別会計雇用勘定の失業等給付金の積立金について質問しました。

雇用保険制度は、労働者が失業した場合などの給付や、再就職の支援などを行い、労働者の生活及び雇用の安定を確保する保険制度です。労働者を雇用する事業は、業種、規模等を問わず、雇用保険の適用を受け、事業主や労働者の意思に関係なく、事業主は労働保険料の納付や各種届出の義務があり、労働者は雇用保険の被保険者となります。臨時内職的に就労する方や、65歳に達した日以後に新たに雇用される方は適用除外となりますが、パート労働であっても、31日以上の雇用が見込まれ、1週間の所定労働時間が20時間以上であれば雇用保険の被保険者となります。

雇用保険料率は賃金総額の1.75%と雇用保険法で定められており、事業主が1.05%、労働者は0.7%を負担しています。事業主負担の0.35%分は雇用保険2事業という就労支援の職業訓練や失業を防ぐ雇用調整助成金などに使われ、それ以外は失業時の給付金や育児・介護休業中の給付などに充てられており、事業主と労働者双方から納められる雇用保険料は労働保険特別会計の雇用勘定に積み立てられる仕組みとなっています。なお、雇用保険法では、法定料率の弾力条項として、積立金の水準が一定レベルを超えた時は雇用保険料率を1.3%まで引き下げることが出来るとされており、現在は、1.35%まで引き下げられています。

私がかねてから気になっていたことは、雇用保険料の失業等給付の積立金が現在、かなり高い水準となっていることです。平成25年度決算では、何と6兆621億円にも上っており過去最高となっています。平成25年度の支出額1兆6,642億円と比較すると4倍を超える積立金残高は過剰ではないかと考えます。この点、塩崎厚生労働大臣に見解を質したところ、不況期に備えて好況期に積み立てておく必要性と、「一時的に積立金があることだけで過大ではないかという判断は、少し時間を掛けて評価をして、ダイナミックに変わる可能性を含めて、それでも過剰かどうかということを考えていくべきなのかなというふうに考えている」との答弁でした。

塩崎大臣のはっきりしない答弁とは裏腹に、実は厚生労働省は、失業等給付の積立金が過去最高まで積み上がっていることについて問題意識を持っており、今後5年間の収支見込みについて2つのケースでシミュレーションを行っています。失業等給付の受給者実人員が平成27年度見込みの50万人で推移する、つまり現在の低い失業率が5年間続くケース1と、リーマンショック期を含めた平成21年から25年度実績平均ベースの63万人で推移するケース2と、両方のケースについて、5年後の平成31年度においても失業等給付支出の2倍を超える積立金残高が維持できる試算となっているのです。

失業等給付の過剰な積立金については、予算委員会においても議論がなされ、一般会計に繰り入れて他の政策に使うべきとの意見や、事業主や労働者に返すべきなど様々な意見がありますが、雇用保険は事業主、労働者が保険料を拠出し、失業などに備える公的相互扶助制度であることを踏まえれば、積立金残高が適切な水準を超えれば、保険料率を下げて安定的に積立水準を下げていくことが最も納得の行く方法であると考えます。この点、塩崎大臣からは、「保険料率の在り方については、育児休業給付の引上げの見通しがはっきりしてこないとなかなかうまくいかず、今年の秋頃に財政状況については大体見えてくると思っており、それを見届けてからどうするかを考える」との答弁がありました。安倍総理は事あるごとに、「私の政権で経済が回復傾向にあり失業率が下がった」と言うのであれば、その成果として、雇用保険料を引き下げるべきではないでしょうか。皆様のご意見をお聞かせ下さい。

所沢市での「防音校舎にエアコン設置」住民投票 

2015年02月16日

 <所沢市での「防音校舎にエアコン設置」住民投票>

 昨日2月15日、埼玉県所沢市で、航空自衛隊入間基地に近い小中学校28校へのエアコン設置に関する住民投票が行われました。報道でご存知の方も多いと思います。

 自衛隊基地に近い市内の小中学校校舎には、自衛隊機の騒音対策として特殊サッシが設けられており、窓の開閉がしにくい状態となっているため、所沢市は2006年、防音校舎に冷房設備を整備する方針を決めました。その後、1校への設置が完了しましが、2011年10月に就任した藤本正人市長は、東日本大震災と原発事故の経験を踏まえた自然との調和への路線転換と、市の厳しい財政状況を理由にエアコン設置の中止を決めました。これに対し、エアコン設置を求める市民達が8,430人の署名を集め、防音校舎のエアコン設置に関する住民投票条例の制定を直接請求し、議会で可決され、今回の住民投票となったわけです。(条例制定の直接請求は、地方自治法第74条の規定に基づき、住民が有権者の50分の1の署名をもってできる制度です。)

 結果は、賛成56,921票、反対30,047票と賛成が上回りましたが、投票率が31.54%と低く、条例で「その結果の重みを斟酌しなければならない」とされる有権者数の3分の1以上には達しませんでした。

 今回の住民投票で私が関心を抱いた点は、防音校舎へのエアコン設置の是非よりも、市民の力とそれに対する市長の真摯な姿勢でした。「市民生活(子供の学習環境)に大きな影響を与える案件について、直接、市民の意思を反映させたい」という思いが8,000名を超える署名となり住民投票に結び付いたわけですが、ともすれば東京には目が向くが地域のことには関心が薄い「埼玉都民」とも言われる所沢市民が、この度発揮したパワーには正直、驚きました。また、相対する市長は、真剣勝負。私も出席した所沢市の新年会でも、市長はご挨拶の中で、なぜご自身がエアコン設置計画を撤回したのか、78億円の費用がかかり、うち30億円を市が負担しなければならないことや、同額のお金があればもっと他の事に使うべきであること、エコタウン構想を掲げる市として、環境面に配慮し持続可能な社会を実現するために知恵と工夫で乗り越えたいとの思いなど、熱く語られていました。市民も市長も、どちらも必死となって主張を訴えていました。

 選挙で市長や議員を選んだけれども、すべての市政運営を白紙委任したわけではない。このような思いを抱く市民の最後の砦が住民投票であり、間接民主主義の欠点を補完する術と言えます。今回の住民投票は、多数意見を知るために行われる「諮問的住民投票」という位置づけとのことですが、4,000万円の費用をかけて行われた投票結果を市長も重く受け止めることは当然ではないでしょうか。所沢市の判断に注目したいと思います。