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電通の過労死問題

2016年12月31日

 「電通、上司1人と法人を書類送検 新入社員過労自殺」。
 多くの企業が仕事納めとなる12月28日、飛び込んできたニュース。先月に家宅捜索を受けていたのでこのようなことも想像はしていたが、9年間勤めた会社だけにショックである。さらに、同日夜には、石井社長の引責辞任が発表された。 石井直社長は、1998年、私が契約社員として電通に採用された時の直属の上司だった方。当時、社員のほとんどが新卒採用だった電通において、中途採用者の私は、当時営業局次長兼部長だった石井氏の下で働くことによって「電通のDNA」を肌で感じ、広告代理店営業ひいてはサービス業の本質について「目からウロコ」のような気付を得ることが出来た。石井氏の下で働いた経験の多くが、現在の国会議員としての活動にも生きていると感じている。
 電通では、仕事に対するプライドと秀でた能力を持つ社員に囲まれる中、私はたいした仕事もできない営業だったにもかかわらず、契約社員として勤めてから2年3ヶ月後に正規社員として再雇用された。その際、石井氏にご尽力頂いたことは決して忘れることの出来ない恩である。
 電通では、過重労働が常態化していたのだろうか?確かに、私が電通で最初に担当させて頂いた仕事は過酷そのものだったし、周囲を見ても、突然、クライアントに対するプレゼンが必要になったり、競合プレゼンの準備ともなれば深夜労働は当たり前であった。
  一方で、私のクライアントの仕事をしてくれていたマーケティング部の優秀な女性は、2人の子供を育てながら実に効率よく仕事をし、基本的には残業ゼロであった。「クライアントファースト」がを守りつつも、ダラダラ残業をなくし、労働生産性をあげることは可能だったのではないか。
  けれども、クライアントや取引先のために、あるいは競合他社に勝つために、いつでも&いつまでも働くことを善しとする空気に支配されていて、彼女のような覚悟と割り切りのある社員の他はその空気を何となく読んでいたような気がする。私が在職していた頃から10年が経過しているが、当時と同じような社内風土のままであれば、やはり働き方について考え直す必要はあるかもしれない。
 電通には、有名な「鬼十則」がある。中興の祖と言われる4代目社長である吉田秀雄氏による行動規範である。私にとっては、「鬼十則」があることが電通で勤めてみたいと思った理由の一つであるが、今どきの勤め人(被雇用者)に鬼十則を行動規範として働けというのには無理がある。良くも悪くもそういう時代だ。けれども、国家国民、市民のために働く政治家や、経営者にとっては、鬼十則の精神はむしろ学ぶべきことが多いと思う。
 お世話になった会社で起きた事件について、あまり触れないようにしようと思っていたが、石井社長の辞任の報道に接し、今の思いを綴らせて頂いた。広告代理店は、電通に限らず人がすべて、人が資本である。広告代理店にとっては社員が自発的に仕事に取り組み、能力や意欲を活かすことによって会社の業績があがる。そして、社員にとって会社は自己実現の場でもある。このたびの事件を契機に電通は、社員というかえがえのない資本の、今の時代に即した活かし方について考え直されることと思う。
  情緒的な言い方になってしまうが、石井直社長の辞任には複雑な思いではあるが、新しい体制のもと電通が輝きを取り戻すことを期待する。

参院選を振り返って

2016年07月19日

7月10日に行われた参議院選挙では、私は積極的に特定の政党や候補者を応援はしませんでしたが、選挙結果については国民が示した民意として重く受け止めたいと思っています。今回の参院選においては、アベノミクスの是非が争点かのように据えられ、与党は前へ進めるのか、後退させるのか、といったエモーショナルで抽象的な訴えに終始し、野党第一党はアベノミクスを否定はするが対案を示さないため、国民の関心が低い論戦であったと感じています。日本の経済は国内の状況だけで決まるわけではなく世界情勢に大きく左右されるわけですので、アベノミクスの是非といった硬直的な議論だけでは、変化する現実に柔軟に対応仕切れないとはずです。国政選挙として、もっと、国の統治機構のあり方や、中長期的な未来図、混沌とした世界情勢の中での日本の役割など、大きな視点での論議があるべきだったと思います。特に、参院選こそ、参議院の役割や選挙制度について国民に問いかける好機であるにもかかわらず、各党とも触れていないことが残念でした。野党第一党がスローガンとして掲げた「ますは3分の2を取らせないこと」については、改憲勢力、非改憲勢力というレッテル貼りは一見わかりやすそうであっても、実は意味をなさないと思いました。改憲勢力と言われている政党(議員)であっても、改憲への関心分野は異なり、公明党は直近において具体案を示してすらいません。一方、非改憲勢力に分類される生活の党は改憲案を示していますし、民進党は護憲ではないはずです。私自身も参院選公示前後に、多くのメディアから「改憲勢力なのか」といった取材を受けましたが、改憲議論は国会内においても国民の間でもまだ行われていない現状において、そのような改憲勢力3分の2を数えることはナンセンスだと答えています。ちなみに、私個人の考えは改憲であり、参議院のあり方や国と地方の関係など、国の統治機構の分野において憲法を改正して変えるべき点があると考えていますが、改憲は、国民の半数以上が憲法改正の議論に前向きである、といったような機が熟していなければ行うべきでない、と考えています。国会だけでなく国民の熟議の時間が必要です。

8月に2期目の任期の折り返しを迎えます。この間様々な紆余曲折がありながらも、国会や地元埼玉県で安定した活動を続けることが出来たのは、一人ひとりのご支援があってこそと、実感しています。今後とも皆様のご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

カリフォルニア訪問 =アメリカ大統領予備選挙の現場=

2016年07月19日

通常国会閉会後、6月4日から10日まで、大統領予備選挙の視察と日系オピニオンリーダー層との意見交換を兼ねて、アメリカ・カリフォルニア州を訪問しました。初の女性大統領が登場するかもしれない、大統領予備選挙の様子を生で見てみたいとの思いと、テレビなどの映像で見ているとアメリカの大統領予備選挙は大変盛り上がっているようだが実際にどうなのか、という素朴な関心を抱きながらサンフランシスコを訪れました。

まず、ヒラリー・クリントン候補のサンフランシスコ事務所を訪問し、ボランティアによる電話がけや戸別訪問の様子を見学。サンダースとの接戦が伝えられ投票日が迫る中にもかかわらず、事務局長から大変丁寧なご説明を頂きました。電話がけには、簡単なマニュアルは用意されていますが、出来るだけ各々自身の言葉で投票を依頼するようにしているとのこと。反応の良いコールに遭った時には手元のベルを鳴らすことになっており、チリンチリン!という音が聞こえると事務所の中には歓声や拍手が起こり、見知らぬ者同士でも一体感が醸成されてくるようでした。事務局長はじめ皆、ボランティアですが、インターネットでの呼びかけに応じて事務所を訪れる彼らの属性は、学生からリタイアした方、また男女ともに日本と比較して幅広い印象を受けました。

1ヒラリー陣営ボランティア名札 1ヒラリー陣営電話かけ

6月5日15時半から、州都サクラメントでヒラリー・クリントン演説会が行われることがネットの情報で分かり、急きょ現地へ。バス、電車(AMTRACK)、バス、タクシーと乗り継いで14時45分、サクラメントシティカレッジの会場に到着すると、既に長蛇の列が!私も砂漠のような猛暑の中、覚悟を決めて2,000人程度の列に並ぶことに。「ヒラリーは私みたいなのよ」と話しかける前に並ぶ女性はヒラリーより一才下とのこと。サクラメントの人間は、今日みたいな特別な日以外は暑いから外に出ない、と後ろに並ぶ男性が言っていたのがよくわかる。とにかく熱中症にならないように必死で扇子で仰いで水分補給を怠ってはいけない。5時半になり、ようやく開場したようだが、セキュリティチェックに時間がかかり、結局、入場は途中で打ち切りに!開始予定より2時間15分遅れて演説会が始まり、開場に入れなかった数百人は外のスピーカーで聞きながら、それでも盛り上がっていました。帰りは路面電車を乗り継いで、再びAMTRACK、バスでサンフランシコに戻った時はもうぐったり。

2シティ・カレッジへ移動車窓 2シティ・カレッジへ移動駅サクラメント

6月6日、投票日前日にサンフランシスコ市内で行われたビル・クリントン元大統領の演説会場を訪れると、熱気ムンムン、開始予定の午後4時半から待つこと2時間、ついにビル・クリントン氏が登場。20分強の演説は、刺激の強い主張に聞き慣れてしまった聴衆からすると、極めて良識的な内容であったと同時に、私が想像していたよりも淡々としたものでした。それでも会場内はテレビ映像で見る通りのお祭り的な盛り上がりを見せていました。

3シティ・カレッジ行列3 5ビル・クリントン

6月7日投票日には、サンフランシスコ市庁舎内の選挙管理委員会を視察し、選挙制度と運営について詳しく説明を受けました。投票所は、学校など公的施設に加えて個人の自宅ガレージ500か所にも設置し、高齢者など投票所に行けない人は、電話1本で自宅まで投票用紙を取りに来てくれるサービスがあり、投票日当日は50台の車とドライバーが稼働していました。何よりも驚いたのは、選挙公報などで使用する言語が、多様な人種構成に配慮し、英語・中国語・スペイン語・タガログ語の4か国語となっており、しかも立候補者は英語表記に加えて中国語表記の名前がなければ立候補出来ない制度となっていることです。こうして有権者の利便性を図る様々な工夫がなされるのには、市民の権利行使である投票をしやすくするということだけでなく、選挙数の多さに理由があります。実は、6月7日は大統領予備選挙だけでなく、州議会議員予備選、住民投票、市の民主党役員選挙等々、なんと14種類の投票が同時に行われていたのです。サンフランシスコの選挙システムは地域特性が反映されたもので、アメリカでも一般的ではないようですが、あらゆる代表を選挙で選び投票で意思を伝えるというアメリカ民主主義の有り様がこのような選挙制度に反映されていると実感しました。

6予備選挙投票日3ショット 6予備選挙投票日バック2

一昨年の中間選挙の投票率は36.4%と歴史的低投票率を記録しています。アメリカで投票権を得るには、有権者登録を行わなければならず、このことが、政治意識の高い有権者のみが選挙に参加することになり、選挙や政治の質の向上に寄与すると考えられてきたようですが、他方で、2年ごとの国政選挙やあらゆる種類の選挙が頻繁に行われることとあいまって、諸外国と比較して低投票率をもたらしていると言えます。

サンフランシスコ市議会について驚いたことの一つは、人口85万人の市において、議員定数が11人ということです。日本の市町村よりも様々な権限が与えられており、例えば、サンフランシスコ市独自に最低賃金を1500円に設定することを議論しており、市議会独自の条例づくりなど議会の役割は多大なものがあるはずです。アメリカの地方議会と行政の役割について機会があればさらに調べてみたいと思いますが、議会の規模と質、機能について、考えさせられました。

サンフランシスコ在住の日系オピニオンリーダーの方たちとの意見交換は大変有意義なものでした。アメリカにおいて日系企業がプレゼンスを高め、地域にも貢献するための課題を聞かせて頂いたり、日本とアメリカの学校教育の違いについて、アメリカでの女性の活躍の現状と課題、慰安婦問題をめぐる対応等々、様々な問いかけを頂く機会となりました。

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